人気が沸騰しているJAおきなわのシークワーサー商品(沖縄県浦添市で)

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 沖縄県特産のシークワーサーの人気が沸騰している。テレビ番組で機能性成分「ノビレチン」が脚光を浴び、空前の売れ行きだ。東京都内の県産品アンテナショップの棚から商品が消え、業者からJAおきなわの冷凍濃縮果汁には前年の倍の注文が舞い込む。JAなどは一過性の動きに終わらせないよう、安定供給や商品開発に力を注ぐ。

 東京・銀座の県産品アンテナショップ「わしたショップ」。10月中旬、棚にぎっしりと並んでいるはずのシークワーサー飲料などが姿を消し、JA関係者らが驚きの声を上げた。前日のテレビ番組がノビレチンに認知症予防の効能があると紹介し、注目を集めた。

 JAのシークワーサー果汁100%の飲料には1日で1000ケース(1ケース24本、1本500ミリリットル)以上の注文が相次いだ。青切りの果実を皮ごと搾った商品だ。ノビレチンは果実が青い時期に多い上、特に内皮に含まれるため、人気が集中したとみられる。JAが8月に発売した、100%果汁を粉末にした商品「ヒラミン」にも料理への利用などで引き合いが集まる。

 JAが業者向けに販売する冷凍濃縮果汁にも問い合わせが殺到。昨年の台風で生産量が減り、果実の確保が難航していたところにブームが重なったためだ。JAは「注文数は昨年の倍だ」と複雑な心境だ。関係者は需要を逃さないよう、安定供給と商品開発に力を入れる。十数年前にもテレビ放映の効果で売れ行きが伸びたが、長続きしなかった苦い記憶があるためだ。

 JAは2014年度、農家と契約取引を始め、原料を安定して確保できる態勢を整えた。その結果、昨年の台風の影響で木が弱り、果実が少ない今年も冷凍濃縮果汁を業者に供給しながらチャンスロスを防いでいる。搾りかすを使った商品の開発や、機能性表示食品としての販売も視野に入れる。JA特産加工部の新城悟次長は「ブームに関係なく健康的な食品として定着させたい」と意気込む。