アップル、2020年にApple Music、News+、TV+のセット販売を準備中とのうわさ(Bloomberg報道)
アップルは、雑誌・ニュース読み放題のApple News+、動画配信のApple TV+、そして音楽配信のApple Musicといった定額制サービスを提供中です。これら3つのサービスをバンドル(一括販売・提供)を2020年に開始して、より多くの加入者獲得を目指すとの噂が報じられています。米Bloomberg報道によると、この戦略の前ぶれは、アップルがパートナー企業との契約条件の変更に取り組んでいることから窺えるとのこと。具体的にはApple News+に参加している出版社に、他の有料デジタルサービスとのバンドルを認めるよう求めているようです。

そうした動きの背景には、Apple News+が伸び悩んでいる事情があります。3月にデビューした同サービスは「ニュース版Netflix」と呼ばれ、月額9.99ドルで多くの出版物が読めるというもの。アップルが月額購読料の半分を徴収し、残り半分を雑誌や新聞が山分けする格好です。

匿名情報筋の話では、Apple News+を他2つのサービスとバンドルした場合、ニュースサービスに当てられるコストが削減される可能性が高いため、出版社の収入が少なくなる見通しだと述べられています。

その一方で某メディア幹部いわく、これまでApple News+から受け取った金額が予想以上に少なかったとのこと。ある出版社の場合は月額2万ドルを割り込んでおり、昨年アップルが買収してApple News+の原型となったTextureから得られた収益を下回っていると語られています。

それはApple News+の購読者が少ないためか、またはコンテンツが広く読まれていない結果として(購読者が記事を読んだ時間に基づいて収益が分配されるため)予想よりも収入が低くなっているかは不明です。アップルがApple News+の加入者数を明かしていないことも一因でしょう。ちなみに好調なApple Musicの有料会員数は公開されています。

各出版社の収益には直接の関係がないことですが、アップルが個人情報を守る方針ゆえに、Apple News+では特定の読者をターゲットにすることが難しく、広告主はあまり興味を示していないとの証言も伝えられています。

英Financial Timesは、同様のサービスバンドル交渉がApple Musicに参加している大手音楽会社と進んでいると報じていました。そちらでも価格設定が提示される前から、収益配分の減額が警戒されているとのこと。

それでも、3つのサービスをバンドルしてお得感が出れば加入者が増えて、アップルとの提携企業にとっては収益配分の割合が減らされたとしても、それを上回る読者が得られる可能性があります。いずれにせよ今後の動向を見守りたいところです。