グループリーグを首位通過し、ベスト8進出を達成した日本。上位へ食らいつきたい。

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 ラモス瑠偉監督率いるビーチサッカー日本代表が、南米パラグアイで開催中のビーチサッカー・ワールドカップで決勝トーナメント進出を決めた。

 25日の一次リーグ最終戦でスイス代表を5-3で退け、グループAを首位通過したのである。スイス戦勝利の原動力は、2ゴールのFP赤熊卓弥と2アシストのFP山内悠誠の“ピヴォ”2名と言っていいだろう。

 FP赤熊は、第1ピリオドの2分と8分に連続ゴール。試合の流れをがっちりと引き込んだ。FP山内は、第2ピリオドの4分と<その18秒後>に見事なアシストを決め、日本のリードを盤石なものにした。

 この点取り屋の活力の源となっているのが、ラモス監督の代表選手選考だった。赤熊、山内ともに<危機感を植え付けられた>ことが、当人たちのプレーのレベルアップに繋がっているのである。

 11月11日、ワールドカップの代表メンバーが発表された。そこには代表キャップ100試合を超える常連FPの山内の名前がなかった。山内がいつも身に着けていた背番号9は、ここ1年ほど代表から遠ざかっていたFP後藤崇介が身にまとうことになった。ラモス監督がこう話してくれた。

「ワールドカップという大舞台に後藤の得点力が必要だと判断した。後藤に代わってピヴォの誰を外すのか? もの凄く悩んだ。とにかく私情を完全に捨て去って<日本代表がワールドカップで勝ち進むためには何をなすべきなのか?>だけを考え、なかなか調子が上がらなかった山内を外すことにした。決断するまでの間は食欲を失い、カプチーノとバナナと水しかノドを通らなかった」

 ところが――。
 ワールドカップ本大会直前のブラジル合宿でチームに衝撃が走った。

 練習後のクールダウンを兼ねてフットバレーをやっていた最中、FP後藤が左足を投げ出してスライディング。そこの砂の中に大きな石が埋まっており、左膝を強打して11針を縫う大ケガを負ってしまったのだ。

「左膝の肉がぱっくりと裂けてしまい、骨が見えていました」(後藤)

 ラモス監督は断腸の思いで後藤を諦め、山内を追加招集することにした。 山内がパラグアイに到着したのは、初戦パラグアイ戦の前日深夜2時だった。もちろん時差ボケに苦しみ、コンディションはベストには程遠かった。それでもパラグアイ戦、2戦目のアメリカ戦と少しずつパフォーマンスが好転。スイス戦の2アシストに繋がった。
 
 今大会4得点と好調のFP赤熊がこう言った。
「もともとギリギリまで誰がワールドカップメンバーに選ばれるのか、誰が外れるのか、まったく分かりませんでした。個人的には、11月上旬のドバイで開催されたインターコンチネンタル・ビーチサッカーカップでも調子が取り戻せず、自分が外されるかも知れないという危機感を抱いていました。後藤さんの代表復帰に大会前の大怪我。そして山内さんの代表復帰……。大会前にいろいろありましたが、それをすべてプラスに変えて頑張りたいと思います。自分のゴールでチームを助けたいと思っています」

 時差ボケも解消し、フィジカルコンディションも、明らかに良化してきた山内の表情は明るさを増し、決勝トーナメント以降のゴールを予感させるに十分。コメントにも自信がみなぎっている。

「アシスト1本目は、大場選手の声が聞こえて見たらフリーだったのでパスを選択。アシスト2本目は、あまりにもオズ選手がフリーだったのでパスを出しました。自分は<あくまでシュートしてゴールを決めたい>人間なのでシュートを打とうと思いましたが、ゴールの確率がより高まるプレーは何なのか? を考えて状況判断しました。でも次の準々決勝では、シュートを打ってゴールを決めますよ。大事な場面でゴールを決めるのが自分の役割です。絶対に100%決めますよ」

 準々決勝の相手は、グループB・2位のウルグアイ。キックオフは現地28日午後9時(日本時間29日午前9時)である。取材・文●絹見誠司