「ヒロシです。」のネタで一世を風靡し、現在はYouTubeクリエイターとして活躍するヒロシさん。

自身の「ヒロシちゃんねる」は、チャンネル登録者数50万人を超え、現在は芸人兼ソロキャンプYouTuberとして活躍の場を広げています。

そんなヒロシさんが、若手時代から一貫して感じていたことが「人付き合い」の難しさ。
R25世代でも「ひとりの方が好き」「大人数は疲れる」と感じてしまう人もいるのではないでしょうか。

今回発売したヒロシさんの新著『ひとりで生きていく』では、芸能界の華やかな世界を経験したからこそわかる、ヒロシさん流の「心地いいひとりの生き方」について紹介されています。

「無理をしなくていい」と背中を押してくれるメッセージが詰まった同書から、「生き方」「お金」に関する2記事を抜粋してお届けします!


「置かれた場所」は固執すべきではない

僕は「ヒロシです。」のネタでブレイクしたが、バラエティ番組の世界から退場した。

その後はずっと、「一発屋芸人」として扱われてきた。

テレビから逃げた芸人に対して、「芸人だったらテレビという大舞台で勝負してなんぼだ」という人もいる。たしかに、僕が子どもの頃に憧れたビートたけしさんや志村けんさんは、テレビというメジャー市場の第一線で活躍し続けている。
 
しかし、第一線にいても活躍する芸人でないと、僕がそうだったように、不本意な扱いを受けやすい。芸人の中にも「ひとつのキャラクターばかり押しつけられてしんどい」とか「制作スタッフからの扱いがひどくてキレそうになる」などと不満をこぼす人はたくさんいる。

「置かれた場所で咲きなさい」といわれても、正直しんどい。そんなことができるのは好戦的な人だけだ。
 
それでも、我慢してテレビの世界でふんばる芸人はすごい。テレビに出ているということは、メジャーなお笑い市場で戦うことである。ただ、それができない人は、心や体がボロボロになってまでも、固執すべきではないというのが僕の考えだ。

今は、テレビだけではなく、YouTubeやオンラインサロンで活躍する芸人もいる。僕もソロキャンプのYouTubeチャンネルというテレビほど大きな市場ではないところに逃げ込んだ結果、その分野のYouTubeとして注目されたのは、とても運がよかった。


会社員も激戦区

会社員はお気楽という人もいるが、全然お気楽だとは思わない。組織の中で生き抜くことは競争社会をサバイブすることだ。出世する者もいれば、リストラ対象になる者もいる。

自分の戦場で自分の思い通りにやれる人もいれば、やれない人もいる。会社員もテレビで活躍する芸人も、少ない席を奪い合うという意味では、同じ状況だろう。
 
しかも、テレビの世界がテレビ局やスポンサー、それに番組制作会社や芸能事務所など、さまざまな組織が入り交じっているように、多くの会社で行なわれている業務にも、利害関係者がたくさんいる。

その中で自分を有利な状況に持ち込むのは、とても難しい。お笑いでいえば、ライブのお客さんや視聴者を笑わせればいいだけという話ではない。その他の人間関係が大きく物をいうため、味方がいなければ勝ち抜くのは難しいわけだ。
 
そのような場で、人付き合いが苦手で、かわいがってくれる先輩も親しく話せる友達もいないまま、戦いを挑もうとすることは間違いだ。
 
孤独な僕は、「過去の人」として気に入らない役を押しつけようとする番組スタッフの無理難題にひたすら耐え、割り切ってそこに留まる選択肢もあった。でも、そうかんたんには割り切ることはできなかった。


戦わない環境に身を移そう

集団に比べると、ひとりというのは力がない。だから、ついつい強い者を宿主に選んだり大きな集団に属したりしようと、寄生してしまうような生き方をしがちだ。

これは恋人という関係でもなく親友という関係でもないが、やはり強固な固定関係をその都度築こうとする発想で、僕のようにひとりで生きていきたい、という人とは相容れない。

ひとりで生きる者は、極力、戦わないで済むイージーな環境に逃げるべきだ。たとえば、イス取りゲームが厳しい会社であれば、そこでの戦いをやめて、別の会社に移ってみる。あるいは仕事に期待することはやめて、アフター5の活動に人生を捧げるのも手だ。
 
養う家族がいたらこういうことは難しいが、自分ひとりが食べていければいいのであれば、逃げることはそこまで難しくない。ひとりでいることのいいところは、なんといっても身軽なことだ。
 
アフター5の活動なら、TwitterやYouTubeもある。インターネットメディアは、誰でも開設できるわけで、限られた席を争うイス取りゲームをする世界ではない。また、僕は酒が飲めないので無理だが、地元で我が物顔で飲める店を探すのもいいだろう。

自宅でも職場でもない場所を「サードプレイス」というらしいが、そういう場所を「私の咲く場所」にしてしまうのだ。今、僕は、自分ひとりの会社を作り、そこをベースにして、自分がやりたいことをやっている。

こんなふうになったのは、ひとりで自由に気持ちよく生きていけたらいいと思ったからだ。これも即断即決できるひとりだからこそできたことだ。逃げ込んだ先で咲くことだって、不可能じゃない。


おすすめ 崋分を必要としてくれる所へ行く」

たとえば、働き盛りの人口が減って困っている限界集落ならば、僕のような 50歳手前の人間だって若手として歓迎してくれるだろう。

そこで、なんでも屋さんを開き、電球を換えてあげたり、駅まで車で送ってあげたりすれば、喜ばれるうえにお小遣いまでもらえるかもしれない。

仕事の帰り際に「おつかれさま」と、お婆さんからお菓子をいただけるかもしれない。お婆さんが好きであるかは別として、こんな対応をされれば、自分でも必要とされていると実感できる。

「誰にもモテなくて寂しい」「誰かに認めてもらいたい」。そういう思いが募っているならば、やはり自分を必要としてくれるところに行けばいい。どんなにモテない男性でも、女性しかいない島に行けば、そこでは貴重な男手になるのだから、それなりにモテるはずだ。

このような可能性を見出せるのは、地方だけではない。身近なところでも、ひとり者のあなたを欲している人たちはいる。

たとえば、地元の消防団に入ってみるのはどうだろうか。消防団は、東京のような都会の街でもなり手が不足しているというニュースを見たことがある。ある自治体だと、1回の出動で3000円くらいもらえて、年に5〜6回出動があるようだ。

所属すると、月に1〜2回の会議もあるようだが、こういう集いが嫌いじゃなければ、自宅で仕事をする自営業者なんかには悪くない選択だと思う。訓練や実際の活動さえしっかりやれば、よこしまな気持ちで始めても構わないはずだ。
 
同じように、ボランティアに取り組んでみるのもいい。スーパーボランティアとして知られる尾畠春夫さんは、ひとりで被災地に乗り込んで救援活動をしている。大変そうだが、ご高齢ながらとても生き生きした顔をしている。

ひとり者のあなたを必要としている人は、意外にたくさんいるのだ。


おすすめ◆嵌罎戮訛仂櫃ない所へ行く」

暇なひとり者ほど、毎晩ネットサーフィンに耽(ふけ)るが、これがよくない。

ネット上には、インスタ映えする写真をアップして「いいね!」をたくさんもらっている人や、年の近い立派な人たちの活躍のニュースが流れており、どうしても自分と比べてしまう。

僕もテレビから離れた頃は、他人の活躍を見ると嫉妬するから、テレビや芸能ニュースを見なかった。

ソロキャンプでも、僕はリア充どもが来ない場所を選んでテントを張る。

近くにEXILEのような男たちがホットパンツを穿いたいい女を連れて楽しんでいたら、自分は惨めなのかもしれない、と思ってしまうからだ。


自分に合った環境を見つけるには、タネ蒔きをしよう

インターネットメディアひとつ見てもわかるように、今の時代は昔よりも選択肢の幅が広くなってきた。「人生が詰んでしまった」と嘆く必要もないぐらい、いろんな逃げ道がある。
 
漫画『スラムダンク』でバスケ部の監督を務める安西先生は「あきらめたらそこで試合終了ですよ…?」という有名なセリフを残した(といっても僕はこれをネットで見て知っているだけなのだが)。これは逆をいえば、「あきらめなければ試合終了ではない」ということだ。

「人生が詰んでしまった」と思っても、ちょっとよそ見をしたり、生活のパターンを変えたりするだけで、詰んでなかった自分に出会う可能性がある。恋人も友達もいなくても、自分が描いていたような理想の人生を送れていなかったとしても、絶望することはない。

自分の境遇を嘆く暇があるなら、自分が惨めに感じない環境作りを模索し続ければいいわけだ。

そういう意味で、僕は、たくさんのタネを同時に蒔くことを勧めている。これはひとつのタネを蒔いて、熱心に育てたとしても、咲かないかもしれないからだ。

しかし、一気にたくさんのタネを蒔き、テキトーに水を与えていれば、ひとつくらいは芽が出るものだ。そして芽が出たら、そこに集中して水を与えて、育ててあげればいい。
 
僕もたくさんのタネを蒔いた結果、ソロキャンプYouTuberとして第二の人生を始めることができた。こんなことで注目されるなんて、始めたときは想像していなかったのだ。同時期にバンドもやったし、地下アイドルだってプロデュースしようとした。

でも、どれも大してうまくいかなかったり、そもそも始められなかったりした。そんな中で、ソロキャンプYouTuberだけは芽が出たので、それを育てていったことで、続けてこられたのだ。

今の時代は、タネを蒔いても花が咲くかどうかはわからない。だから気軽に多くのタネを蒔いて、その中から芽が出たものに本格的に打ち込むようにするのがいいだろう。

正解のない社会で、苦しい思いをせずに生きるヒロシさんの哲学

大人になればなるほど、人の目を気にしてまわりに合わせようとしてしまいがち。

『ひとりで生きていく』はそんなスッキリとさせたい人間関係との向き合い方も綴られています。ひとりが好きな人は共感しつつ、勇気がもらえる一冊ですよ。

発売と同時に重版がかかった同書を読んで、自分らしい生き方を模索してみましょう!