MF藤田譲瑠チマ(東京Vユース)は誰もが認めるグループステージ突破の殊勲者だ

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「飄々(ひょうひょう)」という言葉がしっくり来るプレースタイルである。U-17日本代表で中盤中央の中軸として活躍するMF藤田譲瑠チマ(東京Vユース)は相手に激しく寄せられても慌てず騒がずボールを繋ぎ、リズムを作り、時には一気に運び出し、巧みにゲームの流れをコントロールしていく。

「技術と判断力を持ってやれる子です」

 森山佳郎監督はそんな言葉で藤田のここまでのプレーに称賛を惜しまない。身体的にそこまで恵まれているタイプではないが、球際でもよく戦って相手の攻撃を阻むシーンもしばしばある。ボールとゲームを落ち着かせている点を含めてここまで無失点ゲームを続けるチームを藤田が下支えしているのも確かだ。

 その藤田がこの代表に初招集されたのは今年7月に行われた国際ユースIN新潟。「実はちょっと前からどこかで試してみたいと思っていた」と、当時の森山監督は語っている。3年生になった今年になってレギュラーに定着した東京Vユースの試合を通じてこの異能に目を付けており、本人が自信を付けて成長していく様子を観察しながら、代表へ呼ぶタイミングを見計らっていた。

 呼ばれてからの藤田が特異だったのは、その圧倒的な“フィット感である”。「召集2日目には常連選手のように馴染んでいた」と評したのは森山監督だが、本人も「楽しいっす」とニコニコ語りつつ、プレーのほうでも雄弁に語り続けた。当初任されたのは左SBで、このポジションの経験はほとんどなかったにもかかわらず、勘所の良いポジショニングやビルドアップへの適切な貢献を披露。「サッカーIQが本当に高い」と指揮官を喜ばせ、徐々に主軸選手へと定着していった。

 U-17W杯に入ってもその雰囲気は変わらない。初戦の序盤は「めっちゃ緊張するタイプなんですよ」と言っていた通りに硬くなり、「めちゃくちゃ上手くてビックリした」とオランダMF陣のプレーにも仰天したが、ここでもボールに触りながらリズムを作り、「飄々と」ペースを掴んでみせた。

 今大会は素晴らしい攻め上がりを見せながらラストパスがミスになってしまうシーンも多かったが、セネガル戦では値千金の決勝アシストも記録。「(西川)潤と(若月)大和がいるので、まあ別にどっちでもいいかなと思って(笑)、でもどちらかはきっと取ってくれると思ったので」と信じてスペースに出した絶妙なタイミングのパスと、それを信じて動き出していた西川の感覚が噛み合い、美しい決勝点が生まれた。

「正直、ちょっと焦っていた(笑)。自分も1本、どこかで決めるパスを出したかったので」

 誰もが認めるグループステージ突破の殊勲者はそう言って笑う。明るいキャラのムードメーカーは、ここからさらに乗っていく。

(取材・文 川端暁彦)