昭和34年、川原喜美子(戸田恵梨香)は21歳になった。絵付け師の深野心仙(イッセー尾形)の弟子になって3年、夏の暑い日も真冬の寒い日もひたすら筆を持って練習した。そして、ついに絵付け師の下っ端として認められ、忙しい毎日を過ごすことになった。

丸熊陶業の火鉢生産は好調で、絵付けの描き手が追いつかず、熊谷秀男社長(阪田マサノブ)は人材不足に悩んでいた。それを知った喜美子は社長に自ら申し出たのだ。「うちにもできるんやないでしょうか。どうかやらせてみてください」

社長、深野の弟子二人は「うーん」と首をひねったが、深野の「ええよお」という一言で決まった。深野はギロリと喜美子を睨む。「まずはやってみることや。絵付けを自分の一生の仕事としてやっていく。そうゆうたな。みんなにええなあゆうてもらえるような、いろんな人に目え留めてもらえるような絵柄を考えることや」

師匠から言い渡された「みんなにええなあゆうてもらえる絵柄を考えろ」

喜美子は寝ても覚めても絵柄のことばかりを考えた。誰からも買うてもらえるような絵柄とはどんなものなんだろう。

家では、妹の直子(桜庭ななみ)に「姉ちゃん、なにぼうっとしとるん。夕ごはん手伝ってな」と叱責される始末だ。

夜が更けて、床に入ってからもデザイン案を考える。忙しかった大阪の下宿屋「荒木荘」での思い出がふと浮かんだ。血が繋がっていないのに、家族のようにみんなが親身になってくれた。人情というものを知って、喜美子にとって大切な一部になった3年間であった。

喜美子が突然ムクッと起き上がり、絵筆画を描き始めた。火鉢を使ってくれる人を想像して、喜美子が思いついた絵柄とは。

翌朝、深野に図案を見せる。「ほお、ほお」と深くうなずき、社長に見せに行くようにいうのだった。(NHK総合あさ8時)