オーバーエイジには、さらにその必要がある。その3人の枠は絶対に使わなければならないものではない。実際、過去には使わなかったケースもある。こちらは久保、堂安の件以上にメリットとデメリットがある大きな問題なので、丁寧な説明が必要になる。

 ところが試合後の会見でサバイバル関連の質問を受けた森保監督は「オーバーエイジのメンバーもいますので……」と、さらりと言ってのけた。問題意識のかけらもない様子で。

 サッカー的な視点で言うならば、メディアが本来、関心を抱かなければならないのは、サバイバルレースよりこちらではないのか。

 そもそも話はまだまだある。前回のこのコラム(二兎を追う者は一兎をも得ず。森保監督の兼任は是か非か)でも述べた、森保監督の兼任問題だ。

 この試合、ピッチの選手達にタッチライン際からコーチングしていたのは横内昭展コーチだった。森保監督はベンチの横に佇み、その後ろから傍観しているのみだった。それまでこのU−22チームで采配を振ってきたのは横内コーチで、森保監督はA代表の仕事にかかりっきりだった。実際の監督は横内コーチだったのだ。今回、昨年のアジア大会以来、1年数か月ぶりに、監督の立場で試合に臨んだわけだが、チームへ合流したのはこの試合の前日だった。

 横内コーチが監督然と、コーチングするのは当然といえば当然だが、実際、メンバーを決めたり、布陣を選択したのは誰だったのか。森保監督はメンバー交代を含め「2人で相談して決めた」と語ったが、実際はどうなのか。不鮮明とはこのことだ。

 森保監督が指揮をとるA代表とは用いた布陣が違っていた。4−2−3−1とはコンセプトが真反対な3−4−2−1。実際、日本U-22は5バックで受けて立ってしまうことになるのだが、これなどはサバイバル話より100倍大きな問題になる。横内コーチはずっとこのスタイルでU−22を率いてきた。森保監督は横内コーチを「同じ考え方の持ち主と考えていただいて結構です」と、説明したが、実際に展開されたサッカーは、A代表とは異なる守備的だった。

 ところが、後半0−2にされると、日本は布陣を4−2−3−1に布陣を変更した。森保監督は試合後「3バックから4バックへの変更は試合前から描いていたことだ」と述べたが、横内コーチがこれまでそうした作戦をとったことはほとんどないので、森保監督の意思が働いたものと考えるべきだろう。 サバイバルレースの前に語るべきことは山ほどある試合だった。この試合を目の当たりにして、なお最大の関心はサバイバルレースだと伝えようとする人たちの感覚に、僕は森保采配以上に違和感を覚える。こうした試合を見せられても、問題意識は膨らまないのだろうか。これでは日本サッカーは成長しない。サッカー文化も成熟していかない。そう強く思うのである。