皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、長く非正規雇用が続き、貯蓄もままならなかった34歳の会社員女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

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やっと正社員になれましたが、このまま一人で生きていけますか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回の相談者は、長く非正規雇用が続き、貯蓄もままならなかった34歳の会社員女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

▼相談者みのもさん(仮名)
女性/契約社員/34歳
関西/賃貸住宅

▼家族構成一人暮らし

▼相談内容長らく非正規雇用が続き、手取りが少ない中で、このまま暮らしていけるのか不安です。

一時期シェアハウスに暮らしていたのですが、2年前に正社員雇用が決まったタイミングで一人暮らしを始めました。ただ、そちらの会社も半年で解雇になってしまい、契約社員を経て、現在は正社員として働いています。

それまでの貯金は引っ越し費用等で使ってしまい、この1年でようやく数万円ずつ貯金ができるようになりました。以前は生命保険の加入をしておりましたが、転職で手取りが減ったため解約しています。

今後結婚もする予定はないので、このまま1人で生活していくことが可能なのか、不安です。今は生活はできていますが、何かあって働けなくなったらすぐに困窮するのが恐ろしいです。現在健康面での大きな問題は無く、借金もありません。

▼家計収支データ

▼家計収支データ補足(1)貯蓄について
光熱費が少ない月やイベントごとがなければ、月3万円は貯蓄可能。イベントとしては、両親の誕生日や父母の日のプレゼント(各々約5000円)、会社での歓送迎会(約5000〜7000円)、実家への帰省費用(約1万4000円)など。

(2)ボーナスについて
ボーナスは基本的になし。全社の実績がいい場合は、期末に賞与がある場合あり。昨年は10万円で、同じ職種の先輩に聞くところによると過去最高額だったとのこと。

(3)退職金、定年について
退職金制度あり。正社員勤続3年以降、年間12万円。定年は60歳。再雇用制度はなし。

(4)実家について
将来的に実家に戻る可能性はあるが、両親が元気なうちは戻らない。また、田畑や家屋は相談者が相続する予定。

(5)生活の楽しみについて
相談者コメント「週末スポーツのチームに参加したり、時々試合に参加しますが、かかるとすればその参加費(数百円〜1000円)くらいです。2〜3カ月毎に友人とコンサートを開いたりすることもありますが、会場費は参加者で出し合ってこちらも数百円程度です。

年に数回地域の奉仕活動で、連休などは子供会のキャンプなどにサポーターとして参加しておりますが、費用は支給されます」

▼FP深野康彦の2つのアドバイスアドバイス1:収入アップの手段として転職への意識は持ち続けたい
アドバイス2:もしもの備えとして必要最小限の「医療保障」は確保したい

アドバイス1:収入アップの手段として転職への意識は持ち続けたい

現状、無理なく貯蓄ができるのは月3万円とのこと。ボーナスの支給は基本的にはないわけですから、年間貯蓄額は36万円が上限となります。

これでも、収入を考慮すれば、この金額は十分頑張っています。また、このペースを維持すれば5年で180万円、10年で360万円。継続することでまとまった額にはなります。

ただし、現在の収入でこの貯蓄ペースを継続することは、そう容易ではありません。みのもさんも心配されているように、何かあって収入が途絶えれば、貯蓄をするどころか、それまでの貯蓄を取り崩す可能性があります。

「このまま暮らしていけるか」という不安に対しては、そうなった場合の資金的リスクはあると言わざるを得ません。

その改善手段としては、やはり収入アップがもっとも効果的であり理想的です。つまりは転職です。とはいえ、これまで就職では苦労されて、今年やっと正社員に復帰されたわけですから、今は落ち着きたいという気持ちが強いでしょう。あるいは、もう年齢的に転職はきびしいと思われているかもしれません。

しかし、34歳という年齢なら、まだ十分転職の機会は得られるはず。もちろん、焦る必要はありません。現在の職場に勤務をしつつ、情報収集はできるはず。転職機会があればトライするという意識は持っておくべきだと思います。

アドバイス2:もしもの備えとして必要最小限の「医療保障」は確保したい

家計管理については、まったく問題ありません。ローンやキャッシングがない点でも、健全と言えます。あえてアドバイスをするなら、これ以上は切り詰めるべきではないということ。とくに食費と趣味や余暇など自分が楽しめる部分でのコストです。

みのもさんが現在もっとも避けるべきは、先にも触れましたが、収入が途絶えることです。とくに貯蓄がまだ少ない時期は、相当な家計リスクとなります。

したがって自己防衛策として、自分の健康には十分気を配る必要があります。無理な節約で身体を壊したり、あるいは楽しむ部分をカットして、無味乾燥な日々を送ることは、気持ちの部分でマイナスでしかありません。

現在、低コストで楽しむことも幅広くされていますので、今後もバランスよく家計管理を継続してください。

ただし、それでも不慮の事故や病気になることもあります。手術や入院となるケースもないとは言えません。

その際、健康保険の高額療養費制度を利用すれば、医療費が高額となっても、保険適用の治療に関しては自己負担を月8万円台に抑えることができます。また、傷病手当金制度によって、一定の条件を満たせば、会社を休んでも給与の3分の2が最長1年半は支給されます。しかし、家計に負担がかかることに変わりはないのです。

したがって、もしもの備えとして医療保障は確保したいと思います。医療保険であれば、入院5000円のシンプルな保障で、女性・34歳なら保険料は月2000円前後(終身保障終身払い)。医療に特化したタイプの共済も選んでもいいでしょう。

ともあれ、現在は正社員になられたので、厚生年金に加入できました。それだけで老後には大きなプラスです。家計管理も十分ですし、不測の事態がなければ、今後、生活費で大きく困ることはないでしょう。

あとは健康に留意しながら、貯蓄ペースを維持し、転職の意識も持ち続ける。また、65歳と、70歳と元気で長く働くことができれば、老後対策にもつながります。

相談者「みのも」さんから寄せられた感想

真摯なアドバイスありがとうございました。確かに、今まで転職がうまくいかなかったため、これ以上は難しいと考えておりました。

現在の収入で何とかしようとするあまり考えが小さくなっていたようです。現在の職場でも希望するキャリアパスが叶うかも考慮しつつ、転職活動も続けようと思います。

健康にも気をつけてはいますが、体のための支出はケチらないようにしようと思います。

教えてくれたのは……深野 康彦さん  

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:清水京武
(文:あるじゃん 編集部)