16インチMacBook Pro正式発表 限界に挑んだ6つの特徴を実機でチェック
Appleは15インチのMacBook Proを16インチの筐体でリプレースします。発売は発表翌日の11月14日。13インチは現行モデル継続となります。すでに予約受付が始まっており、日本での価格も案内されました(後述)。




▲4つのUSB-Cに加えてイヤホン端子もあります

同社のシュルティ・ハルデア氏(MacBook Pro担当プロダクトマネージャー)は、「ノートブックで最もパワフルな15インチのMacBook Proは、大きな画面、高いパフォーマンス、長いバッテリー駆動時間、打ちやすいキーボード、大きなストレージ容量、素晴らしいサウンドといった特徴がありました。16インチのMacBook Proでは、そのすべてが変わります」と述べています。

というわけで、短い時間でしたが発売前の実機に触れる機会がありましたので、写真でチェックしながらご紹介したいと思います。

......と、その前にパッケージを。デザインはいろんなProシリーズと共通化されてきましたね。




1.)大きな画面

ノート用Retinaディスプレイとして16インチはMac史上最大のサイズ。15インチモデルとベゼルを比べてみると、縦が25%、横が34%狭くなり、全体的にはわずかなサイズアップでディスプレイ大型化を実現しています。解像度は3072☓1920ドット(226ppi)。



狭額縁で迫ってくる590万ピクセルの没入感は、後述するサウンドの迫力も手伝いノートパソコンであることを忘れるほどの没入感が得られます。輝度は500ニト、高色域(P3)、True Tone対応などは変わりません。リフレッシュレートはシステム環境設定で調整可能になり、コンテンツのフレームレートに合わせて調整できるようになりました。



2.)高いパフォーマンス

プロセッサには6コアまたは8コアの第9世代Core iを搭載。15インチのクアッドコアと比較すると、たとえばLogic Pro Xなら2倍ものパフォーマンスで動作します。メモリはDDR4-2666で、64GBまで積めるように。標準仕様の16GBモデルに対し、Photoshopでギガピクセル級の画像を編集する際の作業効率は最大4倍にもなります。一般の方には標準仕様でも十分高速ですが、高度な作業を必要としるクリエイターは、さらに表現の高みをモバイルで目指すことが可能になりました。


グラフィックスはRadeon Pro 5000M、GDDR6をサポートし、従来のGDDR5と比べて2倍の威力に。4GBが標準ですが、オプションで8GBも選択可能になりました。標準スペックでもグラフィックスは従来の2倍、さらにその1.8倍まで引き出せることになります。高度なレンダリングを必要とする3Dクリエイターなどは、作業効率が著しく向上することでしょう。


MacBook Proでは、サーマルアーキテクチャーが再構築されています。これだけのパフォーマンス向上があると熱が心配ですが、しばらく使ってみて本体がとくに熱をもつようなことはありませんでした。ヒートパイプは35%太くなり、空気の流れを効率化したことで、通気性は28%向上しています。



3.)長いバッテリー駆動時間

MacBook Proは、容量100Whのバッテリーを搭載し、15インチモデルより16Wh増えています。連続駆動時間を測定する余裕はありませんでしたが、仕様表には最大11時間のワイヤレスインターネット閲覧とあり、あらゆるパフォーマンスが向上したにも関わらず15インチモデルよりも1時間長くなっています。なお、電源アダプタは、新しく96W出力のものになりました。デザインや大きさは変わっていません。



4.)打ちやすいキーボード

MacBook Proのキーボードに関しては、改良の余地ありとの見解を示すユーザーも多かったのは事実です。これまでバタフライメカニズムでしたが、ユーザーからのフィードバックを研究し、より深い人間工学に基づいたデザイン、再設計がされたといいます。


16インチ MacBook Proには、構造的にiMac Pro標準のMagic Keyboardに近いものが採用されています。キーキャップ、ラバードーム、シザーメカニズムの3部品で構成され、まったくガタツキのない安定したタイピングが実現されているほか、打鍵音もかなり小さくなりました。



キーストロークは、従来のProより0.5mm長い1mmを確保し、打鍵感はたいへん良好と感じました。また、esc(エスケープ)キーがTouch Bar上ではなく物理キーへと変更、Touch ID兼電源ボタンもTouch Barから独立しています。細かいですが、上下左右のカーソルキーも形状に変更が見られます。


▲escキーが独立した物理キーに


▲Touch ID兼電源ボタンも独立


▲カーソルキーにも若干の変更が見られます

キーボードバックライトも構造やキーストロークの変更に合わせ、その演出が工夫されています。従来は文字だけでしたが、周囲にほんのり光が漏れる感じですね。


▲16インチMacBook Proのキーボードバックライト。キーの周囲からも少し光が漏れるように


▲左が16インチMacBook Pro、右が15インチMacBook Pro。並べるとその違いがよくわかる

5.)大きなストレージ容量

ベースモデルは容量512GBもしくは1TBのSSDとなっており、それぞれ15インチMacBook Proの2倍となっています。特筆すべきは容量8TBの高速SSDが選択可能になったこと。ノートブックでは現状、最大容量のSSDとなります。

6.)素晴らしいサウンド


オーディオに関しては、高度な処理を必要とするようなクリエイターではない私個人的には、キーボードに次いで驚くべき進化と感じました。16インチMacBook Proには高級オーディオに用いられる高品質スピーカーが左右3基ずつの計6基備わり、フォースキャンセリングウーファーも搭載。2つのスピーカードライバーを背中合わせに内蔵し、それぞれが余計なノイズを物理的に相殺、解像感の高いサラウンドを実現しています。

低音は前15インチMacBook Proより半オクターブ低く、さらに重厚に。何台かのWindows PCと音質を比較してみましたが、とても同じノート型パソコンから出ているとは思えないほど、著しい違いでした。文章で表現するのが難しいのですが、たとえばiPhoneって、小さい割に内蔵スピーカーの音量や質がいいですよね? 同じように、16インチとはいえ「この薄いノートブックから、この音出る?」というギャップに驚くような、そんな印象です。ぜひ実際に聴いてみてください。



それと、マイクもヒスノイズが従来モデルより40%現象したスタジオ品質のものを内蔵。外付けマイクを用いずとも、スタジオクオリティの録音が可能になりました。FaceTimeなども快適になります。AirPods Proといい、最近Appleはノイズキャンセリングを再発明したと言えるのではないでしょうか。

さて、主なスペックは以下になります。

16インチMacBook Proの主なスペック

本体カラー:シルバー、スペースグレー
ディスプレイ:16インチRetina display(3072✕1920ドット、226ppi、500nit、IPS、Display P3、True Tone technology)
プロセッサ:2.6GHz 6コア Intel Core i7(Turbo Boost使用時最大4.5GHz) ※2.4GHz 8コア Intel Core i9(Turbo Boost使用時最大5.0GHz)に変更可能、2.3GHz 8コア Intel Core i9(Turbo Boost使用時最大4.8GHz) ※2.4GHz 8コア Intel Core i9(Turbo Boost使用時最大5.0GHz)に変更可能
メモリ:16GB(DDR4、2666MHz) ※64GB(DDR4、2666MHz)に変更可能
グラフィックス:AMD Radeon Pro 5300M(GDDR6、4GB)+Intel UHD Graphics 630 ※AMD Radeon Pro 5500M(GDDR6、8GB)+Intel UHD Graphics 630に変更可能、AMD Radeon Pro 5500M(GDDR6、4GB)+Intel UHD Graphics 630 ※AMD Radeon Pro 5500M(GDDR6、8GB)+Intel UHD Graphics 630に変更可能
ストレージ:512GB SSD ※1TB、2TB、4TB、8TB SSDに変更可能、1TB SSD ※2TB、4TB、8TB SSDに変更可能
充電と拡張性:Thunderbolt 3(USB Type-C)ポート×4 ※いずれも充電、DisplayPort、Thunderbolt(最大40Gb/s)、USB 3.1 Gen 2(最大10Gb/s)に対応
ワイヤレス:Wi-Fi(802.11ac/a/b/g/n)、Bluetooth 5.0
カメラ:720p FaceTime HDカメラ
オーディオ:6スピーカー+ウーファー(ドルビーAtomos対応)、3つのマイクロフォン、3.5mmヘッドフォンジャック
キーボード:フルサイズバックライトキーボード(環境光センサー対応、Touch IDセンサー付きTouch Bar)
トラックパッド:圧力感知機能搭載の感圧タッチトラックパッド
バッテリーと電源:最大11時間のワイヤレスインターネット閲覧、最大11時間のApple TVアプリケーションのビデオ再生、最大30日のスタンバイ時間(100Whリチウムポリマーバッテリー内蔵)、96W USB-C電源アダプタ
サイズ:W35.79×H1.62×D24.59cm
質量:2.0kg
OS:macOS Catalina

iPhoneには搭載されたWi-Fi 6がスペック表に見つかりませんでしたが、実はありました的な展開も過去にあったので、いったん忘れることにしましょう。

ベースモデルの価格は以下のようになっています。15インチMacBook Proより下位モデルで1万円、上位モデルで1万4000円安くなっているところもポイントです。16インチMacBook Pro 2.6GHZ 6コア Intel Core i7 標準モデル 24万8800円(税別)※税込27万3680円16インチMacBook Pro 2.3GHZ 8コア Intel Core i9 標準モデル 28万8800円(税別)※税込31万7680円
カスタマイズは、スペック表にある以外に英語キーボードの選択も可能です。



専用レザースリーブも発売。いつものやつですね。カラーはSaddle Brown、Midnight Blue、Blackの3色。価格は各2万2800円(税別)。スリーブに入れたままUSB-Cポートにアクセスできます。




▲ゴム足部分も考慮されています


▲スリーブに入れたまま充電OK



......というわけでたいへん駆け足でしたが、いかがでしたでしょうか? 本家Engadget US版の編集長Danaと「Appleはマジで凄いモノをつくったね」と話していました。16インチMacBook Proに関する続報・レビューはまだまだ上がりますので、引き続きEngadget 日本版にご期待ください。

関連記事:
「似ているようで全く違う」16インチMacBook Proの評価すべきポイントとは(本田雅一)
Mac史上最高峰「16インチMacBook Pro」の極上サウンドを実現したT2チップの功績(松村太郎)
スペックから分析する16インチMacBook Proの本当の凄さ(西田宗千佳)
16インチMacBook Proと15 / 13インチ比較。ほぼ大きさ変わらず画面拡大、Atmos対応6スピーカー