グループリーグ2連勝を飾ったラモスジャパン。最終節を残して準々決勝進出を確定させた。

写真拡大 (全2枚)

 南米パラグアイで開催されているビーチサッカー・ワールドカップ。アジア王者として参戦中のビーチサッカー日本代表は、グループリーグ初戦(現地11月21日)でパラグアイを5ー4で退けて白星発進となったが、手痛い代償を払うことになった。
 
 第3ピリオドの途中でラモス瑠偉監督が、審判団に異議を唱えて退席処分となり、2戦目のアメリカ戦(現地24日)はベンチ入りできず、スタンドから戦況を見詰めることになったからである。

 アメリカ戦の前日に指揮官はこう話した。

「相手がどうのこうのではなく、あくまで自分たちのプレーができれば勝てると思っている。ワタシがベンチに座っていなくても大丈夫。ワタシは選手を信頼している」

 アメリカ戦のキックオフ直前だった。指揮官はメインスタンドの最前列に立っていた。隣にはワールドカップ直前のブラジル合宿中に左膝に大怪我を負ってしまい、大会登録メンバーから外れたFP後藤崇介がいる。彼は無念の気持ちを押し殺して“チームの一員”として練習中に球拾いをやったり、細々としたサポートを率先してやっている。国歌演奏が終わるとラモス監督は、選手に向かって「行くぜ!」と大声で叫び、FP後藤は、ガッツポーズを作って選手たちを激励した。

 第1ピリオドの4分に先制点を許すなど難敵にてこずったラモス日本だが、第3ピリオド30分に決めた3点目が、チームを大いに勇気づけた。

 相手ゴール前にいたFP山内悠誠が、マーカーを引き連れて左サイドに移動。その空いたスペースに左サイドのFP田畑輝樹が走り込む。状況を冷静に把握していた右サイドのFP大場崇晃が、絶妙のタイミングでFP田畑にパスを送った。「大場選手とアイコンタクト。動き出した時からシュートまでのイメージができていた」と試合後に振り返った田畑が、見事なトラップからオーバーヘッドでゴールを決めたのである。

 この一連の動きはラモス監督、牧野真二コーチの指示を受けて練習で繰り返しやっていたもの。それがワールドカップという大舞台で結果として現われた。チームの士気が高まらないはずがない。

 第3ピリオド33分に大黒柱・FP茂怜羅オズの勝ち越し弾が決まり、残り3分はアメリカの攻勢を粘り強く跳ね返した。4対3で競り勝って2連勝とし、グループリーグの2位以上が確定。日本の準々決勝(28日)進出が決まった。
 アメリカ戦後のラモス監督は、ベンチで采配を振るっている時よりも疲労困憊の色が濃いように思えた。ホッとした表情でこうコメントした。

「いつだったかな? アジアカップで退場処分を受けたことがある。ビーチサッカーの監督としてスタンドから試合を見たのは、今日が2回目。ベンチで選手に指示やアドバイスを送ることができず、彼らには本当に迷惑をかけてしまった。ずっと辛いなぁ〜、と思いながら戦いを見守りました。選手たちは本当に最後まで諦めず、緊張感を保ちながら一生懸命に戦ってくれた。そのことがとても嬉しい。近年のビーチサッカーは、なかなか点差が付かない試合が多くなっている。分かっていたことだが、ワールドカップに楽な試合なんてひとつもない。難しい試合ばかりだ。それでも緊張感を持って戦えるほうが次につながる。3戦目のスイス戦も勝ちに行く。勝つことで日本のファンの皆さまに感動を届けたい」

 ラモス監督は「ワールドカップの決勝に進むことは夢ではない」と開幕前に話した。実現不可能なことを気負いながら口にするのではなく、サラリと自然体で言ってのけたのが印象的だった。

 このままチームが上昇機運に乗っていけば──。十分に期待していい。

取材・文●絹見誠司