『アラサーちゃん 無修正』より

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 2011年にスタートし、切れ味鋭い4コマで多くの読者を虜にしてきた『アラサーちゃん』が、ついに完結。『アラサーちゃん 無修正7』(最終巻)が発売された。劇的展開からの尊いラストシーンも半年前に出来ていたプロットどおりという著者の峰なゆか氏に、各キャラへの思い入れや創作の裏話を聞いた。

マンガ『アラサーちゃん』の8年史:峰なゆかインタビュー

――今までもストーリー仕立ての4コマはありましたが、ここまで人間関係が入り組み、キャラの内面が変化していく4コマも珍しいですよね。直近でいくと、ヤリマンちゃんがフェミ化しました。

峰:アラサー女子を描く上で外せないと思っていたのが中絶とフェミ化です。でも、フェミ化をどう描くかはかなり悩みました。というのも、今までのフィクションの世界に登場するフェミって、PTAざますオバさんか、ものすごく正しいことをいう完璧超人かのどちらかだったじゃないですか。

 だけど、フェミに染まった女子もしょうもないことを言うし、それはちょっと賛同できないけど気持ちはわかる!というところがあったりしますよね。そこを描きたいと思っていたので、最後に駆けこみで描けてよかったです。

――モヤモヤを募らせていたヤリマンちゃんが、ある日、フェミ化する描写はとても腑に落ちました。

峰:フェミ界隈の人にどう捉えられるか不安だったんですけど、わりと好評でよかったなと思います。

――中絶についても描きたかったということですが。

峰:「『妊娠してるかも?』と思ったら勘違い」というのと、「処女喪失寸前のいいところでやめました」という流れはイヤだったので、やるなら絶対に妊娠するし、やるなら処女膜を破壊する!と。

――破壊!(笑)一方のゆるふわちゃんは“かわいい”という自我が揺らいで、メンヘラ化していきましたよね。

峰:連載を通して自分的に一番びっくりしているのが、ゆるふわちゃんに愛情を持てるようになったことなんです。最初はムカつく女だと思っていたし、憎しみしかなかったんですけど、徐々に「生きづらさもあるし、いいところもあるじゃん」みたいな。驚きその2は、ゆるふわちゃんと文系くんが付き合うことになったこと。最初はまったく考えていませんでした。

――確かに意外でした。では、連載当初と比べて自分自身が変わったと思うことはありますか?

峰:男が変わったんですよ。連載当初は文系くんみたいな男のコが好きだったし、実際にそういう人と付き合っていたんですけど、別れ、なんであんな気持ち悪いのと付き合っていたんだろうと。そうすると、文系くんが気持ち悪くなってしまうのが止められなくて。

――最初は文系くんの美点だった優しいところや奥手なところが、自分が傷つきたくないから相手に判断を委ねているだけなんじゃないかという描写が結構ありましたよね。あれはゾッとしました。

峰:いいところだけ描いても、「こんな人間いねーよ」になってしまいますから。そんななか、文系くんとゆるふわちゃんのセックスを描いたんですね。アラサーちゃんもいろんな人とセックスしていたし、文系くんも好きな女のコとセックスするでしょと自然の流れで描いたつもりでしたが、「信じられない!」「文系くんのことが嫌いになった」みたいな反応が多くて。みんな文系くんの性生活に厳しいんです(笑)。そこから、もしかすると文系くんってもともと気持ち悪い人間だったのかもと思い、今回の最終回に繋がりました。

――主人公が長らく焦がれていた人物が、「気持ち悪い」で終わる作品はお初かもしれません。

峰:最初はすったもんだあってアラサーちゃんと文系くんがくっつく予定だったんです。だから、連載当初の私に「文系くんって本当は気持ち悪い男なんだよ」と言っても信じようとしないでしょうね。