16強で散った日本。グループリーグの戦いぶりは称賛を集めたが……。(C)Getty Images

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 U-17ワールドカップの決勝トーナメント1回戦、日本とメキシコの選手がピッチに入った時、まずふたつのことが印象に残った。

 ひとつはサポーター。50人足らずの日本人サポーターのそばで、多くのブラジル人が、サムライの兜をかぶり、鉢巻をしてニッポン、ニッポンの声援を送っていた。

 もうひとつは雨だ。それもとんでもない土砂降り。しかし、審判団は協議の末に試合続行を決断した。残念ながら、この雨は日本の味方とはならなかった。グループリーグで一番強かったチームが、一番弱かったチームに負けてしまったのである。

 ヨーロッパチャンピオンのオランダを下すなど、2勝1分けでしかも無失点、文句なしの1位でグループリーグを突破した日本。方やメキシコはぎりぎりの3位通過で、内容も見るべきところはなかった。

 しかしサッカーとは、ここぞといった時に力を見せるチームが勝利する。グループリーグの成績は過去のことで、もう関係ない。こういった一発勝負をブラジルでは「Mata‐Mata」という。英語ならキル&キル。つまり殺るか、殺られるかだ。

 そんな何が何でも勝たなければいけない「Mata-Mata」な試合で、しかし日本は過ちを犯してしまった。おかげで今後、我々は、名前もよく知らないメキシコの選手たちを追いかけなければならなくなった。一方の日本代表は、西川潤と若月大和をはじめ、鈴木彩艶、畑大雅、唐山翔自、三戸舜介、成岡輝瑠……半分近くの選手の名が知られるようになっていた。

 日本の皆さんは、もしかしたらこのブラジル人記者は、リップサービスをしているのかと疑うかもしれない。だが、そんなことは断じてない。すべては真実だ。
 
 日本は残念ながら早く帰国することになってしまったが、それでも西川と若月は大会トップ10に入る選手であるし、フランス、ブラジル、パラグアイとともに日本はここまでのベストチームだった。

 私だけがそう言っているのではない。FIFAの公式データを見ても、それは明らかだ。ディフェンス、GKの指標はここまでで1位、ボールポセッション、パス成功率では2位、枠内シュート数は3位。それが日本の残した成績だ。

 元ブラジル代表の正GKでベンフィカ、インテルなどでプレーしたFIFAアンバサダーのジュリオ・セーザルもこう言っていた。
「ここにいるのはみな若くまだ経験の浅い選手たちだ。だがスペイン、フランス、イタリア、アルゼンチン、ブラジルなどには、すでにビッグクラブでプレーしている者もいる。しかし日本に関しては、まったく異なる背景を持つ。ビッグクラブはおろか、まだ学生もいる。にもかかわらず、これほど高いレベルのプレーを見せてくれたのは、驚きでもあり、嬉しくもある。今大会において一番のサプライズだろう」

 ただ、これはすべてメキシコ戦の前の話だ。この試合の日本は、その前のセネガル戦とは明らかに違っていた。まるで全員がこの雨でインフルエンザにでもかかったように、動きが鈍かった。とりわけ雨の激しかった開始直後などは、メキシコの選手はまるで敵のいないピッチで遊んででもいるようだった。

 日本のプレーを期待していたサポーター、そして記者たちは、最初の3分で二度もゴールを脅かされる日本に、自分たちの期待が裏切られるのではという予兆を感じた。ブラジルのスポーツ紙オ・グローボなどは、この試合に3人もの記者を送り込んでいた。それだけ興味深い試合だと判断したからだ。試合前には新聞にはこう書かれていた。

「我々は西川から目を離してはいけない」

 しかし時間が経っても日本にはいいプレーが見られない。やる気は見えるのだが、それがすべてうまくいかない。反対にメキシコは、鈴木の守るゴールに多くのシュートを放っていた。