レオナルド・ダビンチは寡作で、確かな彼の絵画は14枚しか残されていないという。模写は沢山あるが。今回、本物のルーブル美術館の『モナリザ』とそっくりなスペインのプラド美術館の『モナリザ』を最先端の科学の力で調べたのに密着した力作である。もう1つは超高額で落札された『糸巻の聖母』が、果たして本物のダビンチ作かどうかを調べる。結論は前者がNOで後者がYESだ。
赤外線反射撮影法で調べると、『モナリザ』の下絵には頭の輪郭を描いた黒い線がある。『糸巻の聖母』には、ダビンチが制作していた時に観察して書かれた文章が存在するのだが、それには幼いキリストが持つ十字架から垂れ下がった糸と足元には糸巻を入れる籠が描かれたと描写されているのに、この絵には糸も籠もない。ところが、この撮影法では下絵にちゃんと糸も籠も映っていたのだ。
また、ダビンチ独特の女の肌の色の不思議。彼は白と桃色の層を15層も塗り重ねて輝くような女の肌の光を編み出した。こんな描き方はダビンチの他には誰も出来なかった。だから、彼の絵には制作に時間がかかり、寡作だったのではないかと推理している。
今回の密着の案内人はサカナクションのボーカルだという山口一郎であるが、取材と制作に関わったPかDの解説で十分ではないか。外部の有名人を連れてきて権威付けするのがこの局の常道だが、素晴らしいドキュメントに無粋な案内人はいらないだろう。(放送2019年11月10日21時〜)

(黄蘭)