非の打ちどころがない完勝を収めたあとの試合というのは、得てしてこういうものなのかもしれない。

 U−17ワールドカップのグループリーグ第2戦。日本はアメリカと対戦し、0−0の引き分けに終わった。


グループリーグ第2戦、日本はアメリカと0−0で引き分けた

 初戦のオランダ戦で3得点を叩き出した日本も、この試合では何度かチャンスを作りはしたものの、結局はノーゴール。リズムをつかめそうでつかめない。そんなモヤモヤを抱えたまま終えた90分間だった。

「ボランチの自分が思うようにゲームをコントロールできなかったことや、ボールを動かせずに自分たちの時間を作れなかったことが、試合を難しくしてしまった」

 相手の守備にうまく動きを封じられたボランチ、MF成岡輝瑠はそう語る。この試合、とくに前半をコントロールしていたのは、アメリカだった。日本はボールを保持していても攻めあぐねることが多く、なかなか相手ゴールに迫ることができなかった。成岡とともに2ボランチを務めた、MF藤田譲瑠チマも「自分のミスが多く、(試合が)悪い方向へ進んでしまった。(3−0で勝利した)オランダ戦と比べて、(選手同士の)距離感もよくなくて、パスのテンポも上がらなかった」と、自戒の言葉を口にする。

 アメリカの日本対策は入念だった。

 本来は自らがボールを保持し、攻撃的に試合を進めることを得意とするアメリカが、引いて守りを固め、徹底して中央の縦パスのコースを切る。そのうえで、DFラインは日本の2トップが1本のパスで背後を取ろうとする動き出しに対しては、すぐにラインを下げてスペースを消しにかかった。

 U−17日本代表を率いる森山佳郎監督の言葉を借りれば、「日本がリスペクトされた部分があった。アメリカは初戦より、かなり守備的にきた」。成岡もまた、「アメリカがあそこまで引いてくるとは考えていなかった。自分たちの武器であるカウンターや、背後(を狙う攻撃)がなかなか出せなかった」と振り返る。

 アメリカにしてみれば、当然の策だったのだろう。

 日本は初戦、優勝候補と目されていたオランダを相手に、FW若月大和が面白いようにDFラインの裏を取ってチャンスを作り出した。この俊足ストライカーを野放しにしておけば、オランダの二の舞になるのは目に見えていたからだ。

 アメリカの日本対策とは、すなわち、若月封じと言い換えてもいい。

 もちろん、どんなにアメリカが策を講じてきたとしても、若月にまったくチャンスがなかったわけではない。事実、決定機につながりかけた、あるいは、つながった場面は何度かあった。

 それでも、若月を気持ちよく走らせなかった効果は大きかった。オランダ戦ではチャンスの場面で、ことごとく完璧なトラップでシュートまで持ち込んでいた背番号9も、この試合では、ここぞという時にボールが足につかなかった。初戦の2ゴールから一転、ノーゴールに終わった若月が悔しそうに述懐する。

「オランダ戦では自分が(DFラインの)背後を取るとか、自分の武器を出せる場面がはっきりあって、それを確実にできたが、アメリカ戦はしっかりと背後を消されていて、何本も走っているのにボールが出てこないというなかで、(ボールが出てきたときに)ちょっと集中力や意識が切れてしまうことが試合中にあった。次のセネガル戦では、そういうことが絶対にないように意識して、一回のチャンスのために、何回も動き出しをしっかりやりたいなと思う」

 つまりは、アメリカにしてやられた試合、ということになるのかもしれない。

 とはいえ、あくまでもオランダ戦――稀に見る出来のよかった試合との比較においては見劣りするというだけで、アメリカ戦だけを見れば、それほど悪い内容の試合だったわけではない。

 日本はうまく守られながらも、アメリカのカウンターには対応できていたし、時間の経過とともに、ピッチを横に広く使った攻撃で相手を完全に押し込むこともできていた。失点してもおかしくない場面がいくつかあったのは確かだが、得点してもおかしくない場面はそれ以上に多かった。

 成岡も「(引き分けで)勝ち点1は最低限の結果。点が取れなくて悔しい」と言いつつ、こう続ける。

「(試合終盤は相手を)左右に振りながら、チャンスがあったら縦パスを入れてという攻撃ができた。チーム全体としても、自分個人としても、引いた相手に対しての効率のいい攻撃の仕方を認識できたので、それを次の試合から生かしたい」

 藤田もまた、「点は取りたかったが、最後にちょっと修正できたのは一歩前進なのかなと思う」と、前向きに語っていた。2連勝こそ逃したものの、グループリーグ3試合をトータルで考えれば、価値ある勝ち点1の上積みである。

 これで勝ち点を4に伸ばした日本は現在、2連勝で勝ち点6のセネガルに次ぐグループ2位。最後の第3戦はセネガルとの直接対決となり、日本は勝てば1位通過、引き分ければ2位通過が決まる。

 また、仮に日本が敗れたとしても、同組のもうひとつの試合、オランダ対アメリカが引き分け、あるいはオランダの勝利に終われば、日本は2位通過が決定。アメリカが勝った場合は、日本とアメリカが勝ち点4で並ぶが、現時点での得失点差は日本が+3、アメリカは−3と大きな開きがあり、日本がよほどの大敗でも喫しない限り、2位を確保する可能性は高い。

 万一、アメリカがオランダに4−0、5−0といったスコアで大勝し、グループ2位の座を譲ることになったとしても、日本は4点差以上の負けでなければ(得失点差0以上であれば)、3位(各組3位のうち成績上位4チーム)での通過が決まる。

 こうして現状を整理すると、苦しいなりに手にした勝ち点1の意味がどれほど大きいかがわかるだろう。森山監督が語る。

「(アメリカ戦で)勝ち点1を失ったら、次のゲームプランが変わってしまう。ハーフタイムには、『勝ちにいくが、失点だけはしないように。0−0でオーケー』と選手には言っていた」

 日本が属するD組にはそもそも強豪が集まっており、日本の苦戦は必至と思われていたグループである。森山監督も「(大会前は)2試合で勝ち点4が取れたら最高だと思っていた。第3戦に勝って滑り込みで3位(で突破)という(展開になる)可能性もあった。それを考えれば、選手は(引き分けて)ガッカリしている部分もあるが、かなりうまくいっている」と満足そうに語り、笑顔を見せる。

 グループリーグ突破がほぼ確実となった状況に、指揮官は「(今までの試合に)出ていない選手にはご褒美になるし、出ていた選手は(体力を)セーブできる」とし、続く第3戦で大きくメンバーを入れ替えることを明言。「それで勝てたら最高」と続けたように、控え組の面々がここまでの勢いをさらに加速させられるようなら、日本は最高の雰囲気で決勝トーナメントに向かうことになるだろう。

 満足できない試合内容での引き分けに、選手の顔には笑顔がなかった。2連勝での決勝トーナメント進出決定はならなかった。

 だが、目標とするベスト4進出へ向け、17歳以下の若き日本代表は依然、順調に歩みを進めている。