77分に伊東純也に代わって出場した中島翔哉。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 ワールドカップアジア2次予選、一巡目の最後となったキルギス戦も無失点で4連勝。4戦のうち3戦をアウェーで戦ったことを考えると、この結果は素晴らしい。選手たちの集中力、競争力、そして森保一監督のマネジメント力は評価されて然るべきだと思います。

 キルギス戦も決して簡単な試合ではありませんでした。

 グラウンドは劣悪。ホームのサポーターの後押しを受けたキルギス代表は勢いよく襲いかかってきました。さらに、これまでの中心選手に支えられて、先月から抜擢された若手たちが躍動するなど、立ち上がりから難しい試合を強いられました。

 3バックを採用したキルギスは、左センターバックのキチン選手のフィード力を生かし、両サイドを広く使って攻め入ってきました。

 また、守備時には中央に選手を集めることで、日本のビルドアップをサイドに誘導すると、長友選手、酒井選手にボールが渡ったところでウイングバックが高い位置まで出てプレスをかけてきました。

 それを見て、日本は、守備になったらキチン選手に伊東選手が早めに出ていくこと。攻撃時は、サイドハーフの原口選手、伊東選手をサイドに張らせて相手を困らせようと試みました。

 ただ、全体的にこの対策は中途半端に終わってしまいました。そもそも事前にもう少し準備ができなかったのか。前半の戦いは、おそらく試合前に選手たちが思っていた以上にやられてしまったと思います。

 しかし、その中でも結果を残せるのが今の日本代表の強さです。選手たちが我慢すべきところは我慢し、チャンスを待ちながら、”その時”が来たらきっちりと刺すことができています。

 原動力となる働きを見せているのは権田選手と南野選手です。この試合だけでなく、今予選を通じて、権田選手のセーブで踏み止まり、南野選手のゴールで勝ちに結び付けています。

 それを呼び込んでいるのはチーム全員の一体感とハードワークでしょう。とりわけ、攻から守になった時の切り替えの意識、戻りを怠らない姿勢が光ります。

 無失点は必然。一人ひとりの表情や仕草には今のチームが同じ方向を向いて皆が歩んでいることがよく表われています。

 ただ、苦戦したのも必然です。特に、3バックの相手に対しての崩しのイメージの共有には不満が残りました。
 前述したように、相手のウイングバックがプレスに出てくる背後にサイドハーフを張らせて牽制するのは常套手段。それだけでは、それほど混乱など起こりません。相手も織り込み済みでこのやり方を採用しているはずだからです。

 ウイングバックの縦プレス→ディフェンスラインの横スライド。それを利用した次なる崩しを描けなくては意味がありません。そこの連動した共通の画はあまり多く見られずに時間が進んでしまいました。

 3バックへのプレスのかけ方も、後半はより早めに伊東選手を前に出しましたが、その先に次なる策を用意できるチームが相手となるとキルギス戦のようにはいきません。その”次なる策”への準備を進めるためにも、まずは早めにこのようなやり方の相手に対する戦い方に共通認識を持たせておきたいところです。

 と、少し課題も挙げてみましたが、とはいえ、完全アウェーの中で結果を出し続けていることは冒頭で述べたように評価されて然るべき。決して簡単なことではありません。

 森保監督はこの日、中島選手をベンチスタートにする試みをしました。最初の1年間でベースを作ってからのここ最近は、新たに様々な組み合わせを使うようになっており、第二段階へチーム作りを進めていることが窺えます。それを勝ちながら行なえているのは、まさに勝ち続けた経験がなせる技でしょう。

 次戦、火曜日のベネズエラ戦ではまた新たな選手、新たな組み合わせ、もしかしたら新たなやり方が試されるかもしれません。相手も良いメンバーが来日しています。楽しみに待ちましょう。

【著者プロフィール】
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。鹿島で不動のCBとし2007年から前人未踏のJ1リーグ3連覇を達成。2010年の南アフリカW杯メンバーにも選出された。現在は解説者として活躍中。

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