今大会ここまで2得点・2アシストの西川潤。まさにエースの仕事ぶりでグループ首位通過に貢献した。(C) Getty Images

写真拡大 (全2枚)

 2勝1分けでグループDを首位通過したU-17日本代表がラウンド・オブ16を戦う。

 日本はグループステージ最終戦となった2日のセネガル戦を終えると、3日に6時間ほど掛けてブラジリアへ移動。当日はグラウンドで身体を動かさず、翌日から再び動き出した。

 4日のトレーニングでは疲労を考慮し、数名が別メニューで調整。一方で、攻撃の要である西川潤(桐光学園)や若月大和(桐生一)らは元気な姿を見せ、ミニゲームなどで汗を流した。5日は実践的なメニューを消化。翌日のベスト16の戦いに備えた。

 ノックアウトステージ初戦の相手はメキシコ。グループステージは1勝1分1敗でイタリア、パラグアイに次ぐ3位で勝ち抜けたが、技術力と身体の強さを兼ね備えた北中米王者は侮れない。チームを率いる森山佳郎監督も警戒を強めている。

「テクニカルで手強い相手。守備も堅いし、北中米らしい戦う姿勢や勝負強さを持つ老獪なチームです。U-17では2度ワールドカップを制していますし、この年代では本当に世界のトップレベル」

 メキシコの基本布陣は4-2-3-1。10番のイスラエル・ルナは要注意人物で、北中米予選では5得点の活躍を見せ、“ゴールデンボール”を受賞している。トップ下でチャンスメイクするだけでなく、サイドハーフや中盤の深い位置でゲームの組み立てにも参加。あらゆる場面に顔を出す万能型のアタッカーだ。

 その他のメンバーを見てもタレントが揃う。9番のサンティアゴ・ムニョスは狡猾で抜け目のないストライカー。右サイドに位置するエフレイン・アルバレスも実力者で、チーム唯一の海外組だ。MLSのロサンゼルス・ギャラクシーでプレーするレフティはドリブルとキックが売りで、右サイドハーフから多くのチャンスに絡んでくる。いかに彼らを止めるか。ラウンド・オブ16を制する上でキーになるはずだ。

 また、小柄で俊敏性に長けた選手が多いイメージのメキシコだが、大柄な選手も少なくない。CBには188センチのアレハンドロ・ゴメス、181センチのヴィクトル・グスマンを擁しており、高さでも勝負できるチームに仕上がっている。セットプレーでは彼らが脅威になるだけに、空中戦も勝負を分ける分水嶺。「セットプレーは脅威。慎重にならないといけないし、まずは与えない。与えてしまったら、なんとか必死になって守ってもらいたい」と、指揮官も試合のポイントに挙げるほどだ。

 日本はメキシコに対し、2012年のロンドン五輪の準決勝で敗れるなど、幾度か苦い経験をしてきた。今回のU-17世代の選手たちも今年7月の新潟国際ユースで対戦。その時は相手のパワープレーに屈し、1-2で敗北を喫した。

 もちろん、相手も時差ボケの影響などでコンディションが整っておらず、全てが参考になるわけではない。ただ、悪いイメージはない。「そこまでいけるイメージはあるので、あとは決めるだけ」(三戸)と手応えは十分。相手の特徴を知っている点も含めて、少なからずやり易さはあるはずだ。
 
 攻守にタレントを揃えるメキシコに対し、日本はどう戦うのか。基本的な戦い方は、グループステージと大きく変わらないだろう。献身的な守備とともに、西川のキープ力、若月のスピードを生かした攻撃が生命線となる。とりわけ、攻撃面で長所を発揮するためには、前線からのプレスがポイントになる。

 メキシコは日本がグループリーグ初戦で対峙したオランダと同様に、2枚のCBとボランチの3人でビルドアップを行なう場面が多い。正確なフィードで一気に局面を打開する術も持っており、彼らに対するプレッシングがゲームの肝。高い位置でボールを奪えれば、ショートカウンターで一気にチャンスを生み出せる。それだけにFW2人の守備も重要になるはずだ。

 相手も“日本対策”を講じてくるはずで、想定とは違うこともある。ただ、このワールドカップで事前情報と違った試合は経験済み。

「高い位置で取れるのが理想。だけど、ボールが奪えなくても後ろで取れれば、オランダ戦のように前のスペースが活きてくる。そこを上手く抜け出して、パスをもらえるようにしたい。相手がどんなフォーメーションで来るか分からないけど、試合中に察知しながら戦いたい」

 西川が話す通り、思い通りの展開にならないのは、選手たちも承知している。苦しい時間帯は我慢し、一瞬の隙を突いてゴールを奪う。これまで通りの戦いが出来れば、十分に勝機はある。

「3試合やって無失点というのは自信になったと思う。得たものをぶつけて、みんなの想いが詰まったひとつのゴールを決めて勝ちたい」とは森山監督の言葉。3試合で培った経験値をフルに使い、過去最高の8強入りを掴み取る。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)