1/6「UGC 2369」は、互いにぶつかりあう一組の銀河だ。塵とガスからなる茶色っぽい橋が、まるで指のように、2つの銀河をがっちり組み合わせている。この橋は、両者のあいだに重力の相互作用があることを示している。このように相互に作用する銀河は、それぞれ相手のかたちを根本から変えてしまう。そして、好むと好まざるとにかかわらず、次はわたしたちの番だ。われらが天の川銀河は、近くにあるアンドロメダ銀河とのあいだで、いずれ相互作用を起こすと見られている。40億年もすれば、合体してひとつの銀河になるはずだ。合体後の超巨大銀河には、「ミルコメダ(Milkdromeda:Milky WayとAndromedaを合成した言葉)」というニックネームがつけられている。PHOTOGRAPH BY A. EVANS/ESA/HUBBLE/NASA 2/6星の死は、非常に美しいものになることがある。とりわけ、「NGC 2022」のケースではそうだ。死につつある恒星は、物質を宇宙へと吐き出し、星の構成材料からなる泡のようなものをあとに残す。奇妙なことに、そうした泡は惑星状星雲と呼ばれるが、惑星や、惑星の形成とはなんの関係もない。その名がついたのは、かつて望遠鏡を通して見たときに、惑星のように見えたという単純な理由からだ。PHOTOGRAPH BY R. WADE/NASA/ESA/HUBBLE 3/6「野ガモ星団」の異名をもつ「メシエ11(M11)」は、2億2,000万年前から存在すると推定される星団で、専門用語では「密集度の高い散開星団」と呼ばれる。だが残念なことに、散開星団としては長くは生き延びられないだろう。この種の星団では、星が比較的分散して存在しているため、近くを通る大型の天体が、その重力で星を引きつけ、この写真にある輝く点のような星たちをいっそう引き離し、拡散させてしまうのだ。天文学者たちの推定によれば、M11に残された星団としての寿命は、数百万年ほどしかない。そのあとは、緩やかに結びついた星々が散らばった状態になるだろう。PHOTOGRAPH BY P. DOBBIE ET AL./ESA/HUBBLE/NASA/CC BY 4.0 4/6連星系が生んだ「南のかに星雲(Hen 2-104)」は、ハッブルがこれまでにとらえた宇宙写真のなかでも特に有名だ。連星系のそれぞれの星が互いに作用し、高速で物質を吐き出した結果、このユニークな形状ができあがっている。ぶつかりあう2本のライトセーバーさながらに、2つの星の放出の力が、宇宙に吐き出される物質を複雑に絡みあわせているのだ。PHOTOGRAPH BY NASA/ESA/STSCI 5/6この網状星雲は、ほんの8,000年前に死んだ星が起こした超新星爆発の残骸だ。その星は、太陽の20倍を超える質量をもつ恒星だった。そうした星が超新星爆発を起こすと、巨大な衝撃波パルスが生じ、すさまじいスピードで物質が押し出される。この写真に見られる様々な色は、さまざまな種類の元素や物質が存在することを示している。このカラフルな「高速道路」の下のほうには、ふわふわとした緑色の雲が見える。ここではまだ、超新星の衝撃波との相互作用は生じていない。一方、赤い領域にあるのは、パルスとの相互作用をいままさに始めたばかりのガスだ。これらのガスは、時速150万kmという驚くべき速度で移動している。PHOTOGRAPH BY NASA/ESA 6/6今回の真のスター、ハッブル宇宙望遠鏡の登場だ。この写真は、2009年に保守点検のためにハッブルを訪れた宇宙飛行士が撮影した。左側には、太陽電池パネルの1枚が写っている。そして背景の青色はもちろん、われらが地球だ。PHOTOGRAPH BY NASA GODDARD

今回の宇宙ギャラリーでは地球低軌道に入り込み、ハッブル宇宙望遠鏡とともに時間を過ごすことにしよう。

「ハッブル宇宙望遠鏡が目撃、美しき星たちの神秘的な姿:今週の宇宙ギャラリー」の写真・リンク付きの記事はこちら

ハッブルは1990年にスペースシャトル「ディスカヴァリー」によって軌道上に打ち上げられて以来、宇宙観測の仕事を続けている。これまでに宇宙の年齢や膨張速度、われらが天の川銀河の質量や大きさの測定に貢献したほか、数々の大きな発見をしてきた。

だが、この大胆不敵な宇宙望遠鏡は、誕生してから現在までのあいだに、大きな難問に直面してきた。反射鏡の歪みのために分解能が予定よりかなり小さいことが、打ち上げ直後の調整でわかったのだ。このため米航空宇宙局(NASA)は93年、クルーを再度送り込み、反射鏡を修正して問題を解決した。

ハッブルは数十年にわたり、科学者と世界を驚嘆させてきた。ハッブルは地球軌道にある数少ない望遠鏡のひとつだが、地球の大気に妨げられない宇宙の姿を見るためには、それが大きな意味をもつ。ハッブルの伝える光景は、誰も予想しなかったほどまばゆいものだったのだ。

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