喜美子(戸田恵梨香)が絵付けの師匠・深野心仙(イッセー尾形)や兄弟弟子との「お別れ会」を終えて家に帰ると、いかにも不機嫌そうな父・常治(北村一輝)と心配そうなマツ(富田靖子)の姿があった。丸熊陶業の絵付け職人がクビになったと噂で聞いたらしい。

深野もクビになったのかと聞かれた喜美子は、カッとなり「クビになってへんわ。フカ先生は長崎行って絵付けを一から学ぶんやっ。お父ちゃん、分かる? どんなすごいことか。いくつになっても学ぼうとしてるんやで。どんなん出来る?」と食ってかかった。

みな静まり返り、常治が口を開いた。「運送の仕事な、ただのいっぺんも楽しいィ〜、好きやわァ〜、思うたことないで。稼がんならんから、一生懸命やる。ほんでも、家庭科の先生なりたいゆう娘の願いも叶えてやれん。ほんま情けない」

珍しく静かな声でしゃべっていた常治は、最後に爆発した。「もし、お前が深野先生のような人間だけが素晴らしい人間思うんやったら、出てってくれっ。出てけ、あほんだらっ!!」

「火まつりの日」最後の思い出になるはずが・・・

火まつり本番の日がやってきた。深野との最後の思い出を作ろうと、喜美子と十代田八郎(松下洸平)は張り切っていた。肝心の深野は出発ぎりぎりに現れ、「あんな、やっぱ無理や。上まではよう行けんで」などと呑気なことを言っている。「大丈夫です、先生。若い2人がついてます。思い出作りの始まりや」と喜美子。3人はたいまつを担ぎ、神社までの参道を歩みだした。

途中でまんまとフカ先生に逃げられた喜美子と十代田は笑い合う。喜美子は、神社に手を合わせ熱心に祈る十代田の横顔をじっと見つめた。(NHK総合あさ8時)