最近はつねにリクルートスーツ姿の学生を見かけるようになった(写真:foly /PIXTA)

街中で見かけるリクルートスーツ姿の学生は一向に減る気配がない。2020年卒業予定者の多くはすでに就職活動を終えているものの、2021年卒業予定者がインターンシップに、セミナーにと活発に活動しているためだ。

数年前までは、インターンシップと言えば夏期休暇や春期休暇などの長期休暇中に参加するものであり、普通に授業が行われているこの時期にインターンシップに参加する学生は少なかった。そもそも企業側が受け入れていなかったからだ。しかし、状況は一変している。

今回は、HR総研が、リブセンスが運営する就活クチコミサイト「就活会議」と共同で、2021年卒業予定の就活生を対象に実施した「就職活動とインターンシップに関する意識調査」(調査は11月上旬に実施)の結果を基に、今年のインターンシップの現状を見ていこう。

未経験者は就活生にあらず?

11月上旬時点で、インターンシップに応募経験のある学生は実に95%(文系・理系の合計)に上った。この時点でインターンシップにまだ1社も応募していない学生はわずか5%という状況である。


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対象は、就活クチコミサイトである「就活会議」に自ら登録して情報収集をしている学生が対象だ。世の中全体の就活生の分布と比べると、就活意識の早い学生の割合が多いことは否めない。しかし、11月上旬の時点で経験者が95%に達しているのは、驚きの数字である。

「インターンシップに参加していない学生は就活生にあらず」、とでも言いたくなるような数字だ。応募はしたものの、参加者を決めるための企業側の事前選考で漏れてしまった学生や、選考には合格したものの何らかの事情で欠席してしまった学生も6%ほどいる。

つまり、残りの89%は実際に企業のインターンシップに参加した経験を持つということである。9割近い学生がこの時期にすでにインターンシップに参加するなどということは、数年前には考えられなかった。

ただ、驚くのはインターンシップの参加率だけではない。もっと驚くべきは参加企業数である。1社だけにしか参加していないという学生はわずか11%にすぎない。


最も多かったのは、4〜6社で25%に及び、次いで3社が14%、その次には、2社、7〜9社、10社以上がいずれも13%で並ぶ。つまり、4社以上のインターンシップに参加した学生がすでに半数を超えているということだ。

ちなみに、5年前の同時期に2016年卒業予定の就活生を対象に実施した調査では、インターンシップに参加したことのある学生は文系・理系ともにほぼ7割に及ぶものの、参加企業数は1社が最も多かった。

例えば、文系では、1社が24%、次いで2社が18%、4社以上が17%、3社が11%と続く。理系で4社以上は、13%にすぎない。当時は、10社以上などという選択肢は用意されていなかった。いかに今年の就活生が積極的にインターンシップに参加しているかがわかる。

本選考さながらの事前選考

企業はできるだけ多くの学生をインターンシップに受け入れたいと考えるが、職場や会場のキャパシティー、受け入れ側のスタッフの人数等により、受け入れ可能人数には上限があり、参加者を絞り込むための事前選考が行われることがほとんどである。

インターンシップ参加者の中には、事前選考を1度も経験していない学生も1割ほどいるが、受け入れ人数の多い1Dayインターンシップで、定員になるまで先着順で受け付け、定員に達した時点で締め切るタイプのものだったのだろうと推測される。

受け入れ人数が限られるのであれば、誰でもいいわけではなく、できるだけ自社の求めるタイプの学生で定員を埋めたいと考えるのが普通だ。

では、事前選考の方法は何が多いのだろうか。最も多かったのは、エントリーシートで85%に及ぶ。エントリーシートを課さない企業は少数派だ。

次いで適性検査が64%、面接が51%などとなっている。なんと、学力検査を課された学生も35%と、3人に1人の割合になっている。

インターンシップだけの選考で、わざわざ学力検査まで課す必然性がわからない。もはや本選考となんら変わりがないといえるだろう。企業側は、今後の採用選考も想定したうえで、インターンシップの時点でより適性の高い学生を発掘する機会として、効果的に活用しようとしていることがうかがえる。

これまで参加したインターンシップのタイプ(期間)を見てみると、最多は1日タイプで、7割を超える学生が参加している。次いで半日タイプと、2〜3日タイプがほぼ5割となっている。

昨年度と比較すると、1日は昨年と同様の傾向である一方で、半日は昨年の結果よりも10ポイント以上も増加している。インターンシップと称したセミナーがさらに増加しているということになる。中には1日で午前、午後と2社のインターンシップに参加した学生もいる。

これらの1dayインターンシップによくある内容は、「事業の紹介」や「グループワーク」「座談会」となっており、職業体験としてのインターンシップの要素は皆無といえる。

しかし、就職活動を意識する学生にとっては、限られた期間中に効率的に複数の企業のインターンシップに参加し、採用選考を有利にしたいと考えるのであれば、1日や半日のタイプが現実的に参加しやすい長さであるということなのだろう。

学生にとって理想は2〜3日

一方、学生の経験を基に、「最も望ましいと考えるインターンシップのタイプ」を択一式で聞いたところ、2〜3日タイプが文系では6割、理系でも5割を超えて最多となった。

今後参加予定のインターンシップのタイプでも、2〜3日タイプが増加している。やはり、企業やそこで働く社員のことをよく知ろうと考えると、ある程度の時間が必要であることに気づくのだと思う。

学生が2〜3日タイプが望ましいと考える具体的な理由としては、「1日程度だと企業のことは理解できず、3日以上であると学校を欠席しないといけなくなる」が非常に多く、「(2〜3日程度であれば)就活仲間も作れる」や「企業の負担を考えるとこの程度がいい」等のほか、「コンテストタイプのインターンシップで実績を残すことが目的」と明確な目的を持って臨む強者もいる。

参加した時期やこれからの予定も確認しておこう。インターンシップに参加した時期は、8月が最多で7割を超える。次いで9月が6割を超え、夏期休暇中にピークを迎えている。7月に参加した学生は3割程度であることを考えると、7月から8月に向けて飛躍的に増加していることがわかる。


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今年廃止された経団連ルールの中で、就職活動等が学生の本分である学業の妨げにならないよう、採用活動等の時期が定められていた。したがって、企業はこのルールを尊重し、平日のインターンシップ開催を自粛し、学生が参加しやすい夏期休暇や冬期・春期休暇期間での開催に集中していたが、最近はこれが崩れてきている。

10月も4割以上の学生が参加したのに続き、11月にいたっては参加予定だと回答した学生が文系では6割を超える。街中からリクルートスーツ姿の学生が消えないわけである。

早期参加者への囲い込みが続く

最後に、参加した学生へ企業からどんなアプローチがあるのか見てみよう。最も多いのは、次のインターンシップの案内の70%、次いで特別セミナーの案内が40%、(プレ)エントリー受付の開始案内が33%、早期選考会の案内が31%などとなっている。

2020卒の就活生を対象に実施した3月時点での調査では、早期選考会の案内が5割を超えていたことを考えると、11月現点では時期的にまだ選考まで進んでいる企業がそれほど多くなく、しかるべく選考時期まで学生をつなぎとめる囲い込みの手段として、次のインターンシップの案内や、特別セミナーの案内が行われているということなのだろう。

年明け以降に同様の質問をしたら、確実に、早期選考会の案内が増えてくるはずだ。現在は、早期インターンシップ参加者の囲い込みに忙しいというわけである。この傾向は、3月までは採用選考の広報活動をしてはならないという経団連ルールの廃止により、今後、さらに強まっていく。