「科学の奥深さを学びたい」と話す森谷文香さん=東京都文京区の東京大学

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 ノーベル賞授賞式などの公式行事が行われるノーベルウイークに合わせて、世界各国から“科学者の卵”が訪れる「ストックホルム国際青年科学セミナー」が5日からスウェーデン・ストックホルムで開催される。

 日本からは2人の大学院生が参加し、約1週間にわたって他国の若手研究者らと交流を深める予定だ。

 セミナーは、将来ノーベル賞候補になりうる研究者を育成しようと、ノーベル財団の協力のもと、スウェーデン青年科学者連盟が毎年開催。各国の18〜24歳の若手研究者25人が交流しながら、受賞者記念講演会や授賞式といった一連のノーベル賞公式行事に参加するほか、現地の高校生に自身の研究成果を発表する。

 日本では、若手科学者への研究助成などを行う国際科学技術財団(東京都)が昭和62年から、毎年試験で選考した2人の学生を派遣。今年は東京大大学院工学系研究科の修士2年、森谷文香(もりや・ふみか)さん(24)、広島大大学院国際協力研究科の石川太陽さん(24)が選ばれた。

 「科学の奥深さ学びたい」

 「人生でまたとない経験。科学の奥深さを学びたい」。ストックホルム国際青年科学セミナーに向け、東大大学院の森谷文香さんは声を弾ませた。

 脳内に神経細胞が生まれたときのメカニズムを解析する研究に取り組む。幼いころから脳の仕組みに興味を抱くのは、祖母がパーキンソン病を患っている影響がある。脳については未解明な部分が多く、「謎を解き明かし、脳の病気の治療に役立てるような研究者になりたい」と将来像を描く。

 滞在中にはノーベル賞公式行事にも参加する。化学賞を受賞する旭化成名誉フェローの吉野彰さん(71)は、リチウムイオン電池の開発が環境問題の解決につながると信じて研究を続けてきた。「社会貢献を見据えて取り組まれた姿勢は尊敬する」

 出席する授賞式や晩餐(ばんさん)会などで吉野さんと懇談する機会があれば、「社会の課題解決のために、科学者はどのような心構えで研究に取り組むべきかを尋ねたい」と期待する。

 地元の高校生に自分の研究を発表するプログラムも楽しみの一つ。「脳の働きを細胞レベルで解明しようと試みる研究分野があることを紹介しながら、自分の研究の面白さをアピールしたい」

 授賞式前日の9日は祖母の誕生日だ。スウェーデンでの思い出話が「最高の誕生日プレゼントになれば」と笑顔を見せた。(桑村大)