新聞を閲読している人の取得スタイルは多様におよぶ。学校や職場、図書館などで借り読みしたり、通学や通勤の途中で購入、あるいは気が向いた時にのみコンビニなどで買う場合もある。しかし多くは世帯単位で月ごとに契約し、定期購読する「月ぎめ」での購読スタイルによるものとなる。一方、紙媒体の新聞そのものの敬遠傾向や、世帯人数の減少に伴い、この「月ぎめ」による購読率が減少しているとの話もある。今回は財団法人新聞通信調査会が2019年11月2日に発表したメディアに関する全国世論調査から、この「月極による新聞購読者」に関して現状を確認していくことにする(【発表リリース:第12回メディアに関する世論調査結果】)。

月ぎめ新聞購読者は約7割、そのうち全国紙は5割強


今調査の調査要綱は先行記事【じわりと下がるメディアへの信頼度、民放テレビは持ち直しか(最新)】を参照のこと。

冒頭の通り世帯単位・月単位で契約を交わし、原則毎日新聞を世帯まで配達してもらう購入方式を「月ぎめ」と呼んでいる。購読者にとっては確実に入手ができ、新聞社(新聞販売店)には固定客となるため、双方ともにメリットがある。今調査対象母集団では回答時点で66.6%の人が月ぎめで新聞を取得している。


↑ 月ぎめで新聞を取っているか(2019年度)

新聞販売店では複数の新聞を取り扱っている。また複数の販売店とそれぞれ契約し、1世帯で複数の新聞を月ぎめで購入する場合もある。例えば一般紙と業界紙、業界紙とスポーツ紙、さらには複数の一般紙を購読して中身を比較するといった具合。そこで月ぎめで取っている人に対し、どのような種類の新聞を取っているのかを複数回答で聞いた結果が次のグラフ。「全国紙」とは朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、日本経済新聞を、「ブロック3紙」とは北海道新聞、中日新聞、西日本新聞を意味する。


↑ 月ぎめで取っている新聞の種類(該当者限定、複数回答)(2019年度)

全国紙は49.4%。意外に少ないと思う人もいるかもしれない。県紙・地方紙が38.4%、ブロック紙が13.8%。スポーツ紙や夕刊紙、その他の新聞(業界専門紙など)は1割にも満たない。全部を足すと110.7%になるため、同一区分内で複数紙を購読している可能性もあるが、それでも複数購読はさほどいないことが予想できる。

そこで「同一区分内で複数紙を購読」のうち、一番ありそうなパターンとなる全国紙に関して、何紙を取っているかを聞いた結果が次のグラフ…だが、実は今回年度の調査結果では今項目は除外されている(理由は不明)。そこで今項目は2017年度の値を適用する。それによれば4.8%が複数紙を購読している。


↑ 全国紙を何紙取っているか(該当者限定)(2017年度)

約21人に1人との割合が多いか少ないかは微妙なところだが、ともあれ全国紙の複数購読者はそれだけいることになる。見方を変えればごく少数でしか無いため、調査項目をむやみに増やすのはよくないとの判断から、今項目は2018年度以降では除外されたのかもしれない。

経年と属性、それぞれの月ぎめ新聞購読者の動向


月ぎめによる新聞購読者の動向を経年推移で、さらには属性別で確認していく。まずは経年変化。データが取得可能な2008年度以降に関し、どの種類でもよいので月ぎめで新聞を購読しているか、具体的にどの新聞を取っているか、その変化を見たのが次のグラフ。じわりと減少していくようすが分かる。


↑ 月ぎめで取っている新聞(複数回答、新聞種類別)

もっとも古い2008年度時点では88.6%だった月ぎめ新聞購読者も、直近の2019年度では66.6%。22.0%ポイントもの減少を示している。具体的な中身を見ると、地域性の強い県紙・地方紙はあまり変化が無いが、全国紙とブロック3紙が漸減し、これが全体値を押し下げている様子が分かる。

特に全国紙の減少ぶりは著しく、2008年度から2019年度の間におおよそ6割に減少、22.2%ポイントもの減少を示している。新聞で読まれている記事の上位には「地元関連」「社会関連」が名を連ねているが、その需要によりマッチした新聞が好まれ取られ続けていることなのだろうか。

これを属性別に見たのが次のグラフ。


↑ 月ぎめで新聞を取っている人の割合(属性別)

男女別では特に大きな違いは無く漸減、年齢階層別では70歳以上はさほど大きな減少は無いものの、それより若い年齢階層における加速度的な減少ぶりが見られる。特に中年層における減り方は著しく(縦軸の下限がゼロではなく30%であることに注意)、他の複数項目でこの層の新聞と距離感を置く姿勢が浮き彫りにされている。

他方18-19歳の年齢区分で、2012年度から2013年度にかけて大きく上昇した、非常に特異な動きが確認できる。これは単なるイレギュラー値なのでは無く、新学習指導要領によって小中高校で新聞などを教材として活用することが示されたことを受け、学校などで手に取る機会が増えたことから、自宅でも取る・取ってもらう人が増えたものと考えられる。しかしその勢いも一時的なもので、再び漸減の動きを示しているのが実情(直近の2019年度では65.5%と前年度比で跳ねる形で増えているが)。



やや余談ではあるが、新聞の将来を見通す上で避けては通れない問題となる「電子新聞」に関する購読について。全国紙に限ってだが、月極の新聞購読は紙媒体か電子媒体かを聞いた結果が次のグラフ。


↑ 全国紙の月ぎめ購読は紙の新聞か電子新聞か(該当者限定)(2019年度)

合算すると月ぎめで全国紙を購読している人の3.7%は電子新聞による購読となる。紙媒体の優先順位が下がる昨今において、電子化は新聞業界における数少ない未来への道しるべ的存在ではあるが、現状ではまだまだ道のりは厳しそうだ。