フル出場した久保はゴールを生み出せず。チームを勝利に導けなかった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[キリンチャレンジカップ]U-22日本0-2U-22コロンビア/11月17日/エディオンスタジアム広島

 森保一監督が率いるU-22日本代表は、国内初のテストマッチで、U-22コロンビア代表に0−2で敗戦。

「僕たちが目指しているのは東京五輪の金メダルだけど、今日の試合は全然ダメだった」

 左ストッパーでフル出場した板倉滉が試合後に悔しそうに語っていたのが印象的だった。

『東京五輪、大丈夫?』――。この日のU-22日本代表のパフォーマンスは、そんな言葉が出てきてもおかしくない内容だった。スコア以上に、攻守で差を見せつけられたのである。

 敗因のひとつが、試合序盤の臨み方だ。

 森保監督が「勝たなければいけないことがプレッシャーになったのか、硬い入りをしてしまって、相手にペースを握られて、難しい試合になった」と振り返ったように、立ち上がりからパスミスを繰り返し、相手にペースを明け渡していった。
 
 国内で初めてのテストマッチだった。国民に東京五輪への期待を抱かせるためにも、鼻息荒く臨んだつもりだったが、それがかえって重圧になってしまったのである。

 実際に板倉は、「初の日本でやる試合ということもあるし、これだけのお客さんが入っているなかでやるのも初めてということもあるし、もちろん硬さや緊張感はあった。このチームの良さでもある勢いを少し出せなかった」と、チーム全体がナーバスになっていた雰囲気を明かしている。

 そして、試合にスムーズに入れずにいると、フィジカル能力の高いコロンビアの選手に球際でことごとく競り負け、攻撃となっても連動性を欠いて思うようにボールをつなげられなくなっていった。

 前半こそ無失点に凌いだものの、後半開始早々47分の失点で完全にリズムを崩し、59分にはドリブル突破から追加点を献上。その時点で勝負の趨勢はある程度決してしまったと言える。
 
 見るからに相手とは体格差があり、フィジカルで劣るのは仕方なかったかもしれない。ただし、そんな屈強な相手のプレスでも、組織的なパスワークで剥がすのが、このチームのコンセプトのはず。その点で、生命線でもある連動性が欠けていたという事実は看過できない。

 最終ラインからビルドアップをしようにも、周囲のサポートがないため、ボールホルダーが孤立。そのままコロンビアの素早い囲い込みに引っ掛かり、何度もピンチを招いていた。

 相手陣内にボールを運んでも、連係に絡むのは数人。CFの上田綺世にもボールがなかなか収まらず、なんとか個人技で打開しようと奮闘した堂安律と久保建英も、厳しいマークに苦しみ、攻撃は手詰まりになっていた。
 
 もちろん堂安や久保のようなA代表にも選ばれるメンバーもいたり、国際Aマッチではないため招集に強制力がない事情もあったりで、毎回大幅にメンバーが入れ替わり、連係を深めたり、戦術の浸透を進めたりするうえでの難しさはあるだろう。

 それでも「短い期間で合わせていくのが代表選手」だというキャプテンの中山雄太は、「試合中を含め、やっぱりコミュニケーションが少ない」と指摘する。

「普段から話す回数自体は多いですけど、その密度の部分。何が必要なのかポジション間で話し合うとか、そういう部分が不足しているのかなと。幸い僕もA代表に呼んでもらった時があって、その時と比べると、コミュニケーションの量も密度も違いがある。A代表のほうは『ここがこう空くよね』とか具体的な対策がある。何が必要なのかという、勝ちへの逆算ができている。そこにA代表の選手と僕らでは差があるのかなと感じました」
 
 集まる回数が限られているからこそ、密に話し合う必要があるが、その点でやはりA代表とは経験の差があるのかもしれない。A代表経験のある堂安が「今回の1週間、多くのコミュニケーションを取って、高い意識で取り組んだけど、難しさを感じた」という。中山が感じているように、やはりチーム全体にコミュニケーションの重要性がまだまだ浸透していないのかもしれない。それが今回、結果として表われてしまった。

 そうした反省材料ばかりが目に付く試合で、ポジティブな要素を挙げるとすれば、三好康児、堂安、久保というレフティのテクニシャン3人を共存させる形を見出せた点。62分に三好を投入し、2列目にこの3人を並べる4−2−3−1システムに変更してからは、「何かしら起こりそうな雰囲気はあった」(堂安)。改めて個の能力の高さを示していたのだ。
 
 だからこそ、チームとして連動できていないのは、もったいない。「アタッキングサードに入ることができれば、必ずチャンスを作れますし、ゴールにつなげていける力はある。そこまでどう運んでいくかっていうところが、大事かなと思っています」という三好の言葉が、まさにこのチームの課題を物語っている。

 苦味ばかりが残る国内初お披露目の試合は、少ない活動機会でもチームワークを高める必要性を改めて感じさせられた一戦だったに違いない。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)