仕事と妊活の両立を目指す堅実女子を応援する妊活診断。前回は男性の不妊検査のファーストステップについてお伝えしましたが、男性側に不妊の原因があった場合の不妊治療はどうすればいいでしょうか。認定不妊アドバイザーの笛吹和代さんからのアドバイスをいただきます。

男性不妊がからんだ場合の注意点

男性の不妊検査とは精液検査のことです。その検査を行なっている泌尿器科か、男性不妊も扱っている不妊クリニックで受けることをおすすめします。泌尿器科の場合、事前に検査を行なっているかどうか、確認したほうがいいでしょう。

検査の結果、男性側に原因があった場合の不妊治療は、少々複雑になってきます。夫婦ともに治療を受けるなら、男性不妊を扱っている不妊クリニックに通うのがベストです。しかし都心はともかく、地方になると男性不妊も扱っているクリニックは限られます。

ほとんど精子がいないとか、動いていない、乏精子症という場合。ホルモン剤を注射する治療法もありますが、必ずしも結果が伴うわけではありません。妻の年齢によっては、夫婦同時進行で不妊治療を進める。妻が30代後半の場合、一気に体外受精にという考え方もあります。

また、夫が精索静脈瘤である場合は、すみやかに泌尿器科で治療を受ける必要があります。精索静脈瘤が男性不妊の原因になっていることは少なくありません。しかし自覚症状がない人も多い。そのため、はじめに検査を受けたクリニックが男性不妊に詳しくなかった場合、精索静脈瘤の可能性を見過ごし、そのまま不妊治療を進めてしまうケースもあり得ます。状態の悪い精子で顕微授精をしてもうまくいきません。とりあえず受精はしますが、その後、胚分割もせず、育ちません。お金と時間のロスです。

このようなことが起きてしまうのは、男性側の原因による不妊への知識不足、技術不足が大きいと思います。たとえばクリニックで顕微授精を数回行ってうまくいかなければ、医師から「今後の治療はどうされますか?」と告げられてしまうのです。あとは夫婦に判断が委ねられます。

私の相談者さんにも以前、男性不妊の専門ではないクリニックでこうしたケースがあります。彼女は、医師から「とりあえず顕微授精しましょう」と勧められました。私からは「男性不妊の専門クリニックでセカンドオピニオンをもらってはどうか」とアドバイスしました。彼女はセカンドオピニオンをもらいに行った医師から「まず夫の精索静脈瘤の手術をしたほうが、精液の状態が回復するかもしれません」と言われました。結果的に彼女の夫は手術を受け、精液の状態も改善し、若いご夫婦であったことからタイミング治療を続けられています。

最後はふたりの本気度の問題

いずれにしても男性不妊がからむと、判断しなければならないことが増え、クリニックの選択肢も限られてきます。夫婦で話し合って乗り越えられればいいのですが。

実はここが不妊治療のつまずきポイントのひとつ。よく聞かれるのが、夫婦で不妊治療を行なっているのに、夫が仕事の都合にかこつけて治療を優先しないという問題。妻のほうは「私は毎回、仕事を調整つけているのに!」という思いが高じてしまいます。感情的に不満をぶちまけると、夫のほうは黙ってしまう、治療に向き合わなければならないのにフタをしてしまう……。

夫の性格によりますが、自分に原因があると知って「妻に申し訳ない」と落ち込む男性もいれば、自分に原因があるのに「そのうちなんとかなるだろう」と現実を直視しない男性もいるのです。また「そうまでして子どもが欲しくない」のが夫の本音の場合、話は硬直していきます。

結局のところ、このテーマは子どもが欲しい気持ちの本気度(特に男性側)、コミュニケーションがどれだけ取れているかの夫婦関係に帰着します。ですから妊活のスタート時点で、ふたりの気持ちをなるべくしっかり確認しておくべきなのです。

男性側に不妊の原因がある場合、治療も悩むのもふたりで。



■賢人のまとめ
男性不妊の原因は必ず専門医に診断してもらい、適切な治療を受けることが大事です。初動を誤ると時間のロスになりかねません。不妊の原因が男性側にある場合、不妊治療はやや難易度を増しますが、ふたりで一緒に考えて乗り越えていくチャンスでもあります。

■プロフィール

妊活の賢人 笛吹和代

働く女性の健康と妊活・不妊に関する学びの場「女性の身体塾」を主宰する「Woman Lifestage Support」代表。日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー。臨床検査技師でもある。化粧品メーカーの開発部に勤務中、29歳で結婚。30代で不妊治療を経て出産。治療のために退職した経験から、現在は不妊や妊活に悩む女性のための講座やカウンセリングを行なっている。