ダイソンのヘアドライヤー「Supersonic Ionic」は「風を科学する」技術で創られている

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ダイソン「Supersonic Ionic」は、羽のない扇風機の機能をそのままドライヤーに活かした最新のヘアドライヤーである。

気温が下がるにつれて、髪は乾きにくくなる。
髪のトラブルを解消するためには、洗髪後、いかに素早く乾かすかが重要となる。
しかしながら髪を素早く乾かすために熱を与えすぎるのは良くない。

この相反する2つの問題をどのようにして解決するのか?
それがメーカーの腕の見せ所である。
髪を乾かすために必要なのは、熱量と風量だ。

最近のヘアドライヤーのハイエンドモデルには髪の毛をいたわる機能が搭載されている。ただ早く乾かすだけではなく、風量や温度を自動調整して髪の潤いやツヤをだすなどの付加価値のある製品作りをしているのである。

さて、ダイソンといえば「吸引力の変わらない」のキャッチコピーで、サイクロン式の掃除機をあっという間に普及させたことでも知られるメーカーだ。

従来の掃除機は、吸い取ったゴミを本体内部のフィルターでせき止めるようにしてゴミを貯める仕組みであった。このため内部のゴミを捨てるには、本体を開いてゴミを振り落とす必要があった。

この作業を簡単で清潔に行えるようにしたのが次の世代となった紙パック式の掃除機だ。
紙パック式は、紙パックを別途購入する必要はあるが、紙パックが一杯になるまで吸引し続けることができるので、1カ月以上は利用することができた。
掃除機本体だけではなく、消耗品として専用の紙パックも売上を立てるため商売としても良くできていた。

これら従来方式のデメリットは、内部にゴミがたまってくると、フィルターを塞ぐため吸引力が落ちることだ。紙パック方式になったことで、ゴミを目一杯まで貯めることが経済的に良いのだが、貯まったゴミが空気の流れの邪魔をするため結果的に吸引力は低下していったのである。

そしてダイソンの衝撃的なサイクロン式の掃除機のCMにより、紙パック式など、従来型の掃除機は吸引力が落ちていくことに我々は気付かされたのだ。

サイクロン式の掃除機は、吸ったゴミを遠心力でゴミと空気に分けることで、フィルターが目詰まりしづらいと言う構造をもっていた。
この仕組みによって、吸引力は変わらずに、長い期間で持続する。
遠心力で分離したゴミは一カ所に集められ、ゴミ取り出し用の蓋を開けて捨てるとことができる。

ダイソンの掃除機も、ゴミ捨ての作業に関しては初期の掃除機に近いものがあるのだが、キャッチコピーや製品デザインには、それ以上のインパクトがあった。

そのインパクトとは、
日本的な同じ製品をよりよくしていくというものづくりではなく、新しい発想で価値をイメージさせるダイソンらしいものづくりであった。

これによって今までにないデザインと、“吸引力が変わらない“という言葉のインパクトによって、紙パック式の掃除機が一気に古い製品に見えるようになったのである。

とはいえ日本の従来の掃除機は、ダイソンの掃除機と比較して、ダメな製品だったのか?
実は、そうではない。

これまでの日本の住居では、フローリングより、畳やカーペットなど、目が細かい床が多かったため、日本の生活環境に適した吸引力を持つ製品作りが行われていただけだ。

こうして吸引力が長続きするサイクロン掃除機で成功を収めたダイソンは、「羽のない扇風機」で家電デザインに革命を起こす。

扇風機の常識であった巨大な羽がなく、巨大で不思議なドーナツ型の扇風機を製品化したことで、他にはないダイソンのデザイン家電というブランドイメージとともに、風を科学するメーカーというイメージも知れ渡ったのではないだろうか。

羽のない扇風機の最大の特徴は、回転する羽が発生する断片的な風ではなく、独自の特許技術である「Air Multiplier」機能によって常に一定した風を発生させることができることにある。