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12/1 道交法改正

text:Hideaki Hamasaki(浜先秀彰)

ご存じの方も多いだろうが、12月1日から道路交通法の改正により「ながら運転」の厳罰化が実施された。「ながら運転」とは運転をしながら、おもにスマートフォンや携帯電話の操作を行うことなどを指す。

警視庁の過去10年のデータによると交通事故の件数は毎年減っているものの、その中でスマートフォンや携帯電話が関わる事故の件数は増え続けているという。罰則の強化は当然と言える。

運送業者の運行管理者を中心に、不安全運転への対策に関心が高まっている。AI搭載通信型ドライブレコーダーも、その1つ。

では具体的に12月1日の前後でどのように罰則が変わったのか?

まず違反点数についてだが、スマートフォンや携帯電話の保持は1点だったものが3点になり、以前に別の違反をしていた場合には免停へのリスクが高まっている。そして交通の危険を生じさせた場合には2点だったものが6点になり、いわゆる一発免停になってしまう。

一方、反則金については保持の場合で6000円(普通車・以下同)だったものが1万8000円と3倍に。そして交通の危険を生じさせた場合には9000円だったものが、反則金(青キップ)では済まずに刑事手続の対象(赤キップ)となる。なんと1年以下の懲役または30万円以下の罰金と非常に厳しいものだ。

法人向けにカーリースを展開しているオリックス自動車では2018年より、米国発の人工知能搭載通信型ドライブレコーダー「ナウト」を国内の法人向けに提供を開始。11月21日からは新機能も追加された。

これに合わせ報道関係者向けのサービス説明・体験会が行われ、今回はその性能を体感してきた。

「ながらスマホ」を検知

ナウト(nauto)の見た目は普通のドライブレコーダーと何ら変わることがなく、フロントガラスの上部に本体を貼り付けるように設置。

やや大ぶりの本体には。車両前方向け/車内向けの2つのカメラが内蔵されるとともに「AI(人工知能)」や「通信機能」が搭載されているという。

ナウトは、ドライバーの視線・顔の向きをAIが分析し「ながら運転」を抑止する。

車両前方と室内の状況を常時撮影するというドライブレコーダーとしての機能を備えているが、それよりも注目したいのは「ヒューマンエラー」の抑止効果が抜群に高いということだ。

カメラは画像認識機能によって常時ドライバーの動きをモニターしており、運転中にスマートフォンや携帯電話の操作をしたり、喫煙などの動作をすると即座にけたたましい警告音を鳴らしてドライバーに注意を促す。

もちろん、わき見や居眠りなども検知し、前方車両との車間距離を詰めるなど「あおり運転」の加害者になるような行為にまで警告を発する。

しかも事前のドライバー登録操作は不要で、サングラスなどをかけていても問題ない。世界400社以上に及ぶナウト搭載車の走行を学習したAIは、誤検知がほぼ発生しないのだ。

運行管理者に連携

ドライバーの動きを捉えた映像と警告データは運行管理者にリアルタイムで届けられ、さらにウェブサイトの管理ツール上で情報の確認や分析が行える。

一般的なドライブレコーダーでは事故やヒヤリハットと言われる危険な状況が発生した際に役立てられるが、ナウトでは潜在リスクである無数の不安全な運転行動をあぶり出すことができる。

ドライブレコーダーが、ヒヤリハットを未然に防ぐことができれば、企業はさまざまなリスクを減らすことができる。

危険挙動を起こす要因となる人の不安全行動を可視化すれば、日頃から安全指導が効率的に行え、ヒヤリハットそのものを未然に防止できる。

ドライバーの意識を変えて事故や交通トラブルを減らせれば、企業はさまざまな損害を回避することが可能となるのだ。