左より朝日新聞記者の影山遼、脚本を担当した角田貴志(ヨーロッパ企画)

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 『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』の特別上映イベントが13日に新宿ピカデリーで開催。脚本を担当した角田貴志(ヨーロッパ企画)が朝日新聞記者の影山遼と登壇し、制作の裏話を語った。

 本作は、たれぱんだ、アフロ犬、リラックマなどのキャラクターで知られるサンエックスによる「すみっコぐらし」の劇場版アニメ。「喫茶すみっコ」にやってきたすみっコたちが地下室で発見したとびだす絵本を見ていると、仕掛けが動き始めて絵本の中に吸い込まれてしまう。8日に公開され、公開初週の全国映画動員ランキングでは3位にランクイン。SNSでも大きな話題を呼んでいる。

 この日のイベントは「ぼくらもすみっコ応援団!上映会」と銘打ち、男性限定で行われた。脚本を担当した角田は「ここまでヒットするとは思っていなかったです。それこそセリフがないので伝わるかな、理解してもらえるかな? という思いがあったので」と驚きを明かす。また、女性人気だけではなく、男性からの支持も多数あったそうで「今回調査したら、好きだと言ってくれている人の46%くらいが男性だった」と紹介した。

 続けて角田は、本作のオファーをもらったときのエピソードを披露。「すみっコぐらし」の存在をほとんど知らず、脚本を書くにあたって参考資料として、生みの親であるよこみぞゆりの書籍を読みつつ「これを映画にするのかな?」と悩んだそう。その後、打ち合わせですみっコファンに受け入れられるものにするという方向性を聞き、よこみぞや監督、スタッフたちと具体的なストーリーづくりを行っていったという。

 「みんなの思いが形作ったものがこの劇場版なんです。みんなで最初のあらすじを出して、そこによこみぞさんが考えてきてくれた3つのアイデアをミックスして作りました」と述べる角田。キャラクターについては、よこみぞからの「すみっコたちの声が想像できない」という意見により、セリフをなくす決定をしたことを明かす。「喋ったほうが楽だという制作陣の思いもあったのですが、それで自分も正解だったなと思います」と振り返った。

 影山は新聞記者としてキャリアをスタートさせた頃、心がすり減っているときに「すみっコぐらし」に心を奪われたという。劇場版についても「すみっコの魅力が存分に出ている」と大絶賛。その魅力を「敵がいない。悪意を持った人がいない」と語り、ヒットの要因を分析した。(取材・文:名鹿祥史)

『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』は公開中