10月のタジキスタン戦に続き、スタメンが濃厚の植田。キルギス戦でも無失点に貢献できるか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 2022年カタール・ワールドカップ・アジア2次予選、日本代表は14日に4連勝のかかるキルギス戦(ビシュケク)を迎える。気温5度を下回る寒さのなか、11日午後の現地初練習で気を吐いていたのが、植田直通(セルクル・ブルージュ)だ。10月のモンゴル戦(埼玉)で冨安健洋(ボローニャ)が負傷したことにより、続くタジキスタン戦(ドゥシャンベ)で予選初先発のチャンスを手にした彼は、無失点勝利に貢献。今回もセンターバックとしてスタメンが濃厚と目されている。

「ここから代表に残っていくために、自分のプレーを精一杯出さないといけない。僕にみんなが求めているのは激しさだと思うし、そういう部分ではビビらず突っ込んでいきたい。ここまで2次予選失点ゼロで来ているので、自分が出ることがあればそれを続けて、チームにしっかりと貢献していきたいです」と彼は強い闘志を前面に押し出した。

 U-17代表時代から将来を嘱望され、ハビエル・アギーレ体制の2015年アジアカップ(オーストラリア)でA代表初招集を受けながら、初キャップまで3年近い時間を費やした過去がある。2018年ロシア・ワールドカップもメンバー入りしたが、出番なしという屈辱を味わった。本人は悔しさを糧に欧州移籍に踏み切り、森保一監督体制発足後は主力定着も期待されたが、冨安の急成長、昌子源(トゥールーズ)の復調などもあり、代表から遠ざかる日々を余儀なくされた。

 だが、吉田麻也(サウサンプトン)や昌子らを招集できなかった6月のコパ・アメリカ(ブラジル)に呼ばれたことで、風向きが大きく変わることになる。

「森保さんになってから代表に長く行ってなかったし、あそこで1か月近く活動に参加して学ぶことがたくさんあった。大会後チームに合流したけど、コンディションが非常によくて今季に向けていいスタートが切れた。スアレス(バルセロナ)とか世界トップ選手と戦った後だったので、チームの練習試合に出てもレベル差をすごく感じた。『早くベルギーから外に出たい。もっと上に行きたい』と欲が出てきましたね」と植田は新たな自信と野心が芽生えたことを口にする。
 
 ベルギー2年目となった今季は開幕からコンスタントに出場。守備陣の統率役の重責を担った。が、チームが勝ちに見放され、最下位に低迷したことで、ファビアン・メルカダル前監督によっていきなり先発から外されるという理不尽な扱いも受けたが、10月初旬からベルント・シュトルク現監督が就任。植田は再び最終ラインの牽引役に位置付けられ、チーム状態は着実に上向いている。

「チームを立て直すことが僕の役割。今の苦境は『神様が与えた試練』だと思ってます。このチームでは僕も若い方ではないし、約束事なんか関係ないやつばっかりだから、僕が制御しないといけない部分も結構ある。彼らの良さを失わせないように修正してあげなきゃいけない。それに僕自身も単に空中戦で競って勝てるとは思わなくなりました。日本では身体的に必ず勝てたけど、ベルギーには2メートルを超えてる選手もいますし、相手を自由に競らせないポジション争いや技術にはかなりこだわってきた。そこはうまくなったという実感もありますね」

 この1年半で、メンタル的にもプレー面でもスケールアップした植田。その落ち着きと冷静さはタジキスタン戦にも確実に出ていた。今回も進化のほどをしっかりと示し、森保監督の信頼を深めれば、吉田・冨安のセンターバック鉄板コンビに風穴を開けられるかもしれない。鹿島時代の先輩・昌子源もいずれ怪我から復帰して戦力に加わってくると見られるだけに、このキルギス戦を最大限に生かして可能な限りのアピールをしておく必要がある。

「もっと上へ行きたい」と熱望する植田はクラブレベルでの飛躍はもちろんのこと、ロシアで果たせなかった世界舞台で活躍することも切望しているはず。その夢を実現するためにも、今回の貴重なチャンスをモノにするしかない。

取材・文●元川悦子(フリーライター)