上空での攻防を制し続けたDF村上陽介(大宮U18)

写真拡大

 U-17日本代表DF村上陽介(大宮U18)が「自分の武器」と語るのは、この1年間にわたって毎日毎日コツコツと磨き抜いてきたヘディングの技術である。183cmの長身を活かしたプレーは森山佳郎監督からも「このチームで一番」と評される強力なストロングポイントだ。

 元より高さには自信を持っていたが、昨年のプリンスリーグ関東で対戦したFW榎本樹(当時・前橋育英高、現・群馬)にヘディングで競り負けて失点。「プロへ行く選手の力」を見せ付けられる形となったことで、そこを一つの基準にして個人トレーニングを開始した。

 指導者とも相談し、全体練習後に欠かさずヘディング練習へ取り組むように。その姿勢は今年になってU-17日本代表へ招集されるようになってからも変わらず、U-17W杯の本大会に入ってからも必ずヘディング練習に取り組む時間を作った。そうして技術や感覚を磨くのはもちろんだが、何より自信を蓄えるための反復に見えた。「空中戦は絶対に負けない」。そんな言葉も、村上の口から繰り返し出てきた。ヘディングにプライドを懸けているのだ。

 このU-17W杯において森山監督から言われているのは「途中出場もある」ということだ。高さ・強さに欠ける部分がある日本に対し、相手がパワープレーを仕掛けてくることは十分に考えられる。防空戦のスペシャリストである村上を途中から投入し、5バックにして逃げ切る戦術的な準備も行っていた。

 幸いと言うべきか、そうした流れに陥る試合はここまでなかったのだが、村上は常に「いつ呼ばれてもいいようにしてきた」と準備を続けていた。セネガル戦の先発を告げられたときも、気負った様子は特になく、「ワクワクしているし、『やってやろう』という気持ちしかない」と意欲を燃やすのみだった。

 迎えた世界大会デビューマッチ、序盤は少しぎこちない様子もあり、「緊張しているのか?」と見守る側から心配されたが、「緊張ではなく、相手の足の長さとかスピードへの対策を意識し過ぎてしまった」ことが原因だった。時間の経過と共に「普段通りのプレー」を取り戻すと、見違えるように安定した対応を見せるようになる。

 特に「あそこで村上が跳ね返してくれるのと、跳ね返せないのではまるで違う」と指揮官が言ったセネガルのロングボール攻撃への対応は、まさに“見せ場”だった。代表合宿を通じて筋肉のスペシャリストである小粥智浩コンディショニングコーチから「ジャンプするときの力の入れ方とか、片足で跳ぶだけじゃなく両足を使った跳び方もあることを教えてもらった」というプレーも早速実践。上空での攻防を制し続けた。

「この大会の1次予選に出ていたGKのジョーンズ・レイを始めとして、候補になっていたけれど選ばれなかった選手が大宮には何人もいる。その選手たちの分までという気持ちもあるし、自分は大宮の代表としてここに来ていると思っているので、ラウンド16以降も試合に出てチームに貢献したい」

 地道に積み上げてきた成果の一端を見せた大宮の大型DFが、世界大会のピッチで確かな存在感を見せ付けた。

(取材・文 川端暁彦)