一人、福岡の路上に座り、アコースティックギターとともにYUIの音楽はスタートした。これまでリリースされた4枚のシングルに比べ、今作では曲によってエレキギターの占める割合が増え、サウンド面でも広がりをみせている。

――最初に曲を作る時はおそらくアコースティックギターで作るのかな、と想像するんですけど、その後スタジオに入って「ここはエレキギターを入れてみようかな」とか、ライブでもアコギの弾き語りではなく、「エレキでバンド編成でやってみようかな」とか、YUIさんの中でアコースティックギターとエレキギターはどういう位置づけなのでしょう?

YUI:元々はロックサウンドが好きで聴いていたんですけど、アコ―スティックでのストリートライブを見てとても感動して、それから色んな出会いがあってギターを始めたということもあり、やっぱりアコースティックギターというのは思い出だったり、すごい音への思い入れがあると言うか、ストリートをやっていたというのもあって、大切にして行きたい音ではあるんですよね。

でも、東京に来てからは、バンドでライブをするようになったりとか、そういうのもあって、バンドサウンドというのにも、すごく興味があるのは確かですね。それで、ロック調的な音楽も作って行きたいな、とは思ってますね。

――今後、ツアーを控えていますが、バンド編成でやるのですか?

YUI:今までツアーがある時はアコースティックで演奏することが多かったんですけど、今回はバンド編成で、バンドを引っさげて行きたいと思ってますね。

――以前からずっと一人でやられてたんですか?

YUI:ずっとアコギを弾いてましたね。

――学生の頃に「バンドを組みたい」とか思った経験は。

YUI:高校1年で辞めて音楽の道に進んだので、そういうことも無かったんですけど、でも、バンドの音とかはとても好きではありましたけどね。

――気持ちいいですよね。エレキをデカイ音で鳴らしたりすると。

YUI:そうですね。今後ライブをたくさんするようになって、そういうロックな曲ももっと入れていけるようになれた時に、そういう歪んだ音とかでも入れて行きたいと思うんですけども、今はやっぱりスタイル…自分の作る音楽だったりを大切にしているので。もちろん音楽的に幅を広げていきたいし、視野も広げていきたいし、成長もしていきたいけども、今はそういう風に、アコースティックの音とかを大切にしてますね。

――方向性みたいなものは、あまり自分でガチっと決め込まないで、良いものはどんどん吸収して、色んなことをやっていきたい、という感じでしょうか。

YUI:そうですね。今の形は大切にしつつも、吸収したものは自分の音楽に繋げていきたいと思っています。今回のアルバム制作でもそうですけど、新しい発見は常にたくさんあるので。

――YUIさんの声を初めて耳にした時に、UKのギターロックサウンドみたいな音とすごい合いそうだな、と思ったんですよ。なので今後そういった曲も聴けたらなと。

YUI:そんな曲も作っていきたいですし、イギリスの方面だったり、もっと北の方だったり、色んな音に興味が出てきているので、色々作っていきたいですね。

――今まで海外に行かれたことはありますか?

YUI:行ったこと無いですね。

――行ってみたい国とかは?

YUI:今は日本でもまだ行ってない所があるので。福岡を初めて出たのがオーディションの時だったので、それくらい出たことが無かったので。

――じゃあ、キャンペーンとか面白いですか? 各地方で美味しいもの食べたり。

YUI:美味しいもの(笑)。そうですね、すごい雰囲気も違ったりとか。あとやっぱり、今は自分の音楽を聴いてくれてる方がいたりとかして、そういう所に実際に行けるというのは、すごい嬉しいですよね。

初心を忘れない。一方で、好奇心を失うことなく貪欲に新しい音を吸収する。YUIにとってのアコースティックギターとエレキギターの関係はそんなものなのかも知れない。ひと月後に初のツアーを控え、今から待っていてくれる人達との出会いに胸を膨らませるYUIがそこにいた。