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日本オラクルは11月13日、記者説明会を開催し、世界10カ国・地域で実施した、職場におけるAIの活用実態に関する調査結果と同社のAI戦略を紹介した。

同調査は、調査会社であるFuture Workplaceと共同で実施したもので、世界10カ国・地域(米国、英国、フランス、中国、インド、オーストラリア/ニュージーランド、シンガポール、UAE、ブラジル、日本)の合計8370名が回答、そのうち415名が日本における企業・団体の従業員、マネージャー、人事部門リーダー。

慶應義塾大学大学院 大学院経営管理研究科 特任教授である岩本隆氏が、日本の調査結果のポイントについて説明を行った。同氏は、「日本は職場におけるAI活用において最下位」「グローバルの平均64%を上回る74%が人間のマネージャーよりロボットを信頼していると回答」「日本のマネージャーは合理的なマネジメント力が弱い」をポイントとして挙げた。

まず、職場で何らかの形でAIを利用していると回答した人は、全体の平均が50%だった一方、日本で「利用している」と回答した人は29%に過ぎなかった。上位3カ国のインド(78%)、中国(77%)、UAE(66%)は、日本の2倍以上、職場でAIを活用しているという結果が出ている。

岩本氏は「日本では、事業部門でのAI活用は進んでいるが、人事や総務などの間接部門にAIを活用するという意識が低いのではないか」という見解を示した。

日本でAIが利用されている業務は、上から「従業員や顧客データの収集」(23%)、「お客さまからの質問への応答」(17%)、「デジタル・アシスタント/チャットボット」(14%)となっている。一方、グローバルでは「従業員や顧客データの収集」(31%)、「研修用のソフトウェア」(28%)、「お客さまからの質問への応答」(24%)の順でAIが利用されている。

また、人間のマネージャーよりもロボットに対する信頼性が高い点については、日本の企業ではマネージャーが信頼されていないことの裏返しと言える。岩本氏は「日本企業では、能力にかかわらず、年功序列でマネージャーに昇格する傾向が高い。そのため、ピープル・マネジメントのスキルが高くない人もマネージャーになっていることが多いため、部下が不満を抱いているのではないか」という見解を示した。ちなみに、ロボットの信頼性が低い国は、英国(54%)、フランス(56%)、米国(57%)。

マネージャーよりもロボットが優れていることを問う質問については、上から「バイアスのかからない情報の提供」(53%)、「仕事のスケジュールのメンテナンス」(47%)、「予算管理」(43%)という順で回答が多くなっている。

こうした結果から、岩本氏は「日本企業では、マネジメントが論理的に行われておらず、働き方の効率が悪いことがうかがえる」と述べた。さらに、「働き方改革においては、人事データを活用しながら論理的かつ合理的に進めていくことが重要」と提言した。

加えて、岩本氏は「AI活用によりもたらされる機会」に関する回答が、日本とグローバルで異なる傾向であることを指摘した。グローバルでは「昇格スピードが速くなる」(17%)、「給与が上がる」(16%)と言う回答が15%を超えているのに対し、日本ではいずれも10%以下となっている。同氏は「日本では、AIによって生産性が向上すれば、昇格につながり給与も上がるというイメージができていない」と話した。

岩本氏は、バックオフィスでAIを活用する際のステップとして「データ活用」「データからインサイトを取得」「AIによって得た結果に経営の意思を融合」「AIを高度化して経営判断につなげる」「次世代のバックオフィス」を挙げ、「日本ではバックオフィスでのAI活用が遅れているが、データやAIを活用したマネジメントへの期待は高い。現在、マネジメントの変革が求められている」と語った。

こうした結果を踏まえ、 日本オラクル 執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 ソリューション・エンジニアリング事業本部長の原智宏氏が、同社のアプリケーションにおけるAI戦略、バックオフィスにおける同社のAI活用について説明した。

原氏は「われわれは、AIに関するサービスを提供するのではなく、SaaSに組み込む形でAIを提供していく。人が行ってきたことをAIに任せ、AIによって人間の意思決定をサポートしていく」と述べ、アプリケーションにおけるAI戦略として、「Adaptive Intelligent Apps」「Intelligent UX」「Digital Assistants」という3つのエリアに注力しているとした。

例えば、会計の場合、AIによって「請求処理の自動化」「例外処理の把握とグループ化」「例外処理の順位付け」「トランザクションのレディネス推進」をサポートすることが可能になる。また、サプライチェーンの場合、AIによって「サプライヤーのデータ更新」「サプライヤーの分類」「高品質の購買を効果的に実施」「サプライベースの効果のモニタリング」をサポートすることができる。

また、原氏は同社が対話型AIによってUXを強化していると説明し、具体例として、「Ask Oracle」と「Digital Assistant」を紹介した。