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プロ野球契約更改が佳境に入ろうとしている。各球団それぞれ若手選手の契約更改を終え、主力選手の契約更改が始まった。

この時期、契約更改の報道のなかでよく耳にするのが「減額制限」という言葉だ。野球協約上で定められている「減額制限」は選手にどのようなメリットをもたらすのか。なぜ必要なのか。J-CAST編集部が調べた。

「ただし」書きで定められている内容

「減額制限を超える大幅ダウン」。スポーツ紙などの報道で連日のように目にする見出しだ。直近では、巨人の中島宏之内野手(37)が、2019年12月3日に球団との契約更改交渉に臨み、減額制限を超える87%ダウンとなる1億3000万円減の2000万円(金額はいずれも推定)でサインした。

野球ファンからは、「減額制限を超えてもいいの?」と疑問の声が上がっている。この問いに関する応えは「イエス」だ。野球協約の第92条(参稼報酬の減額制限)では、年俸の減額に関して以下のように制限している。

(1)選手のその年度の参稼報酬の金額が1億円を超えている場合、40パーセントまでとする。
(2)選手のその年度の参稼報酬の金額が1億円以下の場合、25パーセントまでとする。

原則として上記のように定められているが、第92条には「ただし、選手の同意があればこの限りではない」との文言があり、球団が減額制限を超える年俸を提示したとしても、選手がこれに同意した場合は契約が成立する。

「減額制限の意味がないのでは?」との声が聞こえてきそうだが...

選手の同意があれば契約が成立するのならば、「減額制限の意味がないのでは?」との声が聞こえてきそうだが、制限を超えた際にその意義を見出すことができる。

減額制限を超えた年俸を選手が不服とし拒否した場合、自由契約選手になる「権利」が与えられる。これは移籍を前提とした他球団との交渉が可能になることを意味する。球団が減額制限内の減俸を提示し、選手がこれを拒否した場合、自由契約の選択肢はなく、球団の提示を受け入れるか、任意引退となる。

任意引退は球団がその選手の保有権を持つため自由に他球団との交渉はできない。仮に選手が他球団への移籍を望んだ場合、前所属球団が許可するか、もしくは前所属球団が保有権を放棄しない限り不可能となる。任意引退選手が自由契約選手に切り替わった例でいえば、元日ハムの新庄剛志氏(47)が挙げられる。日ハムを任意引退した新庄氏は、現役復帰を目指すにあたり日ハムにその意向を伝え、申し入れが認められた。

今オフは、嶋基宏捕手(34)が楽天から減額制限を超える減俸提示を受け、これを拒否して自由契約となりヤクルトに移籍。昨年は金子弌大投手(36)がオリックスから減額制限を超える減俸を提示され、受け入れずに日ハムに移籍した。このように減額制限が設けられることで、年俸が大幅ダウンした選手が球団に縛られることなく次なるステップへ向けて選択肢が増えるメリットもあり、選手の権利を守る側面を持っている。