韓国経済の先行きに欧米の大手メディアも見切りをつけたのか。文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済運営を批判する記事が相次いで掲載され、1997年の通貨危機のような「連鎖危機」を危惧する専門家の見解も紹介されている。今月10日で文政権の5年間の任期は折り返しを迎えるが、高い失業率に加え、頼みの輸出も不振が続くのに有効な手立てを打てない。国内メディアからも「落第」「歴代最悪」と厳しい声が抑えられなくなってきた。

 「韓国に迫る経済危機、日本が教訓に」と題したコラムを掲載したのは米経済紙ウォールストリート・ジャーナル。韓国の9月のコア消費者物価指数が前年同月比で0・6%、国内総生産(GDP)も減速していることを挙げ、非金融企業の債務や家計債務が大幅に増えていると指摘。デフレに見舞われた日本のような事態が到来する可能性があると警告している。

 「韓国の不安定な経済は新たな日本となるのか」とするのは英テレグラフ。文政権が格差是正を目的に行った最低賃金引き上げや勤労時間の短縮が中小企業を逼迫(ひっぱく)させた結果、より格差が生まれるという逆効果をもたらしたと伝えている。法人税を引き上げたことで外国企業が海外へと流出したともしている。

 さらに、「日本のように『失われた20年』を経験するという人もいるが、より悪くなるだろう」という韓国のエコノミストの見解を紹介、「韓国が深刻な不況に陥った場合、1997年のような危機が引き起こされる。それは連鎖的な危機だ」とする悲観論が引用されている。

 97年の通貨危機では、デフォルト(債務不履行)寸前になった韓国は国際通貨基金(IMF)の管理下に入り、救済される代わりに箸の上げ下ろしまで差配された。韓国にとっては悪夢といえる時期だ。

 韓国経済に詳しい朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は、「韓国国内の“御用メディア”とは違い、客観的な判断ができている。これまで韓国を支えてきたのは財閥主導の経済で、トップダウンで短期に集中投資した結果、半導体分野でも成長してきた。しかし文政権になって、サムスンのトップは今にも逮捕されるかという状況でビジネスを容易にできる状況ではない」と解説する。

 韓国国内のメディアも文政権の経済政策を厳しく評価している。

 中央日報(日本語電子版)は5日、7〜9月期GDPは前期比0・4%増にとどまり、年間成長率も2%に届かないことを「落第点レベル」だと非難した。所得格差を「歴代最悪レベル」と評しているほか、実態に伴わない楽観的な観測を示す政府には批判も上がっていると伝えている。

 いつまでたっても改善されない文政権の経済政策に、国内メディアもしびれを切らし、背を向けたということか。

 前出の松木氏は「これまで政府の圧力で書けなかった記事も、もはやそのような状況にはなくなったのかもしれない。それだけ悪化しているということだろう。韓国経済の厳しさは隠しきれないレベルまで達している」と指摘する。

 4日にタイ・バンコクで急遽(きゅうきょ)行われた安倍晋三首相と文大統領による約11分間の「面談」は、言葉を交わした程度で、茂木敏充外相も5日の記者会見で、「大きな評価をするのは難しい」と述べた。

 にも関わらず、文大統領は自身のフェイスブックで「対話の始まりとなり得る、意味ある出会いだった」などと投稿し、進展があったかのようにアピールしている。

 外交も経済も“希望的観測”が目立っている。

 文政権の残りの2年半の任期について松木氏は、成長戦略への具体案が全くないため、「一層厳しくなることは間違いない」と断言した。