「企業は採用不採用の決定権で、就活生の人生を左右できるという立場を利用してハラスメントを行うことを直ちにやめてください」

 2日午前に行われた、“就活セクハラ”の防止対策を厚生労働省に求める学生たちの会見。東京大学や早稲田大学など6つの大学から集まり、就活生の実情を訴えた。

 「OB訪問中やインターン後の社員との食事の中で、何度も聞かれたことがあります。『彼氏いるの?』『結婚ってどう思ってる?』『うちは社内結婚多いから安心だね』『早めに彼氏作らなきゃ売れ残っちゃうよ』『すぐに結婚すると困るからやめてよね』。私を採用するにあたってこれらの情報は本当に必要なものなのでしょうか」(被害を訴えた学生)

 このほか、ジェンダーの平等を目指す一般社団法人Voice Up Japanの「就活セクハラに関するアンケート」には、「就活アプリを通して知り合って社員に夕食に誘われ、不適切なボディタッチをされた。住所を複数回に及んで聞かれた」「小さな声で話し聞き取りにくいからと近くに寄ったら、息を吹きかけられた」「大学時代に身体関係を持った人の話を聞かれた」といった実体験が寄せられている。

 厚生労働省は10月、職場におけるハラスメントの指針案をまとめた。就活生に対しては、企業がとるべき「望ましい」取り組みは提示されたものの、望ましいだけでは抑止力にならないというのが学生たちの主張だ。また、企業側だけでなく、被害にあった場合の相談先などについて、大学など教育機関によるサポート体制の構築も求めている。

 「学生が『自分が声を上げても無駄だ』と思わないような環境づくりというものを大学に取り組んでいただきたいです」(国際基督教大学の山下チサトさん)

 就活ハラスメントに関しては、エッセイストの小島慶子さんなどがプロジェクトを立ち上げ、学生たちが厚労省に要望書を提出するなど、当事者による訴えが広まっている。大学生有志のネットワーク「SAY」は緊急声明として、「OBOG訪問等『業務外』でセクハラや性犯罪が発生。就活生は『社員候補/潜在的な部下としての立ち回り』を要求されるため、社員からのセクハラに泣き寝入りするしかできない状況。現状の国や企業、大学の対策は不十分」だとしている。

 就活セクハラの現状について、臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は「OBOG訪問は業務外で行われているので、企業側がコントロールしにくく、さまざまな問題につながりやすい。実際に学生に話を聞くと、確かに現場の最前線の話を聞くことができ、書類を書く際や面接に生かせるということもあるが、中には度を超えた要求や誘いがあるケースも多い。学生には『OBOGのニーズに答えすぎるのはよくないので,適度に距離を保つべき』と伝えている」と話す。

 また、フリーアナウンサーの柴田阿弥は「大手企業だからとか、人格を完全に担保する肩書きはない」と就職セクハラへの憤りを顕にしつつ、「実際に声を上げた女子大生の方たちは本当に勇気があると思う。でも、このような主張をすることで彼女らを『怖い』と感じる人もいるような気がしている」「人を変えることは基本的に無理だと思うので、国が制度を作ったり対策を取るなど、弱い立場の学生を守っていくべきなのではないか」と自身の考えを述べた。

 これに藤井氏は「彼女らを『怖い』と言ってしまう人は、『自分が正しい。相手が間違っている』と価値観が固定化してしまっている。そこはニュートラルに『なぜこのようなことを言っているのか』ということに耳を傾けないと、世の中は変わっていかない」と指摘。また、「柴田さんのような就活生より少し年上の先輩の言葉は、学生たちにとっては非常に大きな勇気になる」とした。

 一方で、国がルールを設けても本質的な解決は難しいとし、「ルールをすり抜ける人や意に介さない人は必ず出てくる。仕事をせず、時間を持て余してマッチングアプリをしているような社員もいる一方、地位があってコミュニケーションスキルが高い人が就活セクハラをする場合もある。今後は、OBOG訪問は一律『やめる』でいいのではないか。大学ではセミナーに企業を呼んで、公式に話を聞ける機会を設けているので、そういったイベントを拡充するなどしてOBOG訪問に替わる新たな文化を創造していけばいいと思う」との見方を示した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)