宮迫博之

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 福岡・博多で白昼堂々、金塊が強奪された事件。あれから3年が過ぎたいま、主犯格として逮捕・起訴された男が手記を発表、波紋を広げている。題して「半グレと金塊 博多7億円金塊強奪事件『主犯』の告白」(宝島社)。“伝説の半グレ”と呼ばれ、吉本興業の闇営業問題で謹慎中の宮迫博之(49)とのツーショット写真にも収まっていた人物だ。いまなぜ口を開くのか。その真意は−。

 同書は10月末に発売され、通販大手アマゾンの本の売れ筋ランキングで事件部門1位になり、現在もトップ3に位置している。

 金塊事件は2016年7月、福岡市のJR博多駅前の路上で発生。実行犯が警察官を装い、金塊を運んでいた被害者らに近づき強奪した手口から「平成の3億円事件」と呼ばれた。事件は17年5月、約7億5000万円相当の金塊約160キロを盗んだとして、主犯格の野口和樹被告(44)が逮捕され急展開、最終的に計7人が起訴された。

 著者はその野口被告。窃盗罪で懲役9年の実刑判決を受け、現在、判決に不服として最高裁に上告する準備をしている。

 野口被告の半生は、反社会的行動の繰り返しだったと言っていい。1975年、岡山県に生まれ、幼少期に両親が離婚、壮絶な貧困を経験する。「ご飯にきなこをまぶした『きなこご飯』がご馳走、そんな毎日だった」(同書)。電気が止められた家は常に暗く、食べ物がない日はスーパーで万引した。

 7歳で名古屋市に引っ越し、不良少年となり、暴走族で大暴れ、強盗致傷罪で少年院へ送られた。竹下登首相を「褒め殺し」した右翼団体「日本皇民党」にも一時籍を置く。20代になると、自動車盗などで食いつなぎ、拘留されていた愛知県警守山署から脱走したこともあった。

 ある事件で投獄の身となり、服役を終えたのが30代半ば。人生をやり直そうと、建設会社を経営して軌道に乗せ、「犯罪では決して味わえない楽しさや、働く爽快感、仕事をこなしていった時の達成感」(同書)を得るが、金塊窃盗事件に関与することになる。

 宮迫とのツーショット写真は、その金塊窃盗事件の約3週間後に撮影された。野口被告は同書で「酒席をともにしたのは事実だ。(中略)高級シャンパンで乾杯をした。ただ、それだけだ」と振り返りつつ、宮迫には「『申し訳ない』という思いがいちばん強い」としている。

 最もページを割いたのが金塊事件の真相だ。福岡高裁で今年9月、野口被告の控訴審判決があり、裁判長は懲役9年の一審判決を支持したばかりだが、野口被告は納得していない。金塊の持ち去りを依頼されたことから「自ら企図して起こした事件ではない」と公判で主張してきたためだ。警察や検察の手法も厳しく批判している。

 犯罪者の主張を出版した意図はどこにあるのか。宝島社の担当者は夕刊フジの取材に「著者の主張は多分に自己弁護的ではある」としつつも、こう語る。

 「(同書では)韓国からの金密輸の実態をうかがい知ることができる上、警察の不祥事の真相など内容に一定の公益性がみられる。裁判で未解明の部分も多い。半グレと呼ばれる裏社会の住人たちの実像が伝わり、善悪を別として文芸作品としての魅力もある」