DCコミックスのキャラクターとして世界的人気を誇るヒーロー「バットマン」。数々の俳優が演じ、ティム・バートンやクリストファー・ノーランら有名監督によって実写映画化されたシリーズ作品10本をまとめてご紹介。

バットマン オリジナル・ムービー』(1966)

バットマンの映像化作品の歴史は、1943年、コロンビア映画による15本の短編からなる連続活劇『Batman』に始まる。その後、1966年にTVドラマ『怪鳥人間バットマン』の劇場版として公開されたのが本作。

舞台はゴッサム・シティ。凶悪な犯罪者であるジョーカー(シーザー・ロメロ)、リドラー(フランク・ゴーシン)、ペンギン(バージェス・メレディス)、キャットウーマン(リー・メリウェザー)の4人が手を組み街を支配しようとする。そんな中、夜空へサーチライトが投射され、漆黒のヒーロー・バットマンが緊急出動。相棒のロビン(バート・ウォード)とともに宿敵たちを一網打尽にしていく……!

元祖バットマン映画としてDCキャラクターが登場する初の長編映画作品である本作では、元々のコミックらしいギャグ要素やキャラクター性を活かしながら、実写ならではの表現に富んだ一作に仕上がった。その後のシリーズでも登場する宿敵たちのキャラクター造形は見事で、中でもシーザー・ロメロが不気味に怪演する初代ジョーカーの魅力と迫力には圧倒される。

『バットマン』(1989)

「バットマン」シリーズの記念すべき第1弾となる本作。『ビートルジュース』(1988)で大ヒットを飛ばしたティム・バートン監督が監督に抜擢され、主演のマイケル・キートンは初代バットマンとしての人気を不動のものとした。

犯罪がはびこるゴッサム・シティでは、闇夜にまぎれ世直しをする謎の怪人がいた。漆黒のスーツに身を包んだその男の名はバットマン(マイケル・キートン)。女性カメラマンのヴィッキー(キム・ベイシンガー)はそんなコウモリ男の正体を暴こうとする。そんな中、宿敵ジョーカー(ジャック・ニコルソン)の出現でゴッサムの街は混乱状態に陥る……!

人気アメリカン・コミックスの本格的な映像化を果たした本作では、ティム・バートン監督がもつ芸術性が遺憾なく発揮されている。主人公バットマンのビジュアルやバットマンの戦闘車であるバットモービルなど、随所に工夫が凝らされた美術造形で見事第62回アカデミー賞美術賞を受賞。また、コミカルでありながらも残虐性を極めたジャック・ニコルソンの怪演ぶりは歴代ジョーカー役の中でも強烈な印象を残している。

『バットマン リターンズ』(1992)

前作に続いてティム・バートン監督が続投し製作されたシリーズの続編。第1作に増してティム・バートンの世界観が全面に押し出された本作ではCG技術が駆使され、当時先進的なSFXアクション大作となった。

犯罪都市ゴッサム・シティでは悪の勢いが絶えることはなかった。サーカス団を率いるペンギン(ダニー・デヴィート)、密かな野望を抱く冷酷な実業家シュレック(クリストファー・ウォーケン)、そして闇夜に紛れるキャットウーマン(ミシェル・ファイファー)。クリスマスを舞台にバットマンの孤軍奮闘が始まるのだった……!

バットマン役にはこちらも監督同様前作に引き続きマイケル・キートンが続投。名優が扮する悪役の登場に加え、ビジュアルを新たにし、怪しい輝きを放ちだすゴッサム・シティ。善と悪の境が曖昧となる物語は、後のバットマン作品でも描かれることとなるダークなトーンにあふれている。

『バットマン フォーエヴァー』(1995)

大ヒットシリーズ第3弾では前作の暗鬱とした雰囲気を一新すべく、製作サイドの方針によって『セント・エルモス・ファイアー』(1985)などの青春映画を手掛けていたジョエル・シュマッカー監督が新たに抜擢された。

犯罪数が一向に減らないゴッサム・シティでは、バットマンに深い恨みを抱くトゥーフェイス(トミー・リー・ジョーンズ)が暴動を起こしていた。さらに、バットマンことブルース・ウェイン(ヴァル・キルマー)が経営するウェイン・エンタープライズの研究員ニグマ(ジム・キャリー)が恐怖の洗脳マシンを開発し怪人リドラーと化す。トゥーフェイスとリドラーはバットマンを共通の敵として手を組むのだった……!

本作では監督だけでなくメインキャストも新たにキャスティングされ、トム・クルーズ主演の大ヒットアクション『トップガン』(1986)でアイスマン役を演じ名を上げたヴァル・キルマーがバットマン役に抜擢された他、敵役にトミー・リー・ジョーンズとジム・キャリー、ロビン役にクリス・オドネル、さらにニコール・キッドマンやドリュー・バリモアなど豪華キャストが揃った。

『バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲』(1997)

「バットマン」シリーズ第4弾となる本作。監督は前作のジョエル・シュマッカーが続投し、主役悪役ともにスターを起用したさらなるエンターテインメント・アクション大作が完成した。

ゴッサム・シティを次なる恐怖に陥れるのは冷凍怪人Mr.フリーズ(アーノルド・シュワルツネッガー)。フェロモンを武器にするポイズン・アイビー(ユマ・サーマン)と手を組みバットマンに襲いかかるが、バットマン側もロビン(クリス・オドネル)、バットガール(アリシア・シルヴァーストーン)という仲間を得て迎え撃つ……!

前作でバットマンを演じたヴァル・キルマーの降板を受け、TVドラマ『ER緊急救命室』で人気スターとなっていたジョージ・クルーニーが3代目バットマンに抜擢される。ロビン役のクリス・オドネルは続投し、敵役にもアーノルド・シュワルツネッガーとユマ・サーマンという布陣で製作。それまでの評価から一転、第18回ゴールデンラズベリー賞で9部門にノミネートされる結果となった。

『バットマン ビギンズ』(2005)

『バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲』の不評によりシリーズ第5弾の企画が中止されたものの、新たにクリストファー・ノーラン監督が起用され「ダークナイト・トリロジー」としてリブートが決まった。バットマンを演じるのは、『マシニスト』(2004)での役作りのための劇的な減量が話題を集めたクリスチャン・ベイル。

まだ幼いブルース・ウェインは両親を強盗によって殺害されてしまう。孤児となったブルースは執事のアルフレッド(マイケル・ケイン)に育てられ、長い放浪生活の末、犯罪と不正にまみれたゴッサム・シティに戻ってくる。ブルースは正義を誓い、漆黒のスーツに身を包んみダークヒーロー、バットマン(クリスチャン・ベール)となるのだった。

新たなシリーズ作品の第1弾となった本作は、これまでのシリーズのヒーロー映画らしいトーンをがらりと変え、人間の闇の部分をえぐり出すような、よりリアルな表現が追求されている。ヒットメーカー、クリストファー・ノーラン監督の演出手腕は批評家からの好評価を受け、「新生バットマン」シリーズは新たなファン層を獲得した。

『ダークナイト』(2008)

「バットマン」シリーズのリブート作品である「ダークナイト・トリロジー」の第2弾。監督はクリストファー・ノーランが続投し、バットマン役もクリスチャン・ベイルが務めた。

これまでも様々な悪の力がのさばっていたゴッサム・シティに現れたのは、不敵な笑みを浮かべながら殺人をもろともせずに次々犯行に移していくジョーカー(ヒース・レジャー)であった。この凶悪犯を前に、バットマン(クリスチャン・ベール)は新任検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)と協力して犯罪を根絶しようとするのだが……。

今作で最も目を引くのは、バットマンよりもやはりジョーカーの存在感だろう。ヒース・レジャーは歴代ジョーカーのファンタジックなキャラクター性を排し、リアルな演技を徹底。善悪を超越したカリスマ的な魅力を放つジョーカー像を実現し、第81回アカデミー賞では堂々の助演男優賞を受賞している。

『ダークナイト ライジング』(2012)

クリストファー・ノーラン監督とクリスチャン・ベイルによる「ダークナイト トリロジー」完結編。シリーズ史上最高の製作費をかけ実現した迫真の映像表現で、3部作の壮大なフィナーレを飾った。

バットマン(クリスチャン・ベール)がゴッサム・シティを去って8年が経った。しかし平和な日々はまたしても失われようとしていた。覆面のテロリスト、ベイン(トム・ハーディ)が再び街を恐怖に陥れると、バットマンに再起の時がやってくるのだった。

本シリーズにおける第2弾『ダークナイト』からノーラン監督の弟ジョナサン・ノーランが脚本に参加し、本作では巧みなプロット術によって物語にはこれまでにない厚みが加わった。完結編に相応しい作品世界のフィナーレはすべてのファンに大きな興奮と感動を与えた。

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)

スーパーマンの活躍を描く『マン・オブ・スティール』(2013)にはじまるDCコミックスのクロスオーバー作品である「DCエクステンデッド・ユニバース」の第2弾として製作されたのが本作。監督は『ウォッチメン 』(2009)のザック・スナイダーが務め、スーパーマンとバットマンの2大ヒーローによる映画史上初の死闘が描かれる。

これまで地球を数々の危機から救ってきたスーパーマン(ヘンリー・カヴィル)であったが、その功績の裏には罪なき人々の甚大な被害があった。自身のオフィスを破壊され大きな犠牲を強いられたブルース・ウェイン(ベン・アフレック)は、レックス・ルーサーJr.(ジェシー・アイゼンバーグ)の陰謀に翻弄されながらもバットマンとしてスーパーマンに闘いを挑むのだった……!

正義のヒーローとして地球の平和を守っていたはずのスーパーマンがその特殊能力の強大さがゆえに、実は人々の脅威となっていたというこれまでにない物語設定が話題に。あくまで生身の人間でしかないバットマンを体当たりで演じるベン・アフレックが、孤高の闇の騎士に新たなキャラクター像を与えている。

『ジャスティス・リーグ』(2017)

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』の続編であり、DCエクステンデッド・ユニバースの作品としては第5弾にあたる作品。

スーパーマンの自己犠牲によって地球の危機はまたも守られたが、世界は悲しみに包まれていた。しかし地球の安全を脅かすさらなる悪の勢力が動き出し、危機感を抱いたバットマンは、ワンダーウーマン(ガル・ガドット)、フラッシュ(エズラ・ミラー)、アクアマン(ジェイソン・モモア)、サイボーグ(レイ・フィッシャー)とともに最強の連合軍を結成する……!

『アイアンマン』(2008)にはじまり瞬く間に世界的人気を獲得した「マーベル・シネマティック・ユニバース」に対抗するように、DCコミックスも単発作品の枠を超え、スーパーヒーローたちが集結し強大な敵に挑む物語が遂に映像化。前作『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のザック・スナイダー監督が続投し、マーベル作品とはまた一味違う独特の高揚感を生み出した。

2021年6月には、最新作『The Batman(原題)』の米国公開が報じられており、期待が高まる。

【文/チャーリー】

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