喜美子(戸田恵梨香)が紹介されている新聞記事には、「信楽初の女絵付師」「丸熊陶業のマスコットガール」「ホットケーキが大好き」などという文字が躍っていた。絵付けの話も、恩師である深野心仙(イッセー尾形)の話もなかった。喜美子は不本意な内容に悲しくなったが、皮肉なことに、会社には「ミッコーの火鉢」の注文が次から次へと入ってきた。

「先生、すみません。私、先生のこともぎょうさん話しました。でも載ってないです」と深野に謝るが、まったく気にしていないどころか、「(喜美子が)きれいによう撮れてる。タヌキが化けてるんちゃうかと思うたで」などと茶化す。

先生の絵を白いご飯と卵に替えてしまいました

しかし、新入社員の十代田八郎(松下洸平)は記事にいら立っているようだった。「深野先生のことを一言も触れていないなんて、失礼じゃないですか」と腹を立てている。突然、絵付け作業場にやってきて、深野に話しかけた。「実は、深野先生の絵が、僕の実家の床の間に飾ってありました」

深野「ほう、そりゃ、ありがたいなあ」

十代田「白いごはんに替えました。僕が11の時です。闇市に行って売りました」。祖父の形見で大事にしていた深野の日本画を売り、白い米と卵3個に替えたことを涙ながらに話した。深野と喜美子はじっと聞き入った。

「今回、こちらに来ることになって、絵付けをしているのが深野先生だと分かって・・・、お会いしたらすぐ頭下げようと思いました。すんませんでした」と言う十代田に、深野は「ええよお〜、若いころに描いた名もない絵や。忘れんとってくれてありがとうなあ」と笑顔で返した。

「鳥が2羽水辺を飛んでいて」。その夜、喜美子は手放してしまった画を説明した十代田の言葉を思い出しながら、鉛筆を動かしていた。(NHK総合あさ8時)