『魔王の娘は優しすぎる!!』(坂本遊也/白泉社)

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 最近は電子書籍の形態も普及し、パソコンやスマホで漫画を読んでいるという読者も多いのでは。コミック系のWEBサイトなども増える中、現在500万ダウンロードを達成している人気漫画アプリが「マンガPark」だ。多くの漫画が掲載され、日々更新されているが、その中でも注目を集めているのが『魔王の娘は優しすぎる!!』(坂本遊也/白泉社)である。本作は「マンガPark」の男性向けランキング1位を獲得したこともある人気作で、このたび晴れて単行本化の運びとなった。

『兄友』作者の新作・主人公は、婚活のため女子高生に擬態するたぬき! 爆笑と胸キュンが同居する、そのトリッキーな物語の内容とは?

 強大な魔王が魔族を統べ、世界侵略を進めていたところから物語は始まる。あるとき、魔王・アーリマンに深刻な「悩み」が発生し、侵略がストップしてしまう。側近のジャヒーがその悩みを問うたところ、返ってきたのは「娘のドゥが優しすぎる」との答え。魔族とは「奪う・虐げる・殺す」が一人前の三か条という種族なのだが、ドゥは囚人の傷を治したり、死にそうな生き物を助けたりと、およそ魔族らしからぬ優しい娘だったのだ。

 魔族らしからぬ娘が心配で侵略ができない魔王のため、ジャヒーはドゥの教育係を買って出る。ドゥを残虐非道な魔族へと成長させるのに、ジャヒーはさまざまな手段を講じることに。例えば人間を脅して食料を奪ったり、人間を魔獣のエサにするように仕向けたり……などである。しかしドゥはといえば、人間を助けることで食料を貰ったり、エサとなる人間を助けて魔獣にも自ら作った食料を与えて両方が仲良くなるようにしたりしてしまうのだ。一人前の魔族の三か条「奪う・虐げる・殺す」を「うまい・しいたけ・ころころ」なんて覚えてしまうドゥに対し、どうすればよいのか途方に暮れるジャヒーなのであった。

 心優しく穏やかなドゥではあるが、魔王の娘らしい側面も持っている。それは魔王の作った暗黒物質を取り込むことで、強力な魔術を使えることだ。しかしドゥはその力を、人間や魔族たちと一緒に遊ぶなど楽しむ方向にしか使わないのである。そんな娘を魔王も許容しているフシがあり、ジャヒーの悩みは尽きない。果たして「うまい・しいたけ・ころころ」が「奪う・虐げる・殺す」へと変わる日が来るのか? まあ変わらなくても「可愛いからいいや」と思いつつ、優しすぎる魔王の娘・ドゥの成長を見守りたい。

文=木谷誠