11月1日に開業した大型複合施設「渋谷スクランブルスクエア」。商業施設は14階から地下2階を占め、ファッションは2階から9階の7フロアと面積では圧倒、ショップ数も多い。

 昨今、ショッピングモールでファッションの低迷が言われて久しいが、依然として衣食住の生活者のニーズに対応する上で欠かせないコンテンツであることに変わりはない。全体のマーケットが横ばい傾向でネット通販が勢いを増す状況の中で、リアルの店舗の在り方が問われているのが、ファッションだ。

 渋谷スクランブルスクエアではラグジュアリーブランドフロア、有力セレクトョップやトレンドショップの誘致、東急百貨店による編集型売場といった多方面からのアプローチでMDを構成、それぞれの需要を取り込もうとしている。

 その一方で、ライフスタイルショップの流れが鮮明になってきた雑貨は10階と11階の2フロアを使って展開。10階は東急ハンズ、11階はTSUTAYAや中川政七商店など4店舗と絞り込んでいる。

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2階:「日常性+発見性」をテーマにしたファッションフロア

 スポーツブランド、化粧品、生活雑貨、メガネ、アクセサリー、フラワー、カフェなどさまざまなカテゴリーで構成されている。

 

 ナイキは米国以外では初となる新コンセプトストア「NIKE Live(ナイキライブ)」の「NIKE BY SHIBUYA SCRAMBLE」(ナイキ バイ シブヤ スクランブル)を出店(店舗は約50坪)。ナイキライブは「ナイキアプリ」などデジタルと連携し、店舗周辺のナイキメンバーからの意見や会員データを元に、よりコンシューマーに対応するサービスを展開、プロダクトや体験を提供するものだ。

 

「CONVERSE TOKYO」(コンバース トウキョウ)では、レディースとメンズのウエアを取り扱う。



「NERGY」(ナージー)はスポーツ×ファッションをコンセプトに、新しい“アクティブライフスタイル”を提案し、今注目されているレディススポーツブランド。

 

 ヨガ・トレーニング・ランニングアイテムを中心に、機能的かつスタイリッシュなアイテムを展開。エリアごとにストアスタッフを中心メンバーとした女性向けスポーツコミュニテ ィ「nergy active studio」があり、ヨガ・ランニングなどの ワークアウトセッションを定期的に開催している。

 

「SeeP EYEVAN」(シープ アイヴァン)は、1972年に「着るメガネ」として生まれた「EYEVAN」によるアイウエア・サロン。ここではその旗艦店としてオープンし、業態として初めて取り扱うブランドも導入する。優れたデザイン性とものづくりの哲学を持つブランドをセレクトし、診断をするように個性に合う1本をコーディネートするサービスが特色のメガネショップだ。

3階:11ショップからなるラグジュアリーブランドのフロア






 

 3階は「SAINT LAURENT」(サンローラン)「GIVENCHY」(ジバンシィ)「VALENTINO」(ヴァレンティノ)「TIFFANY」(ティファニー)「Dior」(ディオール)「BVLGARI」(ブルガリ)「KENZO」(ケンゾー)といったおなじみのブランドが軒を連ねて内外の需要の取り込みを図ろうとしている。



「STELLA McCARTNEY」(ステラ マッカートニー)「JIMMY CHOO」(ジミーチュウ)、「BALENCIAGA」(バレンシアガ)「sacai」(サカイ)もアクセントとして導入している。

4階:モノ・コト・トキに触れ、回遊を通じて共感を醸成するゾーン​

 


 4階は、さまざまなストーリーを持つモノ・コト・トキに触れ、回遊を通じて共感を醸成するゾーンとして、物語性と回遊性を打ち出している。

「428−224」(シブヤ224)は東急百貨店が発信する新しいセレクトストア。レディースをメインに、世界中から集められた旬のデザイナーズブランドから次世代ブランドまで50ブランド以上を展開。話題性の高い期間限定イベントも実施する。福岡発のセレクトショップ「MOGGIE CO-OP」(マギークープ)、バロックジャパンリミテッドの「RIM.ARK」(リムアーク)、集英社のフラッグショップ「HAPPY PLUS」(ハッピープラス)、コンテンポラリージュエリーのセレクトショップ「Dearium」(ディアリウム)などが出店する。

  渋谷エリア初の「Aquascutum WHITE LABEL」(アクアスキュータム ホワイトレーベル)、「OLD ENGLAND Homme」(オールドイングランドオム)も誘致した。

5階:東急百貨店がチャレンジした編集型の服飾雑貨売場​

 
 

「+Q GOODS」(プラスク グッズ)は東急百貨店がチャレンジした編集型の服飾雑貨売場。買い回る楽しさを体験できるフロアで3つのゾーンに分かれている。情報を発信する「イベントステージ」も設けている。



 

 バッグブランドを中心としたブティックゾーンの『アベニュー』のゾーンでは、「COACH」(コーチ)「kate spade new york」(ケイト・スペード ニューヨーク)といった価格のこなれたラグジュアリーブランド10店をラインアップ。サングラスの「ISMY」(イズマイ)は渋谷エリア初出店。

『パーク』のゾーンはスニーカーからパンプスまで約1800足のシューズを集積したのが売り物。インポートからスポーツまでスニーカーに力を入れている。

 

「VeeCollective/NEUVILLE」(ヴィーコレクティヴ/ヌーヴィル)は日本初登場で、バッグや革小物を展開している。



『ストリート』のゾーンはスカーフ、ストール、革小物などスタイリングアイテムのファッション雑貨を集め、遊び心のある商品やブランドも投入。「a-jolie」(アジョリー)「REAL DESIGN SITE」(レアル デザイン サイト)も誘致した。

6階:美に関する情報や体験を提供​

 

「+Q BEAUTY」(プラスク ビューティー)は東急百貨店が開発した約600坪の売場に、コスメ40ブランドとカフェ、期間限定ショップを高密度編集した渋谷最大級の規模のビュティーフロア。



 メイクアップゾーンでは「ADDICTION」(アディクション)「Amplitude」(アンプリチュード)「Too Faced」(トゥー フェイスド)といった最新・最旬の17ブランド を投入。「SHISEIDO」(資生堂)「CHANEL」(シャネル)「CLINIQUE」(クリニーク)など総合カウンセリングブランドもしっかりそろえた。

 オーガニックコスメ、フレグランスなどコスメやキレイにまつわるブランドもラインアップし、ブランドごとの垣根を低くし幅広いアイテムを展開している。



 5カ所に設けたイベントステージでは、話題の雑貨から食の特集、メイクアップイベントまで、美に関する情報や体験を提供する。

7階:「美と回遊性」をテーマに多彩な店舗が出店

 ファッション6ショップ、アクセサリー・時計、メガネがそれぞれ1ショップ出店。広大な吹き抜け空間も設けられている。

 

 昨年デビューした徹底された日本製とハイバリューが好評のハイエンドカジュアルブランド「PUBLIC TOKYO」(パブリック トウキョウ)は旗艦店として出店。多様化するライフスタイルの中で、それぞれのシーンに合わせた素材、 着心地、機能性を大事にしたカジュアルウエアを追求している。

 

 有力セレクトショップ「TOMORROWLAND」(トゥモローランド)はハウスブランドを軸に“Editon”の エッセンスを加え、新しいライフスタイルを提案している。

「ete bijoux」(エテ ビジュー)は 渋谷エリア初出店のアクセサリーショップ。

 

「999.9」(フォーナインズ)は1995年に誕生した日本のアイウエアブランド。純金の品質表示に由来するそのブランド名には、常に高純度の品質999.9を目指して努力し続けるという意味が込められている。

8階:有力セレクトショップを中心に構成

 

 8階のファッションフロアは、「UNITED ARROWS」(ユナイテッドアローズ)「JOURNAL STANDARD」(ジャーナル スタンダード)などの有力セレクトショップを中心に構成されている。

 

 生活雑貨とレディース・メンズウエア「THE SHOP」(ザ・ショップ)は直営3店舗目。1つのジャンルにつき、1品だけを取り扱い、ザ・ショップのコンセプトが色濃く反映した旗艦店として出店している。デイパックの世界的スタンダード「EASTPACK」とのコラボによる「THE DAY PACK」や、デンマーク王室御用達のカトラリー工場と作る「THE カトラリー」などの新商品に加え、渋谷限定アイテムも投入している。

 

 コンビニやスーパーで使われているレジ袋の形状のリップストップナイロン製のエコバッグ5000円を500枚限定で販売している。

 

「これまで経験・体験したことのない新たな快適」をテーマに誕生したセレクトショップ「Quorinest」(クオリネスト)も旗艦店。上質を備え、独自性を持つ良質なプロダクトを、洋服や小物からライフスタイルグッズまで幅広く展開。サイズ調整が可能なモデルも用意したフランスの老舗ベレーブランド「LAULHÈRE」(ロレール)の商品も導入している。

9階:ファッションを中心とした13ショップが集積

 9階は、コンセプチュアルなフロアではなくファッションはハンカチ、帽子、カバン、靴下などの服飾雑貨をはじめ、「SHIPS」(シップス)のレディース業態、ランジェリーの「ante by intésucré」(アンテ バイ アンテシュクレ)など13ショップが集積し、洋服直しと靴修理のショップもある。

 

 雑貨・インテリア「Francfranc」(フランフラン)、ルームウエアを中心にタオル、雑貨も取り扱う「UCHINO relax」(ウチノ リラクッス)、旗艦店の時計・修理「Time Land」(タイムランド)が出店している。

 
 

「OVERRIDE」(オーバーライド)は帽子のブランド&セレクトショップ。国内外からセレクトしたブランドや、シンプルながら素材・縫製・被り心地にこだわったオリジナルブランド、異業種とのコラボレーションアイテムなどを取り扱う。渋谷ならではのトレンドアイテムも投入している。

「Watch Wardrobe」をコンセプトに毎シーズン、スーツ、シャツ、ネクタイをそろえるように時計をシーズンファッションとして提案する「Time Land」(タイムランド)は旗艦店。カジュアルウォッチからハイグレード機械式ウォッチまで取り扱い、時計技能士の資格を持つ従業員が常駐し、あらゆる時計の相談に対応する。

 

「UCHINO relax」(ウチノ リラックス)はリラックスをキーワードに軽くて柔らかくて気持ち良い素材にこだわる商品を展開するコンセプトショップ。部屋でも街でも、着て癒される「ラウンジウエア」を中心に、パジャマ・タオル・アロマ・雑貨などを販売する。ファッション感度の高い渋谷への出店にあわせて、トレンドのスタイルやサイズ感を取り入れたウェア「アーバンリゾートライン」を展開している。

10階:ほぼワンフロアを使って「東急ハンズ」が出店​

 




 

 10階の「渋谷スクランブルスクエア店」は、宇田川町にある旗艦店の“東急ハンズ渋谷店への入り口”としての役割を担う。

 タブレット端末を活用し、渋谷スクランブルスクエア店にいながら渋谷店の従業員(コンシェルジュ)の 接客を受けることもでき、店舗間の商品の移動により商品を購入することも可能。

 フロア中央に初めて大規模なイベントスペースを設け、エキシビジョンエリア「208HANDS」と名付けたコーナーからは、クリエイティブな生活のきっかけを発信するなど情報発信力も高めている。

 日本初上陸のイタリアのカバンブランド「DANTESCA」 (ダンテスカ)は、日本在中のカナダ人ペン職人で あるクリス・レッドビーター氏が手掛けるブランド「Chriselle」(クリスエール)なども導入し、こだわりも追求している。

 メンズのコスメやシューズグッズなどを集積した「永久男子」コーナーを設け、操縦を試せるコースを什器の上に設置し 初心者でも手軽に楽しめる ドローンコーナーも展開。

 インバウンドも意識しながら、全体的にDIYなどハードなアイテムではなく、ギフト商材やステーショナリーなどソフトラインの商品がメインの品揃え。ちなみに外国人には、ご霊前など漢字がクールな不祝儀袋が人気になっているそうだ。

11階:あなたの生活に寄り添う4ショップ



 11階は「TSUTAYA BOOKSTORE」(ツタヤ ブックストア)、生活雑貨「中川政七商店」、手芸・アクセサリー「貴和製作所」、革鞄・革小物「土屋鞄製造所」の4店に、「au 渋谷スクランブルスクエア」が出店している。

 


「TSUTAYA BOOKSTORE」は新業態、ラウンジのような居心地の良さを兼ね備えたコワーキングスペース「SHARELOUNGE」(シェアラウンジ)を初めて設けた。

 売場面積は250坪で、スターバックスコーヒーとコラボした52席のブック&カフェが150坪。「旅は人を“クリエイティブ”にする」をテーマに、約2万冊の旅関係の書籍をそろえ、店内でコーヒーを飲みながら購入前の書籍もゆったりと選べる。

 有料で利用できる「シェアラウンジ」は100坪。90分1500円(アプリ会員は1300円)、会議室は60分1万円(同9000円)で利用できる。料金にはフリードリンク&ナッツが含まれ、18時からは有料でアルコールも提供。働く人にインスピレーションを与える137タイトルの雑誌の過去1年分バックナンバーをそろえ、読むこともできる。

 

「中川政七商店渋谷店」は旗艦店としての位置付け。“日本の工芸の入り口”をコンセプトに掲げ、過去最大となる約130坪で展開している。

 全国800を超える作り手とともに生み出した約4000点の商品をそろえ、ウエアや食品も展開。創業の地である奈良の町並みをイメージした店内を巡りながら、ものづくりの背景にある物語を見て・読んで・食べて・触って・感じることができる店づくり。店内中央では月替わりで企画展を開催する。

〈総括〉MDや情報発信力は評価、大人の女性にどう評価されるか

 ファッションゾーンはフロアによって機能が明確に分かれており、館の統一イメージはない。インバウンドも狙ったラグジュアリーブランドの集積や有力セレクトショップの導入は手堅い取り組みである。

 東急百貨店によるチャレンジングな売場づくり「プラスク グッズ」「プラスク ビューティー」「シブヤ224」は、MDや情報発信力は評価できるが、売場づくりは基本的に従前を踏襲しイノベーションを感じられないのが残念だ。いずれにしても、今後、渋谷の大人の女性にどう評価されるか注目したい。

 雑貨はそれぞれのショップが実力を発揮しており、デベロッパーとしての手腕を発揮しているわけではない。

 7階〜9階のファッションフロアを、セレクトショップフロア、服飾雑貨フロアの2フロアとし、ワンフロアで編集型の売場展開に挑戦してみても良かったと思う。