面倒と思われる年末調整ですが、漏れなく控除を受けるにはどうすれば? 会社で受ける人も多い、3つの所得控除について解説します(写真:artswai/PIXTA)

今年も会社から「年末調整の申請を」と言われる時期になりました。でも「ややこしくて面倒……」と放っておいたり「またいつもの保険の紙を提出するだけ」と考えていませんか? 

年末調整はうまく活用すれば、払った税金が返ってくるお得な制度です。今回は3大トピック’朸者(特別)控除、扶養控除、J欷盈噌欺の申請のコツを『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和2年3月16日締切分』からご紹介します。

まずは年末調整で税金が返ってくる仕組みをおさらい

今回は、年末調整の中でも受ける方の多い、\弧拭γ録綿欷盈噌欺、➁配偶者控除・配偶者特別控除、I淪楾欺について解説していきますが、その前に、税金が安くなる仕組みについて押さえておきましょう。

税金を安くする制度(控除)には、大きく次の2つがあります。

所得控除(しょとくこうじょ)
税額控除(ぜいがくこうじょ)

所得控除とは、給料で得た所得から引いて、税金を安くできるものです。この関係がわかりやすいように算式で書いてみると、こうなります。

(給料から得た所得−所得控除)×所得税率=自分にかかる税金

ちなみに、所得控除によってどれぐらい節税できるのかというと、大まかな計算ですが、例えば所得控除が10万円、所得税率が10%なら、「10万円×10%=1万円」ということになります。今回解説する3つの控除はこの所得控除です。

一方、税額控除というのは、自分にかかる税金そのものを丸ごと下げる控除です。有名なのが住宅ローン控除ですが、この控除を初めて受ける年には確定申告が必要になります。年末調整で受けられるのは控除を受けた2年目以降です。

税金との関係を簡単な算式で書くとこうなります。

自分にかかる税金−税額控除=自分が納める税金

例えば、自分にかかる税金が10万円、税額控除が9万円であれば、“自分が納める税金”は1万円になるといいうことです。

所得控除も税額控除も、多ければ多いほど、税金が安くなります。したがって、漏れなく控除を受けることが節税のコツです。まずはこのことを押さえておきましょう。

税金の仕組みを簡単に解説したところで、これから会社で受ける方の多い3つの所得控除について解説していきましょう。まずは生命保険料控除と地震保険料控除からです。

控除その1 生命保険料控除と地震保険料控除

これらの控除を受けるためには、会社に「保険料控除申告書」と、保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」を提出する必要があります。

保険料控除証明書は、通常、10月ごろに保険会社から送られてきます。万一、なくしてしまったときは、早めに保険会社に再交付を依頼しましょう(電話やインターネットで簡単に交付依頼ができます)。原本の提出が必要なので、コピーを提出することはできません。

控除に漏れが出ないように気をつけたいのは、家族分の保険です。例えば、自分が妻の生命保険料を払っているときは、その分も生命保険料控除の対象にすることができます。忘れずに含めるようにしましょう。

\弧進欷盈噌欺は最高12万円

生命保険料控除は、生命保険、介護医療保険(平成24年以降の契約に限る)、個人年金の保険料を支払っているときに受けることができる控除です。控除の最高額は自分が支払った保険料金額によって異なります。

保険契約が平成24年以降に結んだ場合
所得から引ける控除額は最高で12万円です。生命保険、個人年金、介護医療保険の保険料を、それぞれ8万円を超えて支払っているときに、最高額を控除できます。

保険契約が平成23年以前に結んだ場合
所得から引ける控除額は最高で10万円になります。生命保険と個人年金の保険料を、それぞれ10万円を超えて支払っているときに、最高額の控除が可能です。

平成24年以降の契約と平成23年以前の契約がある場合
控除の最高額は12万円になります。

➁地震保険料控除は最高5万円

地震保険料控除は、地震保険を掛けているときに受けられる控除です。5万円を超えて保険料を支払っているときは、最高額である5万円の控除を受けることができます。

地震保険以外に、旧長期損害保険(平成18年12月31日までに契約したもので、保険期間が10年以上、満期返戻金があるもの)を掛けているときも、地震保険料控除を受けることができます。旧長期損害保険だけがある場合は、控除の最高額は1万5000円。地震保険の契約もあるときは、それぞれの控除額を合計して、最高で5万円の控除を受けることができます。

結婚して妻や夫のいる人が受けられるのが、「配偶者控除」または「配偶者特別控除」です(内縁の方は対象になりません)。年末調整時に、会社に「配偶者控除等申告書」を提出してこの控除を受けることになります。

控除その2 配偶者控除は年収によって違う

配偶者控除は、配偶者の給与・パート・アルバイト収入が年間103万円以下(合計所得が38万円以下)のときに受けることができるものです。

一方、配偶者特別控除は、配偶者の給与・パート・アルバイト収入が年間103万円超201万5999円以下(合計所得が38万円超123万円以下)のときに受けられるものです。

それぞれの控除額は、下図のように、申告者本人の合計所得や配偶者の年齢(配偶者控除の場合)、配偶者の年収(配偶者特別控除の場合)によって異なります。控除額は、最低で1万円、最高で48万円です。


(出典:『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和2年3月16日締切分』より)

扶養控除は、子どもや両親などの家族を扶養している人が受けられる控除です。

扶養控除は「別居の親」でもOK

配偶者は、前述した配偶者控除または配偶者特別控除の対象になりますので、扶養控除の対象にはなりません。


この控除を受けるためには、会社に「扶養控除等(異動)申告書」を提出する必要があります。

控除額は、下図のように、家族の年齢や同居の有無などで異なり、最低で38万円、最高で63万円となっています。

同居については、例えば家族が一時的に入院しているときは同居とみなされますが、老人ホームなどに入所しているときは、同居とはみなされないので、注意しましょう。

また、親元を離れて大学に通っている子どもや、故郷の親など、遠方の家族を養っているときも、扶養控除を受けることができます。

ただし、兄弟姉妹で親に生活費を送金しているようなときは、送金額が同じでもその中の1人しか控除を受けることができません。


(出典:『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和2年3月16日締切分』より)

なお、この控除を受けられる家族には条件があります。下図の条件を満たしているかもチェックしておきましょう。逆にここにあてはまっても扶養控除の対象にしていない家族がいれば、忘れずに扶養の対象に加えておきましょう。


(出典:『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和2年3月16日締切分』より)