紙媒体としての新聞の発行部数が漸減しているのは周知の事実で、購読者数もそれに連れて減少していることは容易に想像がつく。特に若年層から中年層で新聞離れが進んでいるとのイメージが強い。それでは実際、新聞はどれほど読まれているのだろうか。財団法人新聞通信調査会が2019年11月2日に発表したメディアに関する全国世論調査から、その実情を確認していくことにする(【発表リリース:第12回メディアに関する世論調査結果】)。

毎日読む人4割台、読まない人は3割強


今調査の調査要綱は先行記事【じわりと下がるメディアへの信頼度、民放テレビは持ち直しか(最新)】を参照のこと。

最初に示すのは、新聞の閲読頻度。購入頻度ではないことに注意。例えば自分では買っていないが会社や喫茶店で定期的に目を通したり、父親が通勤時に買った新聞を自宅まで持ち帰り、それを子供が読む場合などは、購入はしていないものの閲読したことになる。新聞の周知度、広報効果に関して「読みまわしをする場合も多々ある」との意見もあるが、今件データはそれを検証する上でも参考になる値ではある。

なお2017年度までは単に朝刊の閲読頻度を尋ねていたが、2018年度以降はニュースとの接触頻度の項目での設問となっている。そして比較される他メディアが例えば「NHKテレビのニュース」などとメディア名に「ニュース」がつけられており、新聞のみ単に「新聞」との記載となっている。要は新聞にはニュースしか掲載されていないとの前提なのだろう。厳密には2017年度までと2018年度以降との間に連続性は無いことに留意が必要になる。

さらに厳密には朝刊だけでなく夕刊も該当するとの解釈もできるが、2017年度まで朝刊・夕刊の区分が行われていたのにもかかわらず2018年度以降それが無くなったことから、調査側でも夕刊の影響力は誤差の範囲内に留まると解釈したことが推測される。


↑ 新聞の閲読頻度(2019年度)

新聞を毎日読んでいる人は4割台。その多くは月ぎめなどの契約購読者と見て間違いないだろう。週数回の人は業界紙的な新聞を取っているか、あるいは通勤・通学時にスタンドなどで購入するタイプだろうか。週一以上で定期的に閲読している人は60.1%。週一未満の人まで合算すると、購入していないが読んでいる人まで合わせて、およそ2/3の66.5%(単純加算では66.4%だが、後述する報告書の公開値では66.5%とある)が新聞を閲読していることになる。

他方、新聞を読んでいない人は3割強。「回し読みをしているから新聞の購入数の数倍は延べ閲読者数が存在しているはず(なので、実際の閲読者数は購読者をはるかに上回り、浸透率も高い)」との試算を思い返すと、大きな開きが生じている感は否めない。

新聞閲読者の詳細を確認する


続いて属性別の新聞閲読者動向を確認していく。週一未満、つまり滅多に読まない人でも「とにかく新聞を読んでいるのだから閲読者に違いない」と認定し、これを閲読者全体とした上で「読む人合計」とし、毎日読む人と合わせて属性別の動向を確認したのが次のグラフ。


↑ 新聞の閲読頻度(毎日読む人、属性別)


↑ 新聞の閲読頻度(読む人合計、属性別)

まず毎日読む人だが、女性よりは男性、若年層よりは高齢層の方が値は高い。特に30代までは毎日閲読者=契約購読者と思われる人が非常に少ないことが分かる。他方、60代は2/3強、70歳以上では8割近くが毎日閲読している。これが「とにかく新聞を読んでいる人」となると18歳-20代でも3割前後、30代でも4割強となる。60代以上は8割台との圧倒ぶりが改めて確認できる。

ここ数年の傾向を見ると、おおよその属性で小さからぬ減少が生じている。一方で70歳以上は横ばいのまま。新聞への傾注ぶりに変化がないことがうかがえる。

ともあれ「回し読み」を考慮した閲読頻度の視点でも、「若年層は新聞を読まない」「高齢層は大いに新聞を好む」実態に変わりは無い。該当者比率も「購読(買って読む)比率」と大きな違いは無く、多少上乗せされた程度であり、特定の係数で乗することで「回し読みの結果延べ人数として●×人が読んでいる」と多分な値が示される話は、それほど現実的では無いことが分かる。



やや余談になるが。単純比較が可能な、もっとも古い計測値の2009年度分と直近2019年度分を比較し、その差異を算出した結果が次のグラフ。各属性でどれほど新聞の閲読者数が減ったか、その割合を大体ではあるが知ることができる。


↑ 新聞の閲読頻度(属性別、ppt)(2009年度→2019年度)

毎日読む人、つまりおおよそ契約購読者は中年層で大きく減り、新聞の閲読そのものから離れてしまった人は若年層から中年層まで幅広く、特に若年層に多い。新聞そのものに対する現状の評価状況や情報取得媒体としての新聞の相対的立ち位置の変化と、それに取って代わっているであろうウェブ関連の浸透が進んでいる属性を考慮すると、納得のいく動きではある。特に70歳以上の鉄板的な堅甲さ(読む人全体の比率は1.4%ポイントしか減っていない)を見るに、改めて新聞の高齢層における人気ぶりに感心せざるを得ない。