米国の野党民主党の連邦議員がこのほど、ごく一部の富裕層や高額所得者への課税を強化する法案を発表しました。貧富の格差が深刻化するなか、公正な税制を求める団体や研究者だけでなく、富裕層のなかからも法案を歓迎する声が出ています。

 民主党のクリス・バンホーレン上院議員とドン・ベイヤー下院議員が7日に提出した法案は、年収200万ドル(約2億2000万円)を超える高額所得者について所得税の税率を10ポイント引き上げる内容です。実施されれば今後10年で約6350億ドル(約69兆円)の増収になります。

 ベイヤー議員は「税収減と経済格差という二つの問題に取り組む法案だ」と指摘。増収分は教育、医療、住居、インフラ、自然エネルギーに投資するとしています。バンホーレン議員は「これで国民の成功のために投資ができる」と述べました。

 民間の世論調査会社が10月に行った調査によると、ベイヤー議員らの提案を支持すると答えた人は回答者の7割以上に上りました。与党共和党支持者の間でも過半数が賛同しています。

 米国の資産家などでつくる団体「愛国的な百万長者」のメンバーは7日、「米国の格差は抑制が効かなくなっている。より公正な社会にするためにより豊かな人々がもっと多くの税金を払う必要がある。法案はいま必要とされている変革そのものだ」など歓迎声明を出しました。

 ワシントンにあるシンクタンク「政策研究所」のチャック・コリンズ氏は「(赤字を埋める)最初の税収は富裕層に有利な制度から利益を得てきた億万長者から来るべきだ」と法案の可決を呼び掛けました。

 米経済誌『フォーブス』がランク付けした米国で最も裕福な400人が持つ総資産は、下位の1億5000万人が持つ総資産よりも多くなっています。

 来年の大統領選に民主党から立候補を表明しているサンダース、ウォーレン両上院議員は富裕税を創設し、国民皆保険制度や学生ローン返済免除を実現することを訴えています。バンホーレン議員は自らの法案についてサンダース氏らの提案と「矛盾しない」と述べています。

 (島田峰隆)