2試合を終えて1勝1分けとした日本。最終戦で首位のセネガルと対戦する。(C) Getty Images

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 衝撃を与えたオランダ戦から早3日。アメリカから勝利を奪い、ノックアウトステージ進出を決めたかったが、簡単に事は運ばなかった。

 ブラジルで開催されているU-17ワールドカップの第2戦、森山佳郎監督率いる日本代表はスコアレスドローに終わり、勝点1を得るに止まった。

 日本はオランダ戦同様に4−4−2で臨んだものの、先発メンバーは2名変更。FWの西川潤(桐光学園)とボランチの田中聡(湘南ベルマーレU-18)がコンディションの問題でスタメンを外れた。代わって指名されたのはFWの唐山翔自(ガンバ大阪ユース)と右サイドハーフに入った田村蒼生(柏レイソルU-18)。

 そして、初戦で右MFを担った成岡輝瑠(清水エスパルスユース)がボランチにスライドし、キックオフを迎えた。ただ、オランダ戦で見せた若月大和(桐生一高)の快足を生かした攻撃は鳴りを潜め、苦戦を強いられる場面が散見。最後までゴールは奪えなかった。

 オランダ戦で圧巻のパフォーマンスを見せた日本が、何故アメリカ戦で沈黙したのか。理由は相手に警戒されていたからに他ならない。

「相手は日本を完全に消しに来たし、(エースの)レイナをスタメンから外してかなり守備的だった。前から相手FWが追い回し、常に僕らにはプレッシャーが掛かっている状態。それをいなせたら良かったけど、なかなかそれはできなかった」(森山監督)

 指揮官が振り返った通り、オランダ戦を踏まえ、アメリカは守備重視の布陣を敷いてきた。その象徴がシステムの変更とエースのベンチスタートだ。初戦ではアンカーを置く4−3−3を採用したが、この日はダブルボランチの4−2−3−1を選択。10番のジョバンニ・レイナも先発から外し、前からアグレッシブにプレスを仕掛けた。最終ラインも日本ボールになると、背後のスペースをケア。実に用心深く戦い、日本の強みを消しに来た。

 一方の日本はオランダ戦で守備に重きを置いていたが、アメリカ戦はボールポゼッションを高めながら、FW陣の個性を生かすスタイルを選んだ。それは前日練習の内容や技術に長けた藤田譲瑠チマ(東京ヴェルディユース)と成岡を中盤の底に並べた点からも分かる。しかし、いざ試合が始まると想定と違った。
 特に日本を手詰まりにさせたのが、若月の“足”を生かして相手の背後を突けなかったことだ。

 アメリカはスピードで勝負する“若月対策”を敢行。最終ラインが完璧にケアし、行く手を阻んだ。実際に若月は何度も裏を狙ったが、出し手側が手詰まりになったという。

「自分は警戒されても背後を狙っていた。相手のサイドバック(SB)が高い位置を取っているシーンもあったから、自分は裏のスペースを狙いたいと思っていた。ただ、試合後にディフェンダーの選手たちと話したけど、やっぱり蹴りにくさがあった。センターバック(CB)とSBが裏に出すタイミングでかなりラインを下げたとしても、背後を狙って何本か試したんです。でも、相手がケアしている以上は背後には蹴りにくいと言われました」(若月)。

 前で時間を作れる西川が57分からピッチに入ると、裏以外の選択肢から攻撃の流れを作れるようになった。だが、警戒されれば、そう簡単に仕事はさせてくれない。当然、次のセネガルやノックアウトステージで対戦する相手は対策を講じてくるはずで、そうした状況の対処法は今後の課題となった。

 ただ、相手に武器を封じられたとはいえ、勝点1を掴んだ点は評価に値する。とりわけ、守備陣は身体を張り、アメリカの攻撃を跳ね返し続けた。後半の開始早々にオフサイドで失点が取り消された場面もあったが、我慢しながら“0”で終えたのは今後につながるはずだ。

「上手くいかないのは当たり前。オランダ戦の結果で周りから『すごい』と言われていたけど、ワールドカップはそんなに簡単じゃない」

 森山監督が言った通り、今戦っているのは世界一を決める大会だ。オランダ戦で素晴らしい結果を残しても、2戦目以降も同じようにはいかない。しかも、選手は17歳以下の高校生たちで経験は浅い。もちろん浮かれていたわけではないが、ひとつの結果で自分を見失う場合もある。

「かなり選手に言いましたけど、やっぱり勘違いしますよ」とは森山監督の言葉。アメリカ戦で苦い経験をしたが、勝点を取って学べたのであれば、授業料としては安い。実際に勝点4となり、最終戦は引き分け以上でグループステージ突破が決まるし、3位でも上位4チームに与えられる枠に滑り込める可能性が見えてきた。状況は悪くない。この経験値をセネガル戦で生かせれば、アメリカ戦のドローが勝利以上の価値になるはずだ。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)