九州最大の繁華街で多くの若者も訪れる福岡市・天神に関し、気になる声が会員制交流サイト(SNS)に相次ぎ寄せられている。若者が嫌う高周波音(モスキート音)が天神中心部の警固公園付近で聞こえる、というのだ。JR博多駅前の商業施設に設置されている発生装置はネズミ対策らしいが、天神の場合、どうもターゲットは違う様子。どういうことだろうか。

 ツイッターの声を拾った。「警固公園モスキートやばくない?」「警固公園モスキート流れてるから気を付けて」「警固公園うるさいな。耳壊れるわ」。“リアル”な声にも触れた。「狙いは路上演奏をする僕らでは。夜、弾き語りを始めるとキーンて鳴るし」(20代男性)。彼の証言を基に発生源を探した。

 西鉄天神大牟田線の福岡(天神)駅や西鉄高速バスターミナル、福岡三越が入居するソラリアターミナルビル。警固公園に面するビル外壁の高さ約3メートル部分に、小型スピーカーのような箱形の装置が取り付けられている。ビルを管理する西日本鉄道(福岡市)に聞くと、答えが返った。

 「若い人たちの路上演奏を防ぐための高周波音発生装置です。ビル軒下の約100メートル区間に計4基付けています」

 西鉄によると、ここでは若者による深夜の路上演奏が常態化。中には50人超の聴衆を集める人気者もいる。ホテル宿泊客らから苦情が絶えず、県警と協議し、今年3月に設置した。「警備員が逆ギレした聴衆に因縁を付けられ、襲われそうになった事案も。苦肉の策です」と西鉄は明かす。

 装置は平日・週末を問わず午後10時〜翌日午前2時、演奏が集中する2カ所に向けて高周波音を放射する。装置の説明書には「20代前半までの人に不快な音が聞こえ、居心地が悪くなる」と書いてあるらしい。

 設置後は苦情が減り、一定の効果はあるようだが、若者には不評だ。「ガラスの破片で頭を刺される気分」(20代女性)、「虐待行為。やりすぎだ」(20代男性)。SNSでは「赤ちゃんが号泣する」との声もあった。西鉄は「放射範囲と作動時間を絞り、影響は最小限に抑えている」と訴える。

 さらに不測の事態も。6月、対象年齢以外の人にも不快音が聞こえてしまう不具合が発生し、「うるさい」と苦情が出たのだ。全て取り外し、8月末までに修理を終えたが、再稼働は見合わせているという。

 西南学院大の宮原哲教授(コミュニケーション学)は「迷惑行為の排除に企業が臨む場合、法的根拠を明確に示すなど毅然(きぜん)としたアピールが不可欠。目に見えないモスキート音では、ずるい印象を与えかねない。若者と向き合う観点からも、迷惑行為を巡る認識が甘いなら、堂々と指摘すべきだろう」と話している。 (木村貴之)