自宅で一人、麻雀対局番組を見ながら「ワーとかギャーとか騒いでました(笑)」という元ファンにとっては、夢のような世界がどんどん大きくなっている。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」のU-NEXT Piratesで活躍する瑞原明奈(最高位戦)は、プロ入りする前は自他ともに認める「見る雀」。今では戦う相手になったトッププロたちの勇姿を、家で見ていたという。「私が見ていたころは、まだそんなにSNSも盛り上がってない時期だったので」と、感じた興奮を自分の中だけで収めていた。ところが12月3日、Mリーグのパブリックビューイング「プレミアムナイト」には1000人近いファンが集まった。この状況に瑞原は、目を輝かせて「なんて最高なんだろう」と言った。
 
 麻雀というゲームの特性上、実際にプレーする場合でも最大4人。目の前で起きた内容について盛り上がれるのも、4人までだ。麻雀対局番組が現在のように多数そろう環境になったのは、この10年以内の話で、見て楽しむことをメインとする「見る雀」は、言葉すら存在しなかった。それが昨年からスタートしたMリーグのパブリックビューイングをきっかけに、麻雀好きが集まって試合観戦を楽しむという文化が広がり始めた。この状況に瑞原は「Twitterとかで盛り上がるだけじゃなくて、その場で一緒に自分のチームがいい牌持ってきただけでワーって共有できるとか、最高だと思います」と、久々にファン感覚に戻って心を踊らせた。

 リアルな場所に集って楽しむファンにとって、重要なのは一体感だ。瑞原が言うように、好配牌、絶好の引き、大物手のテンパイ、会心のリーチ、ツモと、チームや選手を応援する仲間と、一斉に盛り上がれる瞬間が、麻雀には多数ある。劣勢に立たされた時でも、そのハラハラする感覚すら、共有できれば楽しくなる。「パブリックビューイングの存在で、競技性が高まっている気がして、すごくいいと思うんですよね。1牌1牌のめくり合いになった時も、きっとハラハラすると思うし、そういう空間を味わってほしいと思います」と、会場にいるかのようにスラスラと語り続けた。

 今や「見る雀」に麻雀を「見せる」側になった瑞原だが、「見る雀」時代の積み重ねが試合にも活かされている。対戦者からは「プロ歴が浅いので情報が少ない」と言われることが多いが、本人からすれば真逆。熱心に見ていたプロたちだからこそ、その手の内は知ったところだ。「映像と試合で、ギャップは特にないですね。イメージ通りの緊張感と重圧感。みなさん放送対局に結構出られているので、いろいろな前情報がある状態で打てています。情報が多いくらい知っている選手なので」と、わざわざMリーグ用に研究をし直さなくてもいいレベルだ。「ベテランの方や有名な方が多いですが、10年間見てきた選手なので、傾向は分かります」というのも納得だ。

 今後もさらに規模の拡大が期待されるMリーグのパブリックビューイング。また、仲間同士、家に集まるパーティのような観戦も、今後増えていく見込みだ。一人、大騒ぎしていた瑞原が、日本中でその活躍を騒がれるようになったころ、Mリーグ、さらには麻雀そのものの立ち位置は、大きく変わっているだろう。