40節の鹿児島戦で3試合ぶりに先発したクリスティアーノ。全3得点に絡む活躍で柏を勝利に導いた。写真:田中研治

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 J2リーグ40節の鹿児島戦で、柏は3−0の快勝を収めた。この勝利によって昇格とJ2優勝に王手をかけた柏は、次節の町田戦に勝てば1年でのJ1復帰が決定する。

 その鹿児島戦における最大のトピックはクリスティアーノの復帰だった。

 クリスティアーノは37節の千葉戦で負傷。彼自身が「私のキャリアの中でもっとも重いケガだった」と振り返ったとおり、出場停止以外では欠場のなかった“柏の鉄人”にして、誰よりも勝利への飽くなき執念を燃やす男が、その千葉戦では66分に自ら交代を志願したのだ。ケガの影響により、福岡戦と大宮戦と2試合連続の欠場を余儀なくされた。

 とりわけ、上位直接対決の大一番である大宮戦での復帰を目指していたものの間に合わず、チームは1−2と逆転負け。クリスティアーノにも忸怩たる思いがあったことだろう。

 そして迎えた鹿児島戦である。前述のとおり大宮との大一番に敗れたため、もしここで連敗でもしようものなら、昇格とJ2優勝に黄信号が灯る。絶対に勝たなければいけない試合で、クリスティアーノは復帰を果たした。

「コンディションは100%ではなかった」(クリスティアーノ)という状態だったにもかかわらず、柏の背番号9はアグレッシブなプレーでチームを牽引した。ヒシャルジソンの先制点では得点につながるクロスを供給し、2点目、3点目はいずれもセットプレーから江坂任とオルンガの得点を演出した。復帰初戦にして全得点に絡む大車輪の活躍を見せ、J1復帰に前進する貴重な1勝をチームにもたらした。

 クリスティアーノは2015年に甲府から柏に期限付き移籍で加入し、その後一度は甲府に戻ったが、「柏でタイトルを取りたい」という思いから半年後には完全移籍で柏に帰ってきた。また、昨年のJ2降格が決まったC大阪戦後には「柏を相応しいJ1に上げる」と即座に残留を決断。J2という舞台ではあるが、クリスティアーノにとって柏での初めてのタイトルと、1年前に誓ったJ1復帰が目前に迫った。その重要な一戦に向けて、彼は決意を語る。

「次の試合に勝てば優勝と昇格が決まる。実質、得失点差を考えれば勝点1でも取ればライバルチームは追いつけない状況にある。そういう意味でも、その状況で何をしなければいけないのか、監督の指揮のもと考えていかなければいけない」

 復帰した前節の鹿児島戦もモチベーション高く臨んだが、今週末の試合は「それ以上にモチベーションが高い」と話す。

 そしてクリスティアーノは言う。
「1年間、我々がやってきたことが報われる。その瞬間が待ち遠しい」

 J2優勝と昇格決定へ向けて、クリスティアーノが力強くチームを牽引する。

取材・文●鈴木 潤(フリージャーナリスト)