新生児の平均寿命、3年縮む 要因は不明=英報告

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ジェイムズ・ギャラガー健康・科学担当編集委員

イギリスの子供の平均寿命が数年短くなっていることが、英国家統計局(ONS)が2日に発表した報告書で明らかになった。

ONSの報告書によると、イギリスで2019年に誕生した女児の平均寿命が、これまでの算出よりも3年短くなっているという。

2014年の公式データでは、女児は平均93.6歳まで生きるとされていた。しかし、現在では90.4歳にとどまっている。

さらに、100歳まで生きる可能性も大幅に低下したという。

何が起きているのか

平均寿命はこれまでも、そして現在も改善はしているものの、複数の専門家は、平均寿命が高く見積もられすぎていたと指摘する。

過去に予測されていたよりも、平均寿命の改善度合いはずっと小さい。2011年以降の平均寿命の延びが減速傾向にあることは広く認められている。

2018年には、平均寿命の延びが過去30年以上の間で初めて止まった。このことから、統計学者が、将来の平均寿命の延びに関する予測を再評価することとなり、今回公表されたデータが導き出された。

報告書では、このバラ色ではない状況が子供の長寿予測に与える影響を算出している。

2019年に誕生した男児は、今回の算出では、平均87.8歳まで生きると予測されている。2016年のデータでは89.7歳、2014年では91.1歳とされていた。

さらに今後を見てみると、2043年に誕生する子供は、100歳まで生きる可能性が劇的に低下している。

詳細は以下の通り:

2043年に誕生する男児の20.8%が100歳まで生きると予測 2043年に誕生する女児の26.1%が100歳まで生きると予測

一方、2年前の算出ではこうだった:

2043年に誕生する男児の34.1%が100歳まで生きると予測 2043年に誕生する女児の40.2%が100歳まで生きると予測

なぜ平均寿命の延びが失速?

ONSは、「平均寿命の延びが減速している原因について、相当な議論がなされている」、「研究者は減速について考え得る可能性を提示している。(中略)いくつかの要因が関係しているが、確信を持って、そのどれかが最も重要な要因だと特定できてはいない」としている。

イングランド公衆衛生庁(PHE)や英シンクタンク「ヘルスファウンデーション」など多くの関係機関が、この問題の真相を究明しようとしている。

最近、画期的な薬効を持つブロックバスター医薬品が不足していることが問題かもしれない。

国民保健制度(NHS)の創設、喫煙者の減少、小児予防接種の実施(英国内で最後にポリオの症例が報告されたのは1984年)、心臓病や脳卒中、がんなどのとりわけ致命的な病気に関する医療の進歩によって、20世紀における平均寿命は改善された。

一方で、現在では、完治が難しく、大きな死因として認知症が挙げられている。

高齢者の人口が増加し、認知症やそのほかの長期的な健康問題が生じている。PHEは、高齢化によって、インフルエンザなどの病気にかかりやすい人が増えているのかもしれないと指摘する。

高齢になるずっと前に、平均寿命に影響を与えている問題も存在する。スコットランドでは、薬物乱用による死亡率が、欧州連合(EU)内で最も高いという。

最も影響が疑われる政治的要因の1つは、緊縮財政だ。政府予算の削減計画は、平均寿命の延びの減速時期と一致している。

PHEの報告書によると、最も貧しい人々が平均寿命への影響を最も強く感じているといい、「政府支出の役割を示している可能性がある」という。

決定的な答えは提示されず

BBCのヒュー・ピム健康担当編集長は、平均寿命の延びが減速していることに、学者から多くの注目が集まっているものの、その要因がなんなのかという決定的な答えは提示されていないと話す。

ピム編集長によると、2011年以降、平均寿命の延びが減速しているとONSが結論付けたことで、特定の要因について憶測が広がっている。一部コメンテーターらは、同時期の政府支出の削減が要因だと指摘しているという。

しかしピム編集長は、イングランドと同程度の削減は、英国内のほかの地域では実施されていないことに注目すべきと指摘する。政府側は、政府方針の影響を強く否定している。

ピム編集長は、確かな傾向や原因を特定するには、しばらく時間がかかる可能性があるとみている。

(英語記事 Child life expectancy projections cut by years)