アマゾン物流センターの保管エリアでラックを運ぶロボットプラットフォーム。スペイン、バルセロナ(写真:ロイター/アフロ)


 米アマゾン・ドット・コムは11月6日、「アマゾン・ロボティクス」と呼ぶ物流倉庫用ロボット開発・製造部門が新拠点を設けると発表した。

 場所はマサチューセッツ州ウェストボロー。ボストンから約55キロメートル西の町だ。施設の面積は約3万2500平方メートルと、東京ドーム0.7個分。

 アマゾンは約4000万ドル(約43億円)を投じて、オフィスや技術開発研究所、製造工場を備えるイノベーション・ハブを建設し、2021年の操業開始を目指す。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

前身は2012年に買収したキバ・システムズ

 アマゾンは2012年にマサチューセッツ州ノースリーディングに拠点を構える米キバ・システムズを7億7500万ドルの現金で買収した。

 キバは物流センター向け運搬ロボットシステムを手がけていた企業。アマゾンはこの技術を使い、自走式のロボットを開発。商品棚を自動で従業員のいる場所に運ぶシステムを自社のフルフィルメントセンター(配送センター)に導入した。

  そして、2015年にキバの名称を「アマゾン・ロボティクス」に改称。その後事業を拡大してきた。今年(2019年)6月までに、全世界50の自社フルフィルメントセンターに合計20万台のロボットを導入している。

 アマゾン・ロボティクスの本社は前身のキバの本社があったマサチューセッツ州ノースリーディング。今後は、この既存拠点と新設するウェストボローの拠点で、最先端ロボットの開発と製造を行い、全世界のフルフィルメントセンターに出荷していくという。

 こうして自前のシステムで物流の効率化や迅速化、コスト削減を図ることができる点がアマゾンの強みと言えそうだ。

「ラストマイル」を自前物流基盤で

 昨今はeコマースの普及に伴い、運送業者間の人材獲得競争が激化しており、最終物流施設から顧客宅に商品を届ける「ラストマイル」のドライバーが不足している。そこで同社は、「デリバリー・サービス・パートナー」と呼ぶプログラムを2018年6月に始めた。これを通じ、宅配業務の起業を支援している。例えば、アマゾンのロゴが入ったリース車両や制服、そしてガソリン、保険など、業務に必要なものを安価で提供している。

 同社は現在、米ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)や米郵政公社(USPS)といった物流大手にラストマイル配送の多くを委託している。しかし、今後は徐々に大手への発注を減らし、2022年には米国で販売するeコマース商品の荷物のうち、5割を自社のデリバリー・サービス・パートナーが配達するのではないかと、ウォール・ストリート・ジャーナルなどの米メディアは報じている。

米物流大手、アマゾンとの米国内輸送契約打ち切り

 米物流大手のフェデックス(FedEx)は今年6〜8月、アマゾンとの米国内航空貨物と陸上貨物の輸送契約を打ち切った。

 フェデックスによると、2018年にアマゾンからもたらされた収入は同社全売上高のわずか1.3%程度。今やアマゾンは同社にとって、大口顧客ではないという。そうした中、フェデックスは米ウォルマートや米ターゲットなど、アマゾンの競合との提携を強化したい考えだという。

 フェデックスの方針転換の背景には、進化と拡大を続けるアマゾンの自前物流システムの存在があると言われている。

 (参考・関連記事)「アマゾン、米物流大手がまたもや契約打ち切り」

 (参考・関連記事)「拡大するアマゾンの航空貨物輸送」

 (参考・関連記事)「アマゾンの物流インフラは4年間で3倍に拡大した」

筆者:小久保 重信