アプリがカメラに写った顔を認識し、目を大きくしたり、動物キャラクターになったりと、リアルタイムで動画の内容に変化を加えることは誰でもできる時代になりました。またFacebookに画像を投稿すると、そこに写った自分や友人の顔をFacebookが自動で認識することにも、あまり驚かなくなりましたよね。

 

このように、AIの顔認識テクノロジーや動画生成は機械学習によって急速に発展していますが、それと同時に高度な顔認識テクノロジーが普及することによって、プライバシーの侵害やフェイクニュースといった様々な懸念も生まれています。

 

例えば、警察や政府系機関がこのテクノロジーを濫用することで、政府による監視社会が実現してしまうという問題があり、実際にカリフォルニア州では警察による顔認識テクノロジーの利用を3年間禁止する法律が2020年1月から施行されることになりました。顔認識テクノロジーによるプライバシー侵害を市民が懸念していることがよく分かりますね。

 

そんななか、Facebookのリサーチャーが発表した技術が話題になっています。

 

「Live Face De-identification in Video」と名付けられたこの技術は、動画に写った人物の顔の特徴を微妙に変化させつつ、かなり自然な動画に作り上げることができるのが特徴。これを適用した動画は、警察などのデータベースに保管されている画像と参照することができなくなります。

Twitterでは、個人情報流出の温床となってきたFacebookがこの技術を開発したことに対して「皮肉」と述べたコメントや、「オンラインのアイデンティティが守られるのはいいけど、その一方で検知を逃れるための悪用方法が生み出されるかもしれないので、本当にいいのかどうか分からない」という戸惑いの声も見つかります。現時点ではFacebookはこの技術を何かに応用する予定はないとのこと。

 

ある海外メディアでは、「業者や政府機関が人物の映像を撮影するとき、このような技術を使うことが必要条件になるかもしれない」と述べています。アメリカでは警察官が身につけるボディカメラも増えてきていますが、企業や政府機関が集める動画データの量が増えるに従い、そのなかに偶然映り込んでしまう人々の顔も増えてしまいます。プライバシーを守るために、「顔認識を無効にする」技術が義務付けられる可能性はあるでしょう。

 

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