トルシエ監督がU-18ベトナム代表を率いて、若き日本代表の前に立ちふさがった。写真:佐藤博之

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 2021年のU-20ワールドカップ出場を目指す戦いが始まった。次ラウンド進出は決めたものの、その船出は今後の航海に不安を抱かせる内容だった。

 11月6日から11月10日までベトナムで行なわれたU-19アジア選手権予選。2年後にインドネシアで開催されるU-20ワールドカップのアジア1次予選も兼ねており、世界の舞台に挑むために敗退は許されない。今予選は、各組1位もしくは各組2位の上位4チームまでに本選の出場権が与えられる。(U-19アジア選手権の開催国・ウズベキスタンが1位もしくは2位で突破した場合、各組2位の5位が繰り上げで出場)

 今年5月のU-20ワールドカップに引き続き、チームを率いるのは影山雅永監督。2月にU-18日本代表が発足すると、海外遠征や国内合宿などで強化を進め、この予選に照準を合わせて来た。6日のグアム戦は10−0で勝利し、8日のモンゴル戦も9−0で快勝。順調にステップを踏んでいるかに見えたが、問題は10日に迎えたホスト国・ベトナムとの最終戦だ。

 前述したように“不安を抱いた”のは、0−0の引き分けで終えたからではない。それ以上に内容が希薄だったからだ。

 近年成長著しいベトナムに序盤から苦戦を強いられた。かつて日本代表の指揮を執ったフィリップ・トルシエ監督が率いる相手に対し、若き日本代表は後手に回った。

「昔と比べると、性格がだいぶ丸くなりましたよね」。影山監督が試合前に冗談を交えながら話していたが、勝負に対する厳しさは衰えていない。2002年当時の代名詞、フラットスリーではなく、5バックの陣形で堅守を構築。鋭いカウンターも冴え、何度も日本を脅かした。

 日本は4-4-2のシステムで臨むも、サイドを効果的に使えずにノッキング。「自分が外を取った時は(中村)拓海君との連係でもっと深い位置まで行けたら良かったけど……」と、右サイドハーフの石浦大雅(東京ヴェルディユース)は言う。前半に放ったシュートが、わずか2本だった点からも攻撃面の機能性に問題があったことが分かる。

 後半開始から武田英寿(青森山田)がボランチに入り、単調だった攻撃にリズムが生まれた。だが、最前線の櫻川ソロモン(ジェフ千葉U-18)と染野唯月(尚志)に良い形でボールが入らず、決定機を作れない。徐々に相手が前に出て来ると、速攻から肝を冷やす場面も作られた。そして、75分。不測の事態に直面する。櫻川が相手DFに報復行為を行ない、一発退場になったのだ。
 10人の日本は4-4-1の布陣でリスクを軽減させながら、最低でも勝点1だけは逃さない道を選択。なんとか最後まで耐え切った日本はスコアレスドローで勝点を7ポイントとし、1位で来年の本大会行きのチケットを手にした。

 終わってみれば目標を達成。だが、最終戦の内容に影山監督も厳しい表情を浮かべた。

「みんな若い。(190センチの)ソロモンがいるから、そこを狙っても良かった。後半、武田英寿がルーズボールを拾って前に入れたけど、相手がそれでバタバタした。サッカーへの理解がまだまだ若いし、(アウェーの)雰囲気にビビってしまう。それはアジアの戦いでしか経験できない。“やばい”と思って、怖気付けば、怖気付くほど相手は来る。良いレッスンになってほしい」

 とりわけ、桜川の退場劇は教訓にすべきだろう。相手がタックルをした際に挑発されたからといって、やり返す行為は絶対に許されない。エクスキューズにならないし、反省すべき点だ。本人も「これは日本を背負っている戦い。アウェーの観衆もあって自分のプレーが上手くいかなくて、責任のないプレーをしてしまった」と試合後に話し、事の重大さに頭を下げた。だが、温厚で相手に報復するタイプではない櫻川が我を失ってしまったのも事実で、これもまたアジアの難しさである。「相手も厳しくマークに来ていて、敵の土俵に乗ってしまった。上手く行く場面が少なくて、自分の感情をコントロールできなかった」と話すように、普段では有り得ない事象が起こるのだ。