秋のGIシリーズが再開。今週のGIエリザベス女王杯(11月10日/京都・芝2200m)から、年末の2歳GIホープフルS(12月28日/中山・芝2000)まで、8週連続のGI開催となる。

 さて、下半期の「女王決定戦」となるエリザベス女王杯。このレースは、1番人気馬にとって”鬼門”のレースと言える。過去10年で、わずか1勝。それも、イギリスからの遠征馬スノーフェアリーしか勝っていないのだ。その他、ブエナビスタ、アパパネ、ヴィルシーナら1番人気に推された面々は、ことごとく人気を裏切って苦杯をなめてきた。

 そして今年は、デビューから無傷の4連勝でGIオークス(5月19日/東京・芝2400m)を制したラヴズオンリーユー(牝3歳)、GI秋華賞(10月13日/京都・芝2000m)で悲願の戴冠を遂げたクロノジェネシス(牝3歳)といった2頭の3歳馬が人気の中心に見られているが、はたしてどうか。

 とりわけラヴズオンリーユーは、オークスからのぶっつけ本番、という点が懸念材料となる。過去10年を振り返っても、オークスからの直行でエリザベス女王杯を勝った馬はいない。2015年にルージュバックが4着になったのが最高で、馬券圏内(3着以内)も皆無だ。

 そうなると、今年も混戦が予想されるが、日刊スポーツの木南友輔記者によれば、今年はさらに”イレギュラーな要素”が加わって、波乱が起こりそうな雰囲気があるという。それは、世界的な名手たちの参戦だ。

「アメリカのブリーダーズC開催が終わり、オーストラリアではメルボルンCが終了。いよいよ短期免許を取得して、多くの外国人騎手が日本にやって来ます。ランフランコ・デットーリ騎手はメルボルンCで受けた騎乗停止により、ライアン・ムーア騎手は急きょオーストラリアでの騎乗があって、来日が先送りになりましたが、オイシン・マーフィー騎手が今週から参戦。加えて、すでに日本で騎乗を開始しているクリストフ・スミヨン騎手もいるとなれば、ラヴズオンリーユーに騎乗するミルコ・デムーロ騎手も安泰とはいかないでしょう」

 こうした状況にあって、木南記者もまずは、短期免許を取得してやって来た欧州のトップジョッキーが騎乗する馬に注目する。


スミヨン騎手が鞍上を務めるラッキーライラック

「ラッキーライラック(牝4歳)です。デビューから石橋脩騎手とコンビを組み続けてきましたが(※昨年の秋華賞のみ、石橋騎手負傷のため、北村友一騎手が騎乗)、今回はスミヨン騎手が手綱を取ります。石橋騎手がこの馬に惚れ込んでいたのは間違いなく、能力があることはこれまでのレースぶりからも明らかです。今回、同馬にとってオークス(3着)に次ぐ長い距離となりますが、スミヨン騎手ならうまく導いてくれるのでは、と思っています。

 およそ5カ月ぶりの前走、GIII府中牝馬S(10月14日/東京・芝1800m)では、プラス16圓箸いη和僚鼎如⇒祥気鮖たせた作りでしたが、見せ場十分の3着。今回は相当な上積みが見込めます。それでいて、3着という結果により、やや評価を落としそうなので、馬券的な妙味が余計に増します。

 また、来日後のスミヨン騎手は本当に体調がいいようで、以前は『斤量56坩幣紊靴乗れない』という制限があったのに、今回は斤量55圓稜呂竜馨茲皺魘悄今は『斤量54圓眈茲譴襦戮繁椰佑言っているらしく、それだけコンディションがよく、好調な状態にあると見ていいのでは。そんな名手の手腕に期待が膨らみます」

 木南記者はもう1頭、今週から短期免許を取得して参戦するマーフィー騎手騎乗の馬を穴候補に挙げる。

「ウラヌスチャーム(牝4歳)です。マーフィー騎手とのコンビで、年明けの1600万(現3勝クラス)特別・迎春S(1月6日/中山・芝2200m)も勝っています。

 同馬を管理する厩舎が、昨年からずっと『GIに出したい』と言ってきた馬の、待望のGI参戦となります。その分、関東馬ですが、早めに栗東入り。ステップレースとなる前走にも、GII京都大賞典(10月6日/京都・芝2400m)を選択するなど、ここに向けて、いろいろな手を打ってきています。

 実績的に見て、この馬の人気もそこまで上がらないでしょう。前走を見直すと、京都の下り坂の練習もしっかりできていたように見受けられますし、大駆けがあってもおかしくないと思います」

 一方、中日スポーツの大野英樹記者は、日本人騎手とコンビを組む馬に期待を寄せる。藤岡佑介騎手が手綱を取るクロコスミア(牝6歳)である。

「過去10年で6歳以上は0勝。データ上は苦戦でも、穴馬にオススメしたい1頭です。なにしろ、このレースでは2年連続で2着。いずれも9番人気の低評価にあっての激走ですからね。昨年は、一旦完全に抜け出すレースぶりを披露。最後はリスグラシューの決め手に屈しましたが、内容は濃いものがありました。

 前走の府中牝馬Sでは5着でしたが、その粘り腰には、まったく衰えは感じられませんでした。同馬を管理する西浦勝一調教師も、『厳しい展開だったのに、よく踏ん張ってくれた。ここ(エリザベス女王杯)が楽しみになった』と話していましたし、私自身もそう思います。

 騎乗予定だった戸崎圭太騎手が負傷して乗り替わるという不運はありましたが、藤岡佑騎手なら、問題ありません。前での競馬にも頼り甲斐があります。今年も、クロコスミア持ち前の粘り強さに期待したいです」

 大野記者ももう1頭、推奨馬を上げる。

「サトノガーネット(牝4歳)です。超大穴として、注視しています。前走の府中牝馬Sでは8着に終わりましたが、出走メンバー2番目の上がり33秒7をマーク。その末脚は侮れません。敗因は距離不足でしょうから、そこから距離が延びる今回は、一段と楽しみです。

 2200mという距離になって、強力な先行馬も不在。スローペースが予想されます。そうなると、前が優位に見えますが、追走が楽になる分、早めに前を射程圏に入れることできる後方勢にとっても、有利に働くことがあります。ここで、切れ味を存分に発揮するサトノガーネットの姿に、一発の期待をしたくなります」 荒れるGIの”定番”とも言えるエリザベス女王杯。GIシリーズの資金を増やしてくる波乱の使者が、ここに挙げた4頭の中にきっといる。